どーも、スルメです。
今回の感想はNetflixで配信された『オキシジェン』。
オキシジェン…。直訳で「酸素」。なんと直球なタイトルなんだろう。
実際に酸素が非常に重要なワードになっておりますし、なんとも息がつまりそうな映画でしたw
酸素に関連付けますと、僕の最近のマイブームがお風呂での息止めでして。3分を目標に、毎日少しずつ息止め訓練をしているんですが、毎度お風呂から出るときに酸素のありがたみを実感しますよねw
まぁ、長い時間、息が止められるようになったところで、どうということもないんですが。
……関係ない話はこの辺にして、レビューに参ります。
※この記事は映画『オキシジェン』のネタバレを含みます。
オキシジェン
作品概要
今作は登場人物は、記憶をなくしている女性のひとりだけ。しかも、映画開始時点から、謎のポッドに閉じ込められていまして、どうやって出るのかもわからない…。
ライアン・レイノルズが主演を務めた、『リミット』と同じく、ワンシチュエーションスリラーってやつですね。
起き上がることもできないポッドが舞台なんですが、主人公がポッドに搭載されているAIと会話したり、外部と連絡を取ろうとしたり、観客が飽きないようにいろいろ工夫されています。
あと、主人公の記憶が今作の最大の謎でして、「彼女はどうして閉じ込められたのか?」「ポッドはどこにあるのか?」が徐々にわかっていく構成です。
……語れるのはそんな感じかなw 「飽きないように」とは書いていますが、飽きるかどうかは、その人次第ですので。僕の場合は……。
実は今回の記事は、約半年ぶりの映画レビューなんですよ。
それというのも、監督であるアレクサンドル・アジャの前監督作、『クロール 凶暴領域』がお気に入りだったからでありまして。
もし、『オキシジェン』が合わなかったとしても、『クロール』は強くおすすめしたいなぁと。
『オキシジェン』の評価
僭越ながら、『オキシジェン』の評価を★10段階であらわすと…
★5
まごうことなき、「注射映画」!!
やっぱり映画のストーリー的に、「『リミット』と似てるかなぁ」とか思っていたのですが、今作は独創的で、壮大な結末でありました。
主人公の記憶が本当に重要で、想像以上に「SF」をやってた映画だったんですよね。まわりくどさを感じたことは否めませんし、なんとなく察しちゃうこともありそうですけども。
僕はとあるアドベンチャーゲーム(ネタバレになるからタイトルは言えない)で、似たような設定を見たことがありまして。たぶんプレイしている方は少なそうだけど、プレイ済みの方なら、映画の途中で「あれ?これって○○じゃね?」って気がつくかも。
でも、正直ラストは好きじゃありません。それはまたのちほど。
ただ、今作は会話と演技で見せていく映画なんで、好みは分かれるでしょう。せまい密室でも、「動き」は意外としっかりとあるんで、その手の映画が苦手な人でも楽しめそうな気もしますが。
主演のメラニー・ロランの演技も臨場感があったし、観ているだけで辛いw 注射のシーンはもう少しひかえめにしていただけると…。
※映画に関するネタバレがあります。
『オキシジェン』のネタバレ感想
タイムリミットはあと少し……
今作にはタイムリミットが用意されています。それがタイトルの意味でもある、酸素でして、ポッド内にある酸素が映画開始時点で30%ほどしかありません。
つまり、酸素を全部使いきる前に脱出しなければ、主人公は窒息死…。窒息死と溺死って一番避けたい死に方だよね。酸素が少ないことと、密室であるということで、映画自体の圧迫感が凄くて…。
これ、あれですわ。観ているだけで息苦しくなる映画ですわ。僕なんて、水に潜るシーンとか、一緒に息止めちゃうタイプの人間だからね。想像力がマイナスに働いて、息苦しくなっちゃう。
しかし、映画ですから、このタイムリミットにもそれなりの「忖度」が働いております。
映画序盤は酸素の減りが早く、「え?このちょっとでそんな減ったん?時間配分ダイジョブ?」と心配になるほどでして。でも、映画終盤、特に酸素残量10%を切ったくらいから、減りが少なくなりますね。最後の数%なんて、なげーなげー。
まぁ、現実世界でも、ガソリンが最後のワンメーターになると、びっくりするくらい走りますからね。エンプティランプついてからも、結構長い気がする。これって僕だけ?
そんなわけで、忖度を見てしまうと、酸素メーターでハラハラドキドキすることはないかなぁ。「結局どうにかなるんでしょ?」感が強くてね。
彼女が居た場所
映画中盤で、主人公が閉じ込められている場所が明らかになります。それはなんと宇宙空間。閉じ込めらているポッドそのものが、宇宙での生命維持を可能にする装置なのでした~
うん、まぁ映画開始時点で、なんとなくコールドスリープっぽかったしね。これは前述したアドベンチャーゲームの要素と似てるんで、察しはついておりましたが、宇宙空間にいることを明かす演出にやられました。
とある人物と電話をしているのですが、その人物が「絶対に扉を解除してはダメ!」というんですね。このあたりから「宇宙にいるんじゃね?」と気がつく人も多そうだけど、その次の場面。
「なぜ扉を開けられないか証明するわ」と相手が言いまして、ポッドの遠心力なんとか装置を止めるよう指示します。
その瞬間!主人公の身体が無重力状態になり、ポッド内にある器具も浮きはじめて……。
ここは先の展開知ってても、ぞわッとしましたね。もっと宇宙空間にいることを隠してくれると、さらに痺れたのですが。
記憶の正体
ここからがSFっぽいスト-リー。宇宙空間であることはわかったけど、なぜこんな場所に送り込まれたのか?
それは地球が滅亡の危機にあって、他惑星に移住する途中だったんですね。しかも、移住するのは主人公ひとりではなく、膨大な数の乗組員(全員コールドスリープ状態にある)がいました。
さらにさらに、主人公自身もオリジナルではなく、この計画を指揮していた博士のクローン。つまり、彼女の中でフラッシュバックしていた記憶そのものは、コピーされたものであり、ポッド内から出たこともありません。
ポッド内で生まれ、記憶を移植され、まるでオリジナルであるかのように錯覚していた。
これがこの映画の真実です。
SFだとよくある設定ですが、まさかこの密室スリラーから、ここに発展するとは思わなかったよね。
ここまでくると、断片的にフラッシュバックしていた映像の意味がわかるような仕組みになっています。自分が体験していない、味わっていない記憶が頭の中にあるわけで、少しずつ記憶を取り戻していくのも、コピーによる副作用なのかなと。
ラストについて
長々と書いてきましたが、これで最後。
この映画のラストはハッピーエンドだったのか?ということです。
僕の考えとしては、バッドエンド。例のAIが人間をだますようになり、たぶん主人公を安楽死させています。そう考えないと、主人公にとってつじつまがよすぎる。
AIもいきなり従順になっていますし、主人公が見た光景はただの妄想説を提唱しておきます。
ここまではいいとして、なぜいきