どーも、スルメ(@movie_surume)です。
私、個人的に良くブログに書いているのですが、最近アクション×コメディが乱立しすぎ。
確かに面白いし、とっつきやすさはある。大抵はストーリーもシンプルで、バディものだったりして駆け合いも楽しめて、万人にはウケるのでしょう(私も含む)。
ただね。さすがに多すぎないかなと。もうお腹いっぱいだぜと毎回思っちゃうんですよね。
俺はもっと硬派なアクションが観たいんだ!
そう思わずにはいられない。
そんな個人的な流れの中、今回の映画『ラストデイズ・オブ・アメリカン・クライム』は硬派なアクションクライムに見えなくもないです。
実は新作映画を全然観に行けない中、意外と楽しみにしていた作品でもあるんですよね。次週のスパイク・リー最新作も楽しみなんだけど。
※この記事はネタバレを含みます!
ラストデイズ・オブ・アメリカン・クライム
あらすじ
脳内のシナプスを操作して、違法行為を阻止するシグナルを政府が発信する日が迫るアメリカで、敵討ちに燃える銀行強盗が、最後に史上最凶の大仕事を企てる。
ラストデイズ・オブ・アメリカン・クライムの評価
僭越ながら『ラストデイズ・オブ・アメリカン・クライム』の満足度を★10段階で表すと・・・・・・
5
★★★★★★☆☆☆☆
シンプルな設定なのに疑問点が多々あるような映画
「脳内のシナプスに電波を送って…」とか説明がありますが、それはただの裏付け的なやつで、要は犯罪者に犯罪をさせない電波を流してしまうっていうSFな映画です。
しかし、作品の内容としてはタイトル通り「クライム(犯罪)」に重点が置かれており、SF的な設定はあくまでも背景。前半部分でサラっと説明がされますが、このクライムの裏ではもっと面白いドラマがあるような気がするんだよね。
だってさ、完全に犯罪を弾圧しちゃうわけで。どう考えても人間としてやっちゃいけない政策だと思うのですが……。
この非人道的システムに反発する人、それを推し進める政府。またはシステムで利権を得ようとする富裕層。システムに対する市民の反応は作品内で顔を出す程度だったのが残念。
設定に関してはもう少し掘り下げて欲しかった感じはありますね。
そして最も大事なクライム部分。主人公とその仲間たちは「アメリカ史上最後の大犯罪」をやってやろうという建前で犯行に及びます。
仲間にもそれぞれ背景があって、名を上げたいだけの人もいれば、復讐に燃えるヤツもいる。「こんなチームで大丈夫か?」と思いつつも、変にコメディを挟まず大真面目にクライムしてくれるのが良いよね。
ただ『オーシャンズ』のようなスーツを着て鮮やかに…!という感じでは断じてない。かなりゴリ押しな部分もありまして、計画通りに進んでいく気持ちよさを感じる場面は少なかったかも。
クライム映画にありがちな二転三転する展開に関しても、ゴリ押し感が否めません。
ここから先は『ラストデイズ・オブ・アメリカン・クライム』のネタバレを含みます!
まだご覧になっていない方はご注意を!!
ラストデイズ・オブ・アメリカン・クライムの感想(ネタバレ)
その設定、疑問点が多すぎじゃね?
