
今回は『シング ネクストステージ』について書いていきます。
実はイルミネーションにとって、久しぶりの新作なんですよね。前回が『ペット2』なんで、日本にとっては2年半ぶりのイルミネーション新作となるわけで。
その間にピクサーは配信限定に切り替わったりしていたのですが、そこはイルミネーション。今回もしっかり劇場でかけてくれました!(ディズニープラスのような配信サービスを持っていないというのもあるけど)
やっぱりミュージカル映画は映画館で観るべきだと思うんですよね。特に今作においては舞台が重要なテーマとなっているわけですし、音響設備のしっかりした環境で観たいところです。
ただ、字幕版の上映が少ない!子どもウケはするだろうけど、選曲は大人向けだし、深夜帯くらいは字幕で上映してくれよと。
今回は頑張って字幕版上映の劇場を探して、ちょっと足を延ばして鑑賞してまいりました!
シング ネクストステージ
あらすじ
コアラのバスター・ムーンが再建に成功した「ニュー・ムーン・シアター」は地元で人気となり、連日満席の活気にあふれていた。しかし、バスターには、世界的なエンタテインメントの中心地レッド・ショア・シティにあるクリスタル・タワー・シアターで新しいショーを披露するという、さらなる夢があった。そのためには、クリスタル・エンターテインメント社の冷酷な経営者ジミーのオーディションに通過しなければならない。どうすればジミーの気を引くことができるか考えたバスターと仲間たちは、伝説のロック歌手で、今は隠遁生活を送っているクレイ・キャロウェイを自分たちのショーに出演させることを思いつくが……。
映画.comより抜粋
作品解説
『ミニオンズ』や『ペット』シリーズなどを生み出してきた、イルミネーションの最新作。
前作『シング』の直接の続編で、地元で成功した後のバスター・ムーンや仲間たちの成長や、邦題通り次のステージへ進んでいく姿が描かれます。
監督を務めたのは、前作同様ガース・ジェニングス。実写映画も撮影していまして、有名なところだとマーティン・フリーマン主演の『銀河ヒッチハイクガイド』ですかね。イギリスらしいシュールな笑いが前面に押し出ているSFものです。
ちなみにジェニングスは声優としても出演していまして、みんな大好きミス・クローリー(カメレオン)を演じております。
キャストを解説していくと、
主人公のバスター・ムーン役はマシュー・マコノヒー、ヤマアラシロッカーのアッシュ役にスカーレット・ヨハンソン、ダンスに挑戦するジョニー役にタロン・エガートンと、そうそうたる面々が集結。
新キャラクターのクレイ・キャロウェイ役にはU2のボーカルとして知られるボノが演じております。日本語吹き替え版はB’zの稲葉さんが演じていて、配役にこだわりを感じる……!稲葉さんの演技ってなかなか想像できないし、「出演OKするんだ……」みたいな驚きがありますよね。
吹き替え版はダンサーのヌーシー役に振付師のakaneさんが起用されていたり、大女優の役に大地真央さんが起用されていたりと、こだわりありすぎるキャスティングなんですよ。
すごい悩むくらい吹き替えも気になるんだけど、今回は字幕で鑑賞したので、日本語版キャストについてはここまで。
感想
ストーリー | ★★★★☆ 4/5 |
キャスト | ★★★★☆ 4/5 |
演出 | ★★★★☆ 4/5 |
映像 | ★★★★☆ 4/5 |
音楽 | ★★★★★ 5/5 |
総合評価 ★ 7/10
「ミュージカルは前作より進化してるよね」
劇場で観て、席を立った瞬間の感想が、
「あー、楽しかった!!!」
でした。こんなにシンプルに楽しめた映画は久しぶりのような気がします。
いろんな意味で、ミュージカル映画の原点に立ち返っているような気がしてですね。
最近はバリエーション豊かなミュージカル映画がたくさん出てきてますし、今作もその中の一つといえるんだけど、「本来のミュージカル映画の楽しさってここにあるんじゃね?」とか思ったり。
芸術性とか演出とかいったん置いて、「楽しかった!もう1回観たい!」と思えるのって、ミュージカル映画にとっては結構大事な気がする。
2022年はじまってすぐだけど、とりあえず暫定一位のミュージカル映画となりました!
※以下、がっつりネタバレが含まれます
個々のストーリーが繋がっていくひとつの舞台
確かに「ネクストステージ」として進化はしているし、ミュージカルの規模も大きくなっているけれど、基本的な流れは前作と大体同じです。
ロジータは主役と高所恐怖症との間で揺れ、ジョニーはダンスが踊れず、アッシュはかつてのロックスターを復活させたい。そんな彼らをまとめるムーンは、プロデューサー(経営者)の圧力と、最高の舞台を作りたいという願望のジレンマに陥る。そして最後にドカーン!とドでかいミュージカルをかまして、文字通り大団円で物語は終了!
