
今回は『悪魔のいけにえ』シリーズ最新作、『レザーフェイス・リターンズ』をレビューしていきます。
このシリーズはスプラッター映画の代名詞となった第1作目から、割とグダグダしちゃったシリーズなんですよね。
リメイクとか続編とか、さらにはリメイクの続編とか、やっぱりなかったことにしたりとか……
単体のストーリーは単純なのにシリーズは大人の事情で複雑化するという、観客には嬉しくない展開となりました。
最新作となる今作も権利の移行があったりして、これまでの展開が一度リセットされています。
今回はそこらへんの状況も解説しながら、感想を書いていきましょう!
悪魔のいけにえ レザーフェイスリターンズ
あらすじ
テキサスのゴーストタウンを再生しようとする若者たち。人皮のマスクをつけた殺人鬼、レザーフェイスが町に潜むとも知らずに…。血の惨劇が、再び幕を開ける。
作品解説
今作は『悪魔のいけにえ』第1作目の続編となる作品です。
第1作目の続編は今まで『悪魔のいけにえ2』と、『レザーフェイス一家の逆襲』の2作品が制作されていますが、その設定をすべてリセット!
「もう一回、悪魔のいけにえの続編作ろうぜ!」って感じでスタートした作品となっています。
なので、シリーズ作品の復習は『悪魔のいけにえ』1作だけで十分かなと。僕も追い切れていない作品があったりするのですが、問題なく楽しめました。
キャストは完全に一新されています。
長年レザーフェイス役を務めていたガンナー・ハンセンも亡くなったので、マーク・バーナムが新たに起用されました。
その他キャストは『エイス・グレード』のエルシー・フィッシャーや、サラ・ヤーキン、アリス・クリーグなどなど
感想
スルメ的評価
ストーリー | ★★☆☆☆ 2/5 |
キャスト | ★★☆☆☆ 2/5 |
キャラクター | ★★★★☆ 4/5 |
スプラッター | ★★★★☆ 4/5 |
総合評価 ★5/10
「スプラッター好きとしては、評価したいところなんだけど……」
前作の『レザーフェイス』があまりにも酷かったので、今作はキラキラ輝いて見えましたw
批評家からは酷評される作品だと思いますが、僕はスプラッターやB級映画に味を感じてしまうタイプなので、わりと楽しめましたね。
特に中盤のスプラッターシーンは近年の『悪魔のいけにえ』シリーズの中で、もっとも素晴らしい場面だったと思います。
ただ、ストーリーには猛烈な既視感があって、「え、この世界ループしてんの?」ってくらい、いつも通りの悪魔のいけにえ。
せっかく舞台を現代にアップデートしたのに、やってることは何も変わらないなんて、悲しいよ。
※以下はがっつりネタバレが含まれています
再起を狙ったのかもしれないが……
同ジャンルの映画で、かつての影響を取り戻しつつあるのが、『ハロウィン』シリーズですね。2018年に公開された新生『ハロウィン』は、ジェイミー・リー・カーティスを起用して、新しいホラー映画としてアップデートした結果、ヒットを記録しました。
スルメどーも、スルメ(@movie_surume)です。 僕が映画『ハロウィン』に出会ったのは、高校生のとき。映画の中で窓から落下したブギーマンを俯瞰するショットがあったと思[…]
一方、『悪魔のいけにえ』はレザーフェイスのオリジンを描こうとして大失敗。奇をてらいすぎてレザーフェイスのキャラが崩壊するという、散々な結果となっています。その結果が今作の制作へと繋がっていきます。
原題を見てもらえばわかると思うのですが、「Texas Chainsaw Massacre」は第1作目と同じタイトルなんですよね。最近は続編でも1作目と同じタイトルをつける作品(『ハロウィン』も)が多くて、そのほとんどの作品が再起を狙った映画だったりする。
つまり、今作はタイトルからして、「いちからやり直すぞ!」という意気込みが感じられる映画になっているわけです。
「これは期待できるかな……!」
ストーリーの方も郊外にあるソーヤー家ではなく、町が舞台になります。現代が舞台なので、当然全員スマホを持っているし、自動運転車なんてものも登場したりする。
しかも、主人公が高校で起きた銃乱射事件の生き残りだったり、過疎化が進むテキサスの現状を描いていたりと、社会問題を導入しています。
このように、いかにもな感じで現代にアップデートされた『悪魔のいけにえ』。
さて、再起は成功するのか?どんなホラーに仕上がっているのか?
その結果は……
「いや、いつも通りじゃねぇか!!」
良くも悪くもいつも通り。レザーフェイスはやっぱり死なないし、キチンと最後にはチェーンソーダンスを披露してくれる。
スマホもギャグネタにしか使われず、過疎化した街も単なる舞台でしかなかった。そもそも街が舞台なのにレザーフェイスは引きこもりがちで、すぐに建物中に逃げていくという具合。
『悪魔のいけにえ』の生き残りであるサリーも登場し、『ハロウィン』におけるローリーのようなカッコいい女性になっていますが、思ったより活躍せずに退場!そもそもリキャストしている時点で、あまり感動はないのだけど……。
チェーンソーがマスコット化しているとか、住民たちが街を大切に思っている描写とか、これといって伏線も回収されず。
「現代的な要素はすべてぶち壊してやるぜ!」というレザーフェイスの意気込みすら感じる作品でした。
よかった部分
個人的にシリーズ随一だと思ったのが、バスに乗っている生意気な都会人をレザーフェイスが虐殺していくシーン。一度にこれほどの人間を殺したことって、レザーフェイスにとっては初めてなんじゃね?
逃げ場のないバスの中だから、文字通りの地獄絵図。
外から見るとミキサーみたいになっていて、「これぞスプラッター!」というような、笑いすら起きてしまうシーンでした。
チェーンソーで簡単に人切断できるの?と毎回思うのですが、レザーフェイスにはそんなこと関係ないですね。流血表現も度を越えれば笑いに変えられる。それを証明したシーンでもあったと思う。
あとはサリーがリラに放った、「逃げるな!戦え!」というセリフ。
こんなのこれまでのスプラッター映画じゃあまり聞かなかったセリフじゃないですか?
スプラッター映画の登場人物って基本的に逃げの一手なんですよね。トラップでキラーに反撃とかはありましたが、逃げようとする人に向かって「立ち向かえ!!!」ってなかなか言わせると難しいと思う。
だって、スプラッター映画は最強のキラーに抵抗する間もなく殺されていくのが醍醐味だから。もはやリアクション芸の領域にあると思っているんですよ。真正面から恐れずに立ち向かっちゃ、スプラッター映画じゃなくなってしまう。
そんなスプラッター映画に「立ち向かえ」ってセリフを持ちこむのは、かなり勇気があると思うし、斬新さも感じました。それを言うのが生き残りであるサリーというのが、説得力あるよね。
「戦わなきゃ一生その影に追われることになるぞ」というのは、『ハロウィン』のローリーを意識したセリフでもあったのかな?
今後はキラーをいっさい登場させず、「スプラッター映画の生き残り」を描いた作品なんかも出てくるかもね。
最後に
『悪魔のいけにえ』シリーズはこの先どうなるのでしょうか?
今作が絶賛だったら続編作られるのでしょうが、絶賛される気がまったくしないよねw
一部のコアなファンが後押しして、なんとかもう1作できれば御の字。その後は10年くらい続編作らなくて、リブートとか作りそう。
『悪魔のいけにえ』はドキュメンタリーぽい映像表現なんかも魅力でしたが、今作ではそれが意識されてなかったですね。
もう少し、1作目に近づける傑作を作ってほしいところ。
以上。
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