犯罪を犯すヤツをAIが事前に察知して…という設定は多く目にします。『マイノリティ・リポート』とかアニメの『PSYCHO-PASS サイコパス』とかね。
それですらディストピアすぎると思うわけですが、本作はそこよりさらに上、「強制的に悪さが出来ないような身体にされる」という独裁者もビックリな設定です。
この電波が発せられてからは絶対に犯罪を犯すことはできなくなり、自らの行動が完全に抑制されてしまうと。警察とかはマイクロチップを入れて回避しているって設定もあります。
ただ、このSF設定。観ていると疑問点が多く上がってくるんですよ。
そもそも「悪いこと」の範囲は人によって様々ですし、日本だったら「俺にその電波は効かねぇ…。なぜなら俺にとって犯罪は遊びだからだ!」みたいにな悪役キャラが出てきてもおかしくない。
実際に設定を聞いてすぐに「電波を無効化できるヤツ」が登場すると確信しました。
ストーリーは全然違うのですが、ウィル・スミス主演の『アフター・アース』という映画がありまして。そこに登場する大型モンスターは人間の”恐怖”を感じ取って襲ってくるという設定があります。
普通の人間はそのモンスターの恐ろしさに恐怖心を抱きますが、ウィル・スミスだけはモンスターを観ても怯まない。恐怖を感じていないからモンスターからもウィルの姿が見えず、ほぼ無敵状態という展開なんですね。
『ラストデイズ・オブ・アメリカン・クライム』でも同様に、犯罪に対する「罪悪感」とか「背徳感」を感じていない人がいたとしたら。電波に対して無敵な犯罪者が生まれるような予感さえします。
まぁ、電波が感情に対してなのか何なのかが分からないのですが。脳が犯罪かどうかを区別するのは感情しかないと思うのだけれど。未来の技術だから何とも言えない。
恐らく電波が発せられてからの世界では、マイクロチップで難を逃れた大物犯罪者が子供たちを洗脳・教育すると言う展開が妄想できますね。犯罪は少なくなると思いますが、0にはならないと予想します。
時計じかけのオレンジとの共通点
スタンリー・キューブリック監督による超名作映画『時計じかけのオレンジ』と『ラストデイズ・オブ・アメリカン・クライム』の共通点について語りたいと思います。
まず両作品とも近未来が舞台です。今よりも荒廃した世界であることも共通点と言えるでしょうか。
『時計じかけのオレンジ』では主人公アレックス・デラージが度重なる犯罪で警察に逮捕され、洗脳されるというストーリーが展開されます。政府の実験体にされ、犯罪や暴力を行おうとすると吐き気を催すようになってしまった彼は常に暴力に対して無防備な状態になってしまうと。
『ラストデイズ・オブ・アメリカン・クライム』は国民全員をこのアレックス・デラージにすると言っても良いでしょう。その結果はアレックスと同じように反抗する暴力すらも奪われた世界が待っています。
そう考えると何故こんなアホみたいな策が施行されてしまったのか。どう考えても悪手であり、国民の理解も得られるはずがない。それは犯罪者以外の人々の行動も制限されてしまう事になるからです。
真面目な映画なのに設定がギャグみたいに思えてしまうのは、そこら辺が描き切れてないからでしょう。正直そんな技術あるなら、クライムの面でも近未来感見せて欲しかったけどね。
クライム映画として
さて、背景ばっかりが気になったため重要な部分の印象は限りなく薄い。
強盗団のメンバーは弟を殺された復讐に燃える主人公・ブリック。そんな主人公を犯罪に誘った、ちょっとイカれたボンボンの息子・ケヴィン。そして紅一点、ケヴィンのフィアンセだけどブリックにも傾きつつあったりする本作の峰不二子・シェルビー。
それぞれが他人には明かさない裏を持っていたりするんですが、正直サプライズ感はないよね。
犯罪に関しても金庫から大金を盗むという目的ですが、意外と正面から向かっていったりもする。偽札印刷したり、ハッキングしたりとそれっぽいことはやっているけどね。
最後は銃撃戦になっちゃうような映画ではありました。分かりにくい例えをするならば、初心者がプレイしている「メタルギアソリッド」って感じで。隠れないこともないけど、すぐ発見(!)されるから結局はソーコムでゴリ押しみたいなw
これはもうクライムと言うよりは、ただのアクション映画じゃないかなぁと思う次第でございます。
本作もクライムを代表する『オーシャンズ』シリーズ同様に、作戦の終盤にひっくり返すようなことが起きます。
そこで仲間一人の裏切りに遭い、ソイツがまさかの電波無効人間でありましてw 主人公の弟を殺したのもソイツだって展開で、復習する相手がイキナリ前に出てきちゃったよ!と。
しかし主人公は電波のせいで復讐は遂行できないので、さぁどうなることやら!ってラストでしたね。別にコレといって特筆すべき部分はないかなぁ。
まとめ
『タイラー・レイク』以来の硬派なNetflixアクションではあったので、満足度は意外と高め。
最後まで観て思ったのは、SF展開の中途半端さが気になってしょうがない。0,100の話ではないんだけどさ。上手く共存している訳でもないし、どうなんでしょと。
後から知ったのですが、監督は『96時間』シリーズの人なんですね。次回作に期待しておきます。
以上!!!
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