それぞれ問題を抱えて初舞台に立った前作の流れが、大体踏襲されている感じですよね。個々の問題が解決されてミュージカルに臨むのではなく、ミュージカルの中で答えを見つけていくのが『シング』らしいポイントかなと。
「答えと結果が一気にやってくるんだよね」
特に新キャラのクレイのストーリーは涙腺を刺激されまして。
クレイは『シング』の世界で長年活動を休止していたロックスターって設定です。当然現実には存在していないオリキャラなわけですし、僕との付き合いもこの映画だけの1時間ほど。なのに復活ライブのシーンで目頭が熱くなってしまうという(笑)
そりゃ感動するように演出されていますけど、よくよく考えたら、まったく知らない歌手の復活ライブを見させられているだけなんすよ。でも、感動してしまうのは声優がボノだからか、大好きだけど解散しちゃったバンドとかと重なるからか……。
「稲葉さんの声で聞いていたら、どんな感情が湧くんだろう?」とか、冷静に考えちゃって涙は乾きましたが。
こんな感じで、舞台が完成していく様子が語られていくのは好きではありますけど、若干それぞれのエピソードが弱いなと思う部分も。
やっぱりロジータのエピソードはもっと深く描くべきだったかなと。舞台の主演を降ろされ、中盤以降は映画自体のメインからも降ろされつつありましたから。
高所恐怖症を克服するくだりも自分のためというより、ムーンを助けるために動いちゃったのが、なんだかなぁ。本番前にもう少し“主役”に対する思い入れを語らせて、覚悟を決めて飛ぶという流れの方が、個人的には好みでした。
グンターも重要な役割を果たしたとはいえ、だんだんと影が薄くなっていくという。このふたりはもう少しジミーと戦ってほしかったです。
ただ、そのぶんミス・クローリーが活躍してくれました!あの人が出ると、とにかく笑えるんで、次回作では準主役級の仕事を与えてください(笑)
挟まれるバスター・ムーン
僕としてはバスター・ムーンの中間管理職的な立場に注目したい。
今回は特に、上からの命令を聞きつつ、仲間たちにも目を向けなきゃいけない、一番つらい役回りでした。基本一人で仕事してる僕ですら、ムーンに同情してしまいましたから。お子様をお連れになられているご両親ならびに大人の方々は、意外にもお仕事映画的な見方ができるんじゃないかと。
当然、身から出た錆といった部分もあるんですが。前作でもバスター・ムーンが持つ、一種の悲壮感が作品を支えていましたけど、今作でさらにそれが極まったなと。
「ムーンのくたびれ具合が光ってるよね」
さらにそれを引き立てるのが、ミュージカルのプロデューサーでもあり、ショービズ界の大物ジミー・クリスタルですよ。
彼は自分の思うがままに人(動物)を動かそうとするエゴイストで、「娘をショーに出せ。断ったら……わかるよな?」と威圧的にムーンを脅してくる、なかなかのワル。自分の意見が通らないことを何よりも嫌い、ついにはムーンを殺そうとし始める、今作の悪役なわけです。
こんなプロデューサー、絶対現実にもいるじゃないですか。気に入らない人間に皿を投げていたらしいワインスタインとか。
イルミネーションは悪役にも、意外と愛せるキャラを配置しているのですが、今回は違いました。現実にいそうなクズプロデューサーを連れてくるあたり、ガース・ジェニングスの本気を感じるよね。
そして、ラストにしっかり痛い目を見るのがいい!!
「もしや、舞台を見て改心して終わりってこたぁないよな……」と、ちょっと不安だったのですが、杞憂に終わりましたね。
悪い奴はそれに見合った罰を受けないと。とはいえ、ジミーほどのリッチマンだったら、金払ってすぐに出てきちゃいそうだけど。続編でも再びムーンの前に立ちはだかってくれたら、面白いですけどね~
最後に
きっと、子供の時に見たら、もっと熱狂していたでしょう。
昔からミュージカル好きだったし、子供のころは細かいこと考えない性格だったんで。
とはいえ、音楽をそこそこ知るようになった今、こんなジュークボックス・ミュージカルは本当に楽しいよね。今回は音楽について深く書きませんでしたが、曲と映像がマッチすると本当に感動するのよ。
感想はこんな感じで、終わらしてもらいます。
今年のイルミネーションは『ミニオンズ』続編に、『スーパーマリオ』と大忙し!
3年近く新作がなかったと思えば、一気に1年で3本公開ですからね(笑)
今後とも期待しております!
以上。
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