Netflix映画『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』ネタバレ感想 傑作サンカク関係映画

 

どーも、スルメ(@movie_surume)です。

 

いやいやいやいや……!!

書き出しからかなり興奮した入りになりそうですが、ここに来て!コロナで新作映画の上映がないのに!傑作映画に出会ってしまったようで……!

というのも最近ブログのネタがないもんで、いつも以上にNetflixオリジナル作品を観続けているんですね。こんな状況下では更新も滞るし、映画ブログだから書くことがそもそもないしで困っていたところにNetflixだよ……!

いや~久しぶりにNetflixオリジナルで、”当たり”って言ったらかなり失礼だけど、良作に巡り合った気がします。

 

ってことで今回語っていく作品は…

『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』

でございます!サブタイトルの謎さは、もはやご愛敬。絶対「ハーフ・オブ・イット」だけで良かっただろと思わずにはいられない……!

 

※この記事はネタバレを含みます!

 




 

ハーフ・オブ・イット

あらすじ

アメフト男子に頼まれて、ラブレターを代筆することになった成績優秀なエリー。お陰で彼との友情は芽生えたけれど、彼と同じ女の子が好きな心の内はかなり複雑…。

Netflix

監督

本作のメガホンを取ったのは台湾系アメリカ人のアリス・ウー

アメリカで暮らす中国系を描いた2004年の映画『素顔の私を見つめて…』で注目を集めるも、本作までの16年ほど長編映画制作は行っていなかったようです。

キャスト

主演を務めたのは短編映画などに出演していたリア・ルイス。正直私の観ていた作品には出演していなかったんで、本作がたぶん初見。本作での演技を見ただけですが、幅広く演じられそうな女優ですよね。

この映画の3割、いや4割くらいは彼女のキャラクター・演技で成り立っているような気がしたんで、この役への抜擢から他の映画に繋がってくれると私が嬉しい。

そんな彼女と不思議な三角関係を結んでいくのがダニエル・ディーマーアレクシス・レミールの2人。この二人も……ごめん、知らなかった。

その他キャストはコリン・チョウ、エンリケ・ムルシアーノ、キャサリン・カーティンなどなど。

 

 

評価

僭越ながら『ハーフ・オブ・イット』の満足度を★10段階で表すと・・・・・・

 

7
★★★★★★★☆☆☆

 

「地獄に行く」ってなかなか酷い言葉だよね

同性愛の作品は近年増えてきているように思えて、私も鑑賞する機会が増えているんですが、久しぶりに聞いたよこんな言葉。信心深いキャラクターが出てくるからかね。

監督のアリス・ウーは前作の『素顔の私を見つめて…』でも中国系女性の同性愛者を描いていまして、本作の主人公であるエリーもそこから繋がってくるのかなと。それとも監督自身を写した姿でもあるのだろうか。

ストーリー自体はベタなんですけれども、三角関係がね。ドロドロになり過ぎなくて、美しく終わらせたのも印象深かったかなと。

これまで三角関係の映画と言えば吉田恵輔監督の『さんかく』が好きだったのよ。彼女の妹が好きになっちゃって……みたいな映画でラストシーンが妙に刺さりまして。

でも、本作が出てきてしまうと揺らぐなぁ。そもそもあまり三角関係が出てくる恋愛映画を好きになる傾向がないのですがw

 

後はやはり主人公のエリー・チュウのキャラクターが生きていたよね。完全に。

マジで監督自身を投影しているんじゃないかと途中から思い始めるくらい作り込まれた、愛すべきキャラです。

特にアスターとの温泉でのシーン。エリーは恥ずかしがって上半身を脱がないんですよ。「いや、これマトリョーシカみたいな肌着だから」と可愛らしい言い訳をしますが、あの温泉のシーンめちゃくちゃ良かったよなぁ。

それとソーセージ?を作るポールとエリーの父のシーンが交互に映しだされたのが、ポイント高かったと思います。

 

ここから先は『ハーフ・オブ・イット』のネタバレを含みます!

まだご覧になっていない方はご注意を!!

