映画『バイオレンスアクション』評価と感想(ネタバレ) 橋本環奈はヒットガールになれない

スルメ
どーも、スルメです

『バイオレンスアクション』観てきました。

原作も読んではいたのですが、まさか実写化があるとは思わなかったです。

そして、まさか橋本環奈がケイを演じることになるとは思わなかったです。

ビジュアルは原作以上にヒットガール。橋本環奈主演で期待値はそこそこアガル。

バイオレンスアクション

評価

ストーリー★★☆☆☆ 2/5
キャスト★★★☆☆ 3/5
演出★★☆☆☆ 2/5
映像★☆☆☆☆ 1/5
アクション★☆☆☆☆ 1/5

総合評価 ★ 2/10

 

「アクション、ダサすぎるだろ……」


どうなってるんだ!

タイトルに“アクション”と入っているのに、アクションがダサすぎるぞ!

開始早々、橋本環奈演じるケイが弾丸をかわしはじめた時点で、察しました。この映画はアクションがダメかもしれないと。

ストーリーにおいても、若くして殺し屋になっているケイやだりあに、ほぼスポットが当たらず。

江良さんと瑠東さんが関わっているからか、ヤクザの部分は妙に力入っていたけど。漫画を読む限り、そういう作品じゃないんだよなぁ。

 

※以下、『バイオレンスアクション』のネタバレを含みます

 

感想

アクションについて

まずアクションについて。

アクションというよりは、アクロバットしている映像をつなぎ合わせているように見えます。攻撃が当たってもそこにパワーが感じられないから、爽快感もまるでなし。カット割りが激しすぎて、そもそも1つ1つのアクションに集中できないし、残念無念でなりません。

一番の問題なのは、ケイがいとも簡単に銃弾をかわすような演出をしていること。

最近のアニメでも、弾丸をかわす少女が登場していますが、弾丸が発射された後に弾をかわすのは不可能です。「筋肉の挙動を見て、どこに飛んでくるかわかる」くらいの設定があれば、フィクションだからと理解はできますが。

「弾丸より早く動けるなら、タックルでもしとけよ」と僕は思うわけですね。冒頭5分くらいに、このシーンがあるものだから、もう駄目だと。この映画は、少なくとも僕が期待していたアクション映画ではないと。

後半でも、まるで影分身をしたかのように、ナイフで切りつけるシーンがありましたが、あのような演出が許されるのは、マスクを装着したジム・キャリーだけよ(笑)

「うーん、ダサい!」

さらに気になるのは、ケイがポップな音楽をかけながら敵を惨殺していくシーンがダサいこと。

なんというか、作っている側は凄くカッコいいものを思い描いてるのでしょうが、その企みが全然隠れてない。そもそも“慣れないことをしている”感がにじみ出ていて、全然気持ちが乗らないんですよね。

いちいちイヤホンを耳に装着するとか、そういった理由付けなく、すんなりとアクションシーンに入ってほしいところ。

そんな気になるところがありまくりなアクションの中で、もっとも「これヤバくね?」って思ったのが、終盤のカーチェイスシーン。

ケイ一派と、みちたかくんのチェイスシーンなのですが、この場面で一般車が皆無なんですよ。なかなか広い道路なのに、ポツンとカーチェイスする2台の車。当然、見物人はおらず、ただただ用意された道路を走行しているような場面が続くだけ。

これ、なかなかヤバくないっすか。PSP時代のグラセフでも、もうちょっと車走ってましたよ。だったらせめて、森の中とか、田舎道とか、違和感のない場所でチェイスしましょうよ。街中で車ゼロはヤバいって。

ストーリーは原作要素ほぼなし

原作を読んでいる人がどれだけいるか分かりませんが、僕は「ケイのキャラクターになぜロマンティック要素を入れたんだい?」と真剣にツッコみたい。

僕は基本、実写映画は完全に原作再現しなくてもいいと思っています。実写オリジナル要素も大歓迎だし、むしろ実写にしかない部分を楽しみにしているタイプです。

でも、本作の場合は側だけ借りたほぼオリジナル作品で、ケイのキャラクターも原作を読んでいると戸惑いしかありません。

原作のケイは、もっと淡白な人です。仕事とプライベートを完全に分ける人なので、殺せと言われれば殺すし、仕事外の部分で殺しはしない。どこにでもいそうな女の子だけど、仕事上はプロ。そこのギャップが面白い作品でもあるし、敵の側も意外と淡白に接してくるのが真新しかったりしました。

だからこそ、ロマンス要素はマジで違和感しかねぇ。無理やり突っ込んだようにしか見えねぇ。

そして、なにあのラスト。君が生きているってことは、命を投げ出してまで倒したかった“アイツ”も生きてる可能性あるってことだからな? モヤっとしかしないわ。

だりあとケイのバックグランドに関してもそう。「そもそもなぜ殺し屋なの?」という話をまったく描きません。

特にだりあ。トラウマに関することにはほぼ触れず、スナイパーの利点もほぼ活かさず、「別にいなくてよくね?」という立ち位置。殺し屋として、深いバックグラウンドを持っているキャラなだけに、スルーされるのはもったいない。

ケイの過去に関しては、原作でも深く描かれていませんが、それにしても1本の映画でいっさい触れられないのは気持ち悪い。漫画なら「そのうち分かるのかな?」と思いながら読み進められますが……。「オリジナル要素入れるならここだろ!」ってとこですよね。

 

と、そんな感じでケイとだりあのバディに関しては、ほぼスルー。

なのに、ヤクザ周りのストーリーだけは妙に気合入ってる(笑)

一応言っておきますけど、これ、ほぼ原作にないオリジナルストーリーですからね。本当は高橋克典さん主演でヤクザ映画作りたかったでしょ。

組の資金で株運用して、裏金作って、経理がその裏金を発見し、若頭を追いつめていく。組長も組長で、実は他人をあまり信用しておらず、搾取する側の典型的な極道だったりする。そんなヤクザの内部抗争が、びっくりするほど綿密に描かれているんですよ。

これ、1話完結のような形で、次々とターゲットが変わっていく『バイオレンスアクション』向きのストーリーじゃない。いや、面白いんだけど、そこにケイがいるという違和感。

まぁ、ヤクザ映画がやりたいのでしょう。僕はそう思うことにして、この記事を終わりたいと思います。

最後に

正直、アクション面に関しては、観る人を軽視してますよ。

「ハリウッド映画がー」とは言いたくないけど、日本でだって『ベイビーわるきゅーれ』とか、最近話題の『キングダム』とか、アクションに力を入れている作品は増えています。それこそ、資金の多いハリウッド産映画とも渡り合えるくらいの。

日本はそんなスゴイアクション映画が作れる国なのに、このアクションは舐めてると言わざるを得ない。

橋本環奈さんがめちゃくちゃ好きな人には……ウケるのか?

 

以上。