
今回はMCU最新作『ソー ラブ・アンド・サンダー』の感想です。
この映画、タイカ・ワイティティ監督であることはもちろんのこと、ガーディアンズの面々が登場することに魅力を感じていまして。
ホリデースペシャルやVol.3を前にして、ようやく登場!しかも、ワイティティ監督によるガーディアンズ!
そして、驚いたのはナタリー・ポートマンの腕。マイティ・ソーというキャラクターを演じることの説得力よ。
さらにはクリスチャン・ベイル演じるゴア・ザ・ゴッド・ブッチャーもいますし、期待せずにはいられない映画だ……!
※この記事はMCU作品のネタバレが多分に含まれています。
ソー ラブ・アンド・サンダー
あらすじ
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとともに旅をしていたソー。しかし、かつての仲間のピンチを救うため、チームを離脱し、地球にあるニュー・アスガルドへと向かいます。
しかし、そこにはムジョルニアを操る、マイティ・ソーこと、ジェーン・フォスターの姿が。久しぶりに再会したふたりは、懐かしい話をする間もなく、ゴアに襲撃されてしまう。
“神殺し”の異名を持つゴアを倒すため、ニュー・アスガルドを旅立ったジェーンとソーですが、この瞬間にもジェーンの身体は病にむしばまれていて……。
作品解説
『マイティ・ソー バトルロイヤル』や『ジョジョ・ラビット』を監督した、タイカ・ワイティティ監督の最新作。
時系列的には『アベンジャーズ エンドゲーム』よりも後のストーリーを描いていて、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーも登場します。そして、太っていた肉体も元どおりになり、神々との対決も楽しめるのが本作です。
キャストは『スパイダーヘッド』での演技が記憶に新しいクリス・ヘムズワースを筆頭に、MCUに復帰したナタリー・ポートマン、『MIB インターナショナル』のテッサ・トンプソンなど、新旧『ソー』シリーズのキャストたちが集結。
さらにはクリス・プラットやブラッドリー・クーパーなどの「ガーディアンズ」メンバーたちや、ゼウス役で『グラディエーター』のラッセル・クロウも参戦しています。
特に注目したいのが、バットマン俳優としてもおなじみのクリスチャン・ベイル。本作ではヴィランを演じていて、バットマンとは異なった演技を見せてくれている模様。
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『ソー ラブ・アンド・サンダー』評価
ストーリー | ★★☆☆☆ 2/5 |
キャスト | ★★★★☆ 4/5 |
演出 | ★★★☆☆ 3/5 |
映像 | ★★★☆☆ 3/5 |
総合評価 ★ 5/10
「うーん、微妙!!」
期待値がとんでもなく高かったこともありますが、思ったより楽しめず、鑑賞前と後の高低差がスゴイ映画でした。
ワイティティ監督、僕は本当に好きなんですよ。でも、味が濃すぎて、「ヒーロー映画に向かないのでは?」との疑問が浮かんできます。
この映画を観てしまうと、前作『バトルロイヤル』が奇跡のような出来だったのではないかと思ったり。
あれほどヒーロー映画をしていて、ワイティティ監督の味も活かされている映画は、今後も生まれないのではないだろうか。
そして、ラストの展開には本当にがっかり。
MCUの世界が一段階広がったと考えるべきなのか、それとも“死”という概念が薄くなったと考えるべきか。
けっしてつまらなくはないし、ワイティティ監督の新作が見られるだけで幸せですが……。映像的にも迫力に欠けていて、『スター・ウォーズ』が不安になりますね。
※以下は『ソー ラブ・アンド・サンダー』のネタバレを含みます
『ソー ラブ・アンド・サンダー』感想
ワイティティ監督の映画として
僕はワイティティの映画が大好きで、新作はもちろん、翻訳されている過去作は恐らくすべて観ています。MCU作品の中でも『バトルロイヤル』は上位に来るし、『ジョジョ・ラビット』は刺さりまくり、俳優としての出演作も追っているほど。
ただ、本作に関してはワイティティの味が濃く、かなりクドく感じました。特にジョークのくだりは何度も語るほど笑えないし、「決め台詞が定まらない」話は1回で十分。そもそも決め台詞ってこれまで重要視されてきたっけ?