 




 

 

感想(ネタバレ)

田舎町にある息苦しさ

 

「これは恋愛モノではない」

「望みが叶う話でもない」

 

そんな言葉から始まる本作は、アジア系の少女・エリーと彼女にラブレターの代筆を依頼した男の子・ポール。そしてポールが片思い中のアスターの3人が三角関係に陥るストーリー。

田舎町では珍しいアジア系のエリー・チュウは通学中「チューチュートレイン(日本語だと汽車ポッポ的な感じです)」とからかわれ、学校ではお金をとってレポートなどの代筆を行っている女子生徒。

彼女はこの小さな町の中で誰からも理解されず孤独感を抱いており、誰にも心を開くことはありません。そんなときに同級生のポールからラブレターの代筆を依頼されます。お相手は学校内でも名の通ったアスター。

最初は断るエリーでしたが、電気代を支払うために「1通だけ、50ドル」と条件を付けてラブレターの代筆を受け入れます。

そこから徐々にポールと仲良くなり、エリーはどうやって二人をくっつけるか相談に乗り始めるものの、問題が発生します。

 

エリーがラブレターを通じてアスターを特別な存在だと認識してしまうんですね。エリーは孤独感を抱えていましたが、小説やアートに関する知識をアスターと共有することが出来ました。

ポールはアスターが好き。アスターもポールが気になり始めてる。でもラブレターを書いている”中の人”はエリー。

さぁ、面白くなってきましたね~。「私が会話していたのは彼じゃなくてあなただったのね」的な映画、他でも観たことがある気がするんだけど、なんだっけな。

最初は「次第にエリーがポールのことを好きになっちゃう」ストーリーかと思っていましたが、なるほどそう言うことかと。

 

エリーはアジア系であって同性愛者でもある。でも自身のアイデンティティを隠すというか、弱さを人に見せないよう生きている、生きてきたんでしょう。

本心ではポールとアスターが付き合ってしまうのは少なからず抵抗があるけれど、ラブレターを送るのを止めたらアスターとの繋がりが亡くなってしまう。そのか細い繋がりを必死につかんでいくエリーは苦しそうだけど、観ている私からするとロマンチックに思えたり。

文通なんて今の世の中しないからさ。特に壁の落書きで間接的に交流するシーンはロマンチックだったよね。顔を合わせず二人で絵を完成させていくって二人のちょうどいい距離を描く場面としては完璧でした。

 




 

三角関係へ

そしてエリーの作戦は成功?し、付き合い始めることになったポールとアスター。エリーは複雑な思いを抱えながらも、ポールを陰から支えていたりと健気に動いていました。

アスターとも「ポールの友人」という立ち位置で話すようになったり、良い方向に進んだかに見えたのですが、試合に勝った喜びからポールがエリーにキスをしてしまうという事態に。

しかもそれを偶然アスターが目撃してしまうという。完全に三角関係になりましたよね。しかもアスターのことが好きというエリーの気持ちもバレてしまいます。

そこで恐らく信心深いであろうポールが呟いた言葉が「地獄に行く」でした。かなりひどい言葉吐くやんポール…!

 

ここで私が思う第二のロマンチックポイント!映画の中ではエリーとアスターの共演時間は非常に少ないのですが、映画の中で最も美しく重要なシーンがあります。

映画を観た方なら誰もが印象に残ったであろう温泉のシーンなんですが。

アスターに憧れているエリーは服を脱ぎ続ける彼女に目を向けられず、パッと身体ごと後ろを向くんですよ。

このシーンでの初々しさというか、青臭いというか私の思う本作のベストシーンでした。温泉で泳いでるシーンではなく、エリーが目を背けるシーンね。

その後に教会で「愛とは……」とエリーが語るシーンがありまして、そこはイマイチ刺さらなかったな。映画の中で誰かが熱い言葉を言うと、後ろに下がりたくなってしまうこの感じ……。あまり理解はしてもらえなさそうですが、私の中では結構この感情を大切にしています。

 

あと巧みに組み立てられた画面作りも一つ書いておきたい。

例を挙げるとポールが告白するダイナーでのシーン。外で観ているエリーの視点になってメッセージの文章が外壁に映し出されるというカットがありまして。

最近はかなり映画の中でスマホでやり取りしているメッセージが表示されるって演出が多くなりましたが、本作のこのカットはその中でも群を抜いていると思う。

他にも挙げればキリがないくらい美しいシーンがありましたが、全部書くと疲れるのでこの辺で。

 




 

まとめ

 

Netflixの映画でここまで好きになれたのは久しぶり。

 

去年は『マリッジ・ストーリー』とか『アイリッシュマン』ありましたが、今年はそこまでの良作に巡り合っていない感じがしたからさ。

ロッテントマトでも軒並み高評価が続いているっぽいですね。普段はあまり意見が合うことのないトマトだけど、今回は全面同意って感じでございました。

 

以上!!!

 

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