『バイオハザード ウェルカムトゥラクーンシティ』評価と感想(ネタバレ) 原作は再現されているが…

『バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は、ミラ・ジョヴォヴィッチが主演を務めたシリーズをリセットし、新たに原作ゲームのストーリーを描いていく作品だ。

キャラクターも多くなるし、やることも満載だしで、正直不安しかなかったが、及第点はギリギリ超えてきた映画になっていたと思う。

この記事は映画の感想を書いていきながら、原作ネタやラストの展開について考察していく。

完全ネタバレになっているので、今作と原作ゲームをプレイしていない方は注意していただきたい。

 

・スルメ的評価

ストーリー★★☆☆☆ 2/5
キャスト★★☆☆☆ 2/5
怖さ★★★☆☆ 3/5
原作再現度★★★☆☆ 3/5

総合評価 ★5/10

 

ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ

「ぶゎいおぅ ふぁずわぁど ゔぇるくゎむ とぅ るわぁくぅんすうぃてぃ」

無駄に発音のいいタイトルコールも脳内再生余裕。ミラとポール夫妻による、ほぼ原作要素のないゾンビアクションシリーズは『ザ・ファイナル』でピリオドが打たれ、今作は新たにシリーズを始動する完全新作である。

ストーリーはもはや伝説となった第1作目と、最近リメイクされて話題を呼んだ2作目が基になっており、ふたつのストーリーが同時に進行していく。

私自身、1作目はPSアーカイブスで、2作目はリメイク版をプレイしている。シリーズ作も去年発売した『ヴィレッジ』、『バイオハザード4 VR』は一応遊んではいるが、全体のストーリーに関しては複雑すぎてあまり追えていない。

特に1作目に関しては記憶が曖昧な部分があるが、こんなニワカファンでも理解できた原作再現ポイントなども紹介していけたらなと思う。

1と2をクロスカッティングでつなぐ

原作ゲームの時系列をいじり、1作目と2作目が同じ日の同時刻に起きているという設定になっている。

映画はクレア・レッドフィールドがアンブレラ社の陰謀を知り、ラクーンシティに戻ってくるところから始まる。すでに人間をゾンビ化させるTウイルスが静かに街を蝕みつつあるが、住民たちは気がついていない様子。

そんな中、警察官のクリス、ジル、ウェスカーらは行方不明なった同僚を探すため、郊外にある館を訪れる。館内はすでにゾンビパニックが起きており、クリスたちは帰還する方法すら失うが、ウェスカーだけは違った。彼は謎の女性から館の秘密を聞いており、隠し通路へと入っていく。裏切ったウェスカーを追い、クリスらも隠し通路を進み、秘密の研究所を見つけるのだった(第1作目のストーリー)

一方、パニックが起きたラクーンシティでは、新米警官のレオンが警察署をひとりで守っていた。そこにクリスに助けを求めにきたクレアがやってくる。ふたりは警察署署長のアイアンズに導かれ、アンブレラ社と関係を持っていた児童養護施設を訪れるが、そこにも地下研究所へとつながる入り口があった(第2作目のストーリー)

 

大体のストーリーはこんな感じで、かなり端折り気味であるが、2作品が綺麗につながっていく。館と児童養護施設は地下でつながっているため、映画終盤ではふたつのストーリーが合流するのだ。ラストは第2作目とほぼ同じで、列車で脱出する形になるが、メンバーなども若干異なっている。

原作ゲームでもクロスカッティングというか、主人公が何人も登場する作品が多かったように思う。第2作目はレオンとクレアを操作するし、6なんて「主人公何人いたっけ?」状態である。最新作でも踏襲されていて、イーサンの他にクリスを操作する場面もあった。

以上のことを考えると、映画でもクロスカッティング(2つ以上の場面を同時進行させていく手法)で繋げていく演出は間違っていないように思う。

そもそも『バイオハザード』、特に初期の作品は戦闘よりも謎解きに主軸が置かれていた。1作目をキチンと1本の映画にまとめても、観客はみずから謎を解くわけでもないため、かなり薄味になってしまっただろう。

そんなわけで、2作品を一本の映画にまとめてしまったのは、かなり賢い選択だ。昨年公開された『クワイエット・プレイス2』ほど、クロスカッティングの巧みさが感じられなかったし、気になる点も多々あるが、正直原作から遠く離れてしまったミラ版に比べると輝いて見える。

逆に原作を触れてこなくて、ミラ版しか知らない層には刺さらない作品であるかもしれない。アクションもかなり少ないし、設定もより複雑だ。しかし、ゾンビホラー映画として再構築されたバイオハザードの物語は、想像以上に楽しめた(あくまでも”想像以上に”だが)。

ゾンビ映画としては、中盤で使われたマズルフラッシュの明かりを活用してゾンビを映し出していくシーンは鳥肌もの。戦っているように見えて、ゾンビの恐ろしさを観客に嫌でも理解させる効果的なシーンだった。

……正直、ゾンビ映画として特筆すべき点はこれくらいなので、原作に思い入れがないなら別のゾンビ映画の方が満足できるだろう。

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原作再現のポイント

めちゃくちゃわかりやすいのは、『バイオハザード』で最も有名なセリフ?である「かゆい うま」のシーン。これは映画序盤で最初に登場したゾンビがクリスの家に血文字で書いていた。

原作ではゾンビ化していく過程(ゾンビに変貌すると異常な痒みと食欲が湧く)が理解できる、日記に書かれた文章である。ネタっぽくなっているが、ゾンビになって徐々におかしくなっていく様子が文章で表現された、本来であればホラー要素として数えられてもいいくらいの演出だ。