特にがっかりしたのは、序盤の「ガーディアンズ」との絡みですよ。確かに戦力的にソーの方が強いことは明確ですが、「ガーディアンズ」の和を乱しまくり、チームの良さを完全に潰す展開に。ルッソ兄弟はあんなに上手く絡ませていたのに。これならコーグの語りで済ませてしまった方が、まだ印象がよかった気がします。
「ガーディアンズだけはアカン」
傑作だと思っている『バトルロイヤル』は、後に『ブラック・ウィドウ』にも参加するエリック・ピアソンが脚本を手掛けていたんですよね。監督の色は濃くても、ストーリーはMCUらしさを保っていたし、それらのピースがバシッと噛み合って傑作たり得ていました。
一方、本作がワイティティみずからが脚本も執筆。当然のごとく味が濃くなり、もはや調和を取るのが難しい状態に。紛れもなくワイティティ監督の映画だけど、MCUを観に来ている身としては、ノリきれない部分が多くあります。
これまでもジェームズ・ガンや、クロエ・ジャオ、サム・ライミなど、作家性が強烈に反映されたMCU映画は多かったですが……。ワイティティは大好きな監督であるだけに、意外とMCUとの親和性が低いことを知り、ちょっとショック。
マイナス面だけ書いても仕方がないので、よかった面も挙げていくと、
序盤の寸劇。今回は『バトルロイヤル』の内容を反映していて、ロキ役にマット・デイモン、ソー役にルーク・ヘムズワース、オーディン役にサム・ニールと安定の布陣。さらに、ヘラ役がメリッサ・マッカーシー!! これだけで1本映画が作れてしまうほど、超豪華なキャストです。マット・デイモンは本格的にMCU入りしてほしいですが……。
続いて、ムジョルニアvsストームブレイカーの無機質同士の嫉妬バトル。ソーの背後からユラ~っとストームブレイカーが近づいてくるところは、声を出して笑いそうになりました。
あと、展開としては、ムジョルニアを分解させたまま復活させたことかな。ソーとは異なるアクションも可能になりましたし、映像としても徐々にムジョルニアが組みあがっていくのは面白い。活かされているシーンが少なかったのが、問題なわけですが。
番外編として、クリスチャン・ベイルがアメコミ映画でヴィランを演じることの凄さを実感する。しかも、「ヒース版ジョーカーを意識したのでは?」と噂されていることもあって、登場するだけでちょっと泣きそうになりました。
実はバットマン俳優では、マイケル・キートンがすでにMCU入りしているので、残るはベン・アフレックか? マット・デイモンもいるしね。ジョージ・クルーニーは……難しそう。
ヴァルハラ
はい、最大の問題点について語っていきたいと思います。
それが「ヴァルハラ」の存在。戦場で亡くなった戦士が行く場所のようで、日本的に言えばあの世ですね。映画のラストでジェーンがこの場所に行くことになるのですが、その直後に「ソーは帰ってくる」の文字が。この“ソー”がクリス・ヘムズワース(ソー)をさしているのか、ナタリー・ポートマン(マイティ・ソー)なのかは不明ですが、さすがにジェーンを現世に戻すのは勘弁してほしい。
そもそも“死後の世界”を描いてしまうことに、ちょっと……いや、かなり抵抗があります。
ヴァルハラが戦場で亡くなったアスガルド人が行く場所ならば、そこにはホーガンやスカージなどもいるのでしょうか。
考えようによっては、ロキもいますよね。ドラマ版『ロキ』に登場しているのは、『アベンジャーズ』から分岐した世界のロキなんで、サノスに殺害された本来のロキもどこかにいるはず。
「復活展開はやめてほしいけどなぁ」
死んだら無に帰る。だからこそ命の重みがあるし、ヒーローたちの戦いに感動し、興奮するわけで。
明確に死後の世界を描いて、『ドラゴンボール』のように現世とほぼ変わらずに生活できる場所があるなら、今後のMCU世界では死が軽くならないか?
「アスガルド人限定だから~」とかではなく、存在してること自体が問題なんですよね。なんかとっても複雑。
最後に
ワイティティ版『スター・ウォーズ』は大丈夫か?
MCUはかなり懐が深いシリーズですが、『スター・ウォーズ』は保守的なイメージがあるんですよね。
歴史のあるシリーズよりも、『シェアハウス~』のような尖りきった作品を観たい。
以上。