
今回は『アンチャーテッド』の映画版について感想を書いていきたいと思います。
僕が初めて『アンチャーテッド』をプレイしたのは、高校生のとき。当時はゲーム実況なんてなかったんで、中古ゲーム屋でジャケ買いした記憶が。
今でこそ大迫力の演出が使われたゲームはたくさんあるけど、当時としては衝撃的で!カメラが手前に動いたり、キャラクターよりも背景を強調しはじめたりと、高校生の僕には刺激が強すぎたゲームでしたw
それからドハマりして、全作品を最低2周ずつはプレイしておりますが、映画版に関しては鑑賞前から若干不安が……。
とにかく「エレナいねーのかよ!!」って感じなんですよね。若いころとはいえ、まさかのメインヒロイン不在ですから。
その他にも「プレイする映画」だったのが、「ただの映画」になってどうなるんだ?とか不安はいろいろ……。
グダグダ言ってても仕方がないので、さっそく公開日に鑑賞して参りました!
アンチャーテッド
あらすじ
ニューヨークでバーテンダーとして働くネイサン・ドレイク(ネイト) は、器用な手さばきを見込まれ、トレジャーハンターのビクター・サリバン(サリー) から、50億ドルの財宝を一緒に探さないかとスカウトされる。ネイトは、消息を絶った兄のことをサリーが知っていたことから、トレジャーハンターになることを決意する。同じく財宝を狙う組織との争奪戦の末に、手がかりとなるゴールドの十字架を手にしたネイトとサリーは、500年前に消えたとされる幻の海賊船へとたどり着くが……。
作品解説
原作となったのはPS3からスタートしている『アンチャーテッド』シリーズ。
冒険家のネイサン・ドレイク(ネイト)が世界中のお宝を探す、アクションアドベンチャーとなっていて、B級アクション映画のようなノリと、映画的な演出が魅力のゲームでした。
シリーズは一応完結を迎えているわけですが、映画版となる今作は主人公・ネイトの若いころが描かれるようで。ゲーム本編でも「過去編」としてネイトの少年期が描かれましたが、それとも異なるストーリーとなっています。
予告編を観るかぎりでは、第4作目『海賊王と最後の秘宝』を下敷きとしつつも、シリーズの名シーンが組み込まれていました。
そんな今作のメガホンを取っているのは、『ヴェノム』や『ゾンビランド』シリーズを手掛けたルーベン・フライシャー。
家族や相棒との絆をアクションコメディに落としこむ作風の監督なんで、『アンチャーテッド』にはぴったりかなと。
キャストを紹介していくと、
主演は『スパイダーマン ノーウェイホーム』での活躍が記憶に新しい、トム・ホランド。
相棒のサリーをマーク・ウォールバーグ、メインヒロインに昇格したクロエは『トゥルース・オア・デア』のソフィア・アリが演じております。
僕のイメージでは、ネイトは完全にジェラルド・バトラーで、サリーは故人だけどポール・ニューマンでした。
感想
スルメ的評価
ストーリー | ★★☆☆☆ 2/5 |
キャスト | ★★★☆☆ 3/5 |
構成 | ★★★☆☆ 3/5 |
アクション | ★★★★☆ 4/5 |
総合評価 ★5/10
「これはひとまず成功……なのか?」
ゲームをプレイしている僕でも、娯楽映画として楽しめた作品でした。
『インディージョーンズ』とはいかなくとも、ブロックバスター映画としては誰もが満足できるクオリティだったんじゃないでしょうか。
しかし、原作ファンが観たい映画だったかと言われると、微妙な感じです。
ソニックやマリオならまだしも、しっかりストーリーがあるゲームなのに内容はほぼオリジナル。見つけた財宝もスケールダウンしているし、ちょっと物足りなかったかなと。
クロエのヒロイン力も微妙で、むしろ今作のヒロインはサリーだったんじゃないかと思うくらいでしたw
※以下はガッツリネタバレが含まれます
もはやアンチャーテッドじゃなくてもよくね?
ゲームの方は中年オヤジ×初老おやじの大冒険って感じで、『最後の聖戦』のような作品でした。オッサンばかりだからむさくるしさはあるんだけど、そこがまた作品のよさに繋がっているって感じかな。
しかし、映画版では今をときめく若手俳優トム・ホランドをネイト役に起用。そのせいか、むさくるしさは皆無となり、少年漫画的な成長譚に落ち着いています。
原作ファンだとこの設定に違和感を抱く人が多くいるだろうし、「それじゃアンチャーテッドの必要ないじゃん?」って思う人がいてもおかしくないんですよ。
トムホを主演に迎えた冒険活劇を作れば、とりあえず売れるだろうし、アンチャ原作である意味あるの? みたいな。
原作大好きな僕も、そんな不安を抱えながら映画を鑑賞したのですが、その結果はやっぱり、
別にアンチャーテッドじゃなくてもよくね?
って、なっちゃったんだよなぁ。
これはネイサン・ドレイクの映画というよりは、トム・ホランドの映画だし、なんならピーター・パーカーの映画にも観えてきちゃうくらい。
確かに冒険活劇として、大作アクションとしては満足できる出来だと思いますが、別に『アンチャーテッド』である必要性はない。トムホ×ウォールバーグのバディムービーでよかったんじゃないかな。
「ゲームのオマージュとかはあるんだけどねぇ」
ただ、声を出して言いたいことは「今の時点では」ってこと。
今作はあくまでもネイサン・ドレイクのオリジンなんですよね。言ってしまえば壮大な準備期間を描いた作品であると思う。
映画の最後には次回作の伏線も仕込まれていたし、続編で一人前のトレジャーハンターになって初めて、アンチャーテッドを原作にした意味が出てくるのかなと。
3年後か4年後かわかりませんが、続編が公開されたときに、ようやく今作の評価を固めることができるのでしょう。それまでは保留にしておきたいところなんだけど、そもそも続編ないかもしれないし。
クロエのキャラクターが弱すぎる
一応、今作のヒロインはクロエということになるのでしょうが、そのクロエがキャラクター的に弱すぎる。
登場シーンでさっそくネイトから鍵を盗み、あっけなく捕まえられ、重要なヒントも見逃していると。そればかりか重要局面でネイトを裏切り、敵側のスパイだったことが判明。その後はネイトとの仲を取り戻すも、結局はネイトに騙されラストの戦いには参加すらしないと。
敵か味方か分からない峰不二子的な立ち位置につかせたいのだと思いますが、周囲に振り回されているだけの印象が薄いヒロインになっていました。
正直言っちゃうと、いなくてもよくね?ってくらい薄いキャラクターになってたんですよね。
原作でもクロエはサブヒロイン的な扱いのキャラクターですが、それにしてもって感じで。
結局サリーやサムとの仲もイマイチ読めないし、ネイトと必要以上に距離が近付くわけでもない。かといって、仲間になるわけでも、完全に敵対するわけでもない。
「ヒロイン枠なのにもったいないなぁ」
これも先ほど書いたことと同様、続編への布石なのかな?
確かにクロエって2作目から「すでにネイトと意図悶着あった状態」で登場するから、オリジンには欠かせなかったのでしょうか。
それとも最近はやりのスピンオフ枠? そのうちクロエとナディーンのドラマとか作られそう。
ゲームへのオマージュ
せっかく原作をプレイしているので、ゲームとの関連性を発見した部分だけまとめていきます。
まず映画冒頭。いきなりネイトの「ヤベヤベ」のセリフからスタート。今回は字幕で鑑賞したのですが、「ヤベヤベ」を最初に持ってくるあたり、わかってるわ~。
そして、第3作目にあった空中に放り出されるシーン。ここで人間離れした跳躍力と握力を披露し、カメラワークもゲームで崖登りしている場面を意識したような構図に。時系列を入れ替えて、緊迫したシーンを冒頭に持ってくる演出は2作目の列車シーンからですかね。
その後にネイトがトランクを開けるシーンで、ノーティドッグのロゴが登場!小さくて見えにくいけど、ゲームをプレイした方なら確実に気がつくでしょう。
謎解きシーンではしつこいくらい「日記を確認して」「日記にはなんて書いてあったの?」とありますが、これもゲームプレイ済みの人なら笑えるポイントかと。原作では謎解きの際に何度もノートを確認し、「腕の位置これであってるっけ?」とかやりますから。
塩の入った壺のシーンでは、ロードの際に起きる持ち上げ演出が再現。今作のネイトは慣れてないのが、また面白い。
ラストのカトラスでのバトルは第4作目のオマージュになるのかと思いきや、まさかの『エンドゲーム』オマージュが。あ、小さい方はサリーが使うのね。
「ゲームをプレイした人に向けたネタも満載だね」
と、こんな感じでゲームのネタも多く使われているのですが、「ここはゲームを意識しないのかよ!」って点も多くてですね。
個人的には苦労してまで見つけた宝物が、意外としょぼくてがっかり。原作だと黄金の像を見つけたり、超自然的なアイテムだったり、「物」として印象に残るお宝ばかりなんですよ。
でも、今作ではただ黄金が見つかるだけ。確かに現実で見つけたら失禁するくらい喜ぶでしょうが、これは『アンチャーテッド』ですからね。
まだ駆け出しだとしても、『地図なき冒険の始まり』でシボラ見つけたりしてるんで、せめてもうちょっと印象に残るアイテムをお宝にしてほしかった。
ラストの解説
原作同様、やっぱりサムは生きてましたね。本当に死んでたら笑うしかないのですが、サリーの目の前で撃たれたって言っていたのに、刑務所に収監されていたのはどういうこと?
原作でのサムは刑務所にいる間もずっと海賊の秘宝を探し求めていました。その後、無事刑務所を脱獄し、ネイトと合流するというストーリーになるのですが、今作の場合サムが探していたお宝はすでにネイトが見つけています。
続編があるなら当然再登場するのでしょうが、その場合サムはどんな役回りをするんだろう? 刑務所で出会った誰かにエル・ドラドの話を聞いたとか、無理やり原作のストーリーと合流させるのかな?
もう一つの映像ではネイトと髭を生やしたサリーが、謎の男と”交渉”している様子が映し出されます。
そこでローマンの名前が出たことから、続編は『エル・ドラドの秘宝』になるのかな。「ナチス」という言葉も気になっていて、ナチスを追っていった結果、例のU-ボートを発見するのかもしれません。
そうなれば原作のストーリーに合流するので、今回は登場しなかったエレナもほぼ確定って感じかな?
最後に
「プレイする映画」だったのが「映画」になったことで、若干スケールダウンしてしまった今作。
トム・ホランドとマーク・ウォールバーグの組み合わせは、良い化学反応が起きていましたね。というより、トム・ホランドって年上の俳優と絡むのが合っているのかも。
個人的にはカンバーバッチよりも相性よさそうなコンビに見えましたが、どうでしょう?
続編があるのか今の時点では不明ですが、せっかくなら原作のストーリーを観てみたいところ。
映画が面白いと思った方々も、ぜひ原作をプレイするきっかけになればなと思います!
以上。
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