原作だと「日記に書かれている」だったが、今作ではなぜかガラスに血文字。脈絡もなく登場するため、原作を知っている人にとっても正直わけわからんシーンとなっていた。「うま」と書いているのだから、一人くらいは食してきたのであろうが、登場させるなら後半の地下施設でのシーンにするべきだっただろう。

また、その後「かゆい うま」を書いた女性の子どもがクリスの家に侵入するが、その際に発した「あなたのほうが危ない」というセリフは、2作目にてシェリーがクレアに言ったセリフだ。セリフ関連で書くと、原作でレオンに対しエイダが放った「気を抜かないで」は、レオンとクレアのシーンで使われていた。

今もなお語り継がれている「ゾンビ犬が窓を突き破ってくる」演出は、館ではなくR.P.Dの駐車場にて、車の窓を犬が突き破ってくる演出になっている。序盤から意味ありげに犬が出てきたので、原作再現される伏線は十分に張られていたが、まさかの登場でかなりびっくりした。なんなら原作以上に驚いたかもしれない。

その他にも館にあるピアノの仕掛け、ゾンビ初登場シーンなどなど、かなりネタが豊富だった。にわかファンの私ですら気がつくのだから、ガチプレイヤーには堪らない演出もあっただろう。

一番笑ったのは、映画終盤になぜかレオンがロケットランチャーを持ってきたシーンだ。原作では室内にも関わらずひたすらロケランをぶっ放したりする、もはやゲームの趣旨を変えてしまうほどの武器だが、今作でもラスボスを一撃で倒してしまった。あまりにもあっけなさすぎて笑うしかないが、ある意味ネタにされる味のあるシーンだった……ような気がする。

私としては下水道に潜むワニや、追ってくるタイラントも実写化してほしかったが…。残念ながら叶わなかったようだ。

残念だったポイント

はっきりいって、残念な部分をあげたらキリがないが、一番書いておきたいのはレオンの不遇さだ。レオンといえば本編3作品で主役を張り、シリーズ随一の傑作として名高い4でも主役を務めた、クリスと並ぶキャラクターである。

しかし、今作では「使えない新米警官」の烙印を押されており、同僚はおろか、町の住民からもバカにされるなど、扱いがひどすぎる。そもそも会議にも参加させてもらえず、「お前は入ってくるな!!」と署長から怒られる始末。

原作でも重要な会議に酔って寝坊してくる体たらくな一面もあったが、ここまでじゃなかった。

当然クレアと合流してからも大した見せ場もなく、警官でもないクレアに「ちゃんとして」と怒られているほど情けない。これがバイオハザードの人気キャラなのか? もし、万が一続編があったとして4を原作とした映画が作られてるとしたら、レオンのキャラクターは改めてほしい。このままじゃ絶対失敗する。

 

また、ウェスカー役を演じたトム・ホッパーだが、どうみてもクリスの方が合っていると思うのは私だけだろうか?

彼はドラマ『アンブレラ・アカデミー』にて、巨大な身体とゴリラのような皮膚を持ったヒーローを演じていた。……理由は説明しないでおくが、彼ほどクリスに向ているキャストはいるだろうか?

もちろん、今作のクリス役がダメだったわけではないし、十分満足できる配役だったと思うが…。レオンとウェスカーに関しては思うところがありすぎる。

ラストについての考察

最後に少しではあるがラストの、特にエンドロール後の映像について考察を書いておきたい。

クレアとクリス、そしてレオンとジルなどバイオハザード主要メンバーの面々は見事生還を果たし、ラクーンシティを脱出する。しかし、ウェスカーだけは死亡しており、一緒に脱出することはできなかった。

そこでラストの映像だ。ここでは死んだはずのウェスカーが生き返るシーンから始まり、彼に接触していた謎の女性エイダ・ウォンが登場して映画は幕を閉じる。

原作では第2作目でレオンと接触し、恋愛描写もあったキャラクターだ。謎多き人物であり、ウェスカーと手を組む仲だったりする。

映画版では早くからウェスカーに接触していたようで、ウイルスを回収させるべく指示まで出していた。そんな彼女が映画本編では登場せず、続編への布石として満を持して登場したわけだ。

 

さて、ここから考えられるのは、ウェスカーがなにかしらのウイルスに感染させられたということだ。原作でもウェスカーは自らウイルスに感染し、死を偽装しただけでなく、超人的な力を手に入れている。おそらく、この設定が映画にも適用されたのだろう。

ただ、敵となってクリスたちの前に立ちはだかるかは未知数だ。今作でもクリスたちを裏切って計画を遂行しようとしたが、悪というよりも「別の目的があった」だけに思える。少女に銃を向けることに抵抗感をあらわにしたり、原作以上に善の部分が描かれていた。

この設定を考慮すると、クリスたちの敵になるとは到底思えないが……。あまりにも善のキャラクターにしてしまうと、ウェスカーの魅力が伝わりきらないだけでなく、ストーリーも変えなければならないので難しいところである。

最後に

ファンを喜ばせようという気持ちは伝わってきたし、ゾンビ映画としてもそれなりに楽しめたが、やっぱりバイオはゲームやってた方が楽しい。そんなことを映画ブログで言ってしまっては元も子もないが。

少なくとも、思うところがありすぎたミラ版と比較すると、ファンにとっては嬉しい出来だったのではないだろうか。

個人的には7が一番好きなので、そこにたどり着くまで頑張ってもらいたいが…。イーサン役はどうするかとか、『悪魔のいけにえ』っぽくなりすぎないかとか、気になる点も多々あったりする。

そもそも続編が作られるか定かではないが、続きが観たいのは確かなので頑張ってほしいところ。

 

以上。


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