今回は細田守監督最新作『竜とそばかすの姫』の感想を書いていきます!
細田監督といえば、まず『サマーウォーズ』。そして『時をかける少女』。
特に『サマーウォーズ』は僕が中学のときに流行った映画で、クラスのほとんどが観ていたんじゃないかな。
当時の僕は深夜アニメとかも見てなかったし、「アニメといえばジブリかワンピース!」って感じだったんで、かなり新鮮に感じたのを覚えております。
ただ、前作の『未来のミライ』も含め、近年の細田監督作品には、いろいろ思うところがあったり。
僕が大人になったというのもあるけど、ワクワクできる要素が減った気がする。
「高校行ったら、こんな青春が……」
とか思ってた時のほうが、楽しめたのかもね。
竜とそばかすの姫
あらすじ
高知県の自然豊かな田舎町。17歳の女子高生すずは幼い頃に母を事故で亡くし、父と2人で暮らしている。母と一緒に歌うことが大好きだった彼女は、母の死をきっかけに歌うことができなくなり、現実の世界に心を閉ざすようになっていた。ある日、友人に誘われ全世界で50億人以上が集う仮想世界「U(ユー)」に参加することになったすずは、「ベル」というアバターで「U」の世界に足を踏み入れる。仮想世界では自然と歌うことができ、自作の歌を披露するうちにベルは世界中から注目される存在となっていく。そんな彼女の前に、 「U」の世界で恐れられている竜の姿をした謎の存在が現れる。
評価
僭越ながら、今作の満足度を★10段階であらわすと…
★6
最近の細田監督作品の中ではエンタメ寄り
『未来のミライ』と比べると、かなり見やすい作品だったのではないかと。
少なくとも、『サマーウォーズ』を最初に観たときの僕に、今作を与えたら喜ぶんじゃないかな。
昔からディズニーアニメ大好きだし、ベタと言われようとも、今作みたいなストーリーは気に入ると思う。
たぶん竜のキャラデザも好きになれたことでしょう!
ただ、大人になって腐りきった僕が観てしまうと、「歌で押し切られたな~」と。
歌声は素敵ですし、引っ込み思案なすずに共感できなくもないけど、無理やり蓋を閉めたような終わり方で……。
僕としては、現実にはないネットの世界よりも、カミシンとルカちゃんのふたりをもっと観ていたかったな。
細田監督らしくなくとも、「真琴と千昭」とか「健二と夏希」みたいな関係を望んでしまうラブコメ脳。
しのぶくんは人間味がなく、天上の人のような気がして、なんか怖かった。
ここから先は一部ネタバレを含みます。
まだ鑑賞していない方はご注意ください。
感想
ネットの世界って怖くね
今の世の中って「何かしようとすれば叩かれる時代」だと思うんですよね。
ずずがベルになって、歌を歌う。その歌声に人々は惹かれていくわけですが、もちろんベルの歌が嫌いな人もいます。で、嫌なら声を出さなきゃいいのに、今の時代は誰でも簡単に発信ができるから、「NO」を大声で叫ぶと。
僕もブログはじめてから、そのことを実感しまして。ブログが読まれれば読まれるほど、「お前の意見は的外れだ」という人も増えます。
かといって、僕自身も大監督様が作る映画に対して、「面白くない」と駄文を書く。なにこの負のサイクル。
もちろん、その逆もあるので、マイナス面ばかりではないのだけれども……。
あとゾッとしたのが、すずがしのぶくんと仲良さそうにしてて、それをほかの女子たちが嫉妬する場面。
結果的にはただの勘違いで、幼なじみだった二人が話してただけなんですが、LINE的なSNSですずに対する攻撃が始まる……といった、LINEいじめの怖さを映像化したシーンですね。
僕が学生時代はLINEがすでにあって、クラスLINEとかも存在していました。あ、もちろん僕は招待されていませんが。
やっぱりLINEだと顔が見えないし、下手に仕返しされないから、平気で人を攻撃(口撃)しちゃうんでしょうか?
映画だとサラっと解決していますが、僕が被害者だったら一生根に持つけどね。SNSをテーマにしているのだから、その辺を流さずに、もっと踏み込んでほしかったところ。
キャラクターについて
すずは周囲の反応におびえていくキャラ。ネットの反応にビクビクしちゃう気持ち、わりと理解できるから、ベルじゃないすずが一番僕に近いかも。
そんなすずをサポートするヒロちゃんは、すずとは真逆の性格で、ベルの誕生に一役買ったわけですが……。
そもそもヒロちゃんって何をしたんだろう?プロデュースってあるけど、どんなプロデュースしたら歌姫になるんだ?
正直、どんなにうまくても、素人の歌でバズるのは、ほぼ不可能。そんなことができるのは、運と才能を持ち、さらに努力をした一握りの人間だけです。
あの一声でバズっちゃうのは、「歌に押し切られた」状態。
たしかにすずの声優、中村佳穂さんはプロのミュージシャンだし、歌も上手いです。なんなら歌に疎い僕でも感動するレベルなんですよ。
ただ、映画の中では中村佳穂さんの歌声じゃありません。あくまでも、すずの歌声でなければ、説得力に欠けるわけで。
「眠った能力を引き出す」の部分で、努力をすっ飛ばしたのかな。それかヒロちゃんが、とんでもないプロデューサーだったか。
いずれにしても、映画全体を通して中村佳穂さんの「歌に押し切られた」。
あと、しのぶくんについて少し。
しのぶくんはすずの幼なじみで、小さい時のすずを助けてくれたキャラクターです。
高校生になった今でもすずを心配していて、事あるごとにすずを気にかけているのですが……。
優しすぎて人間味を感じない。
僕だけかもしれませんが、当初は「しのぶくん=竜」説もあるのかと。だから、しのぶくんのキャラクターを掘り下げず、つかみどころのない感じで進んでいくのかなと予想していたんですよ。
それか、実は嫌なヤツ……とかって設定が加わってくるとか。まぁ、何かしらのどんでん返しを期待していたんですね。
しかしながら、僕の予想はすべて外れ、まさかの何も設定がないまま、本当にただの優しいヤツで終わりましたw
んー……僕が深読みしすぎただけかもだけど、クラスLINEとかルカちゃんの件もありながら、それだけかと。
最後に
想いで補正こみで、やっぱり『サマーウォーズ』が一番好きかな。
当時は高校に上がったら女の先輩がいて、その人と付き合えなくとも、友達くらいにはなれる……と思っておりました。
残念ながら、クソみたいな部活に入ったせいで女っけゼロ。先輩も男ばかりで半分以上が幽霊部員という、想像以上に変な高校生活を送るハメに。
楽しかったからいいけど、『サマーウォーズ』に憧れてたからなぁ。
そんなわけで、いろいろ思い出がある細田監督作品。
次はまた3年後かな?2024年に僕が何しているか、生きているかも謎ですが、新作楽しみにしています!
以上!!!
アイキャッチ画像 (C)2021 スタジオ地図
今回は簡単な感想のみの記事でしたが、以下のサイトで僕の考察を書きました。お暇でしたらどうぞ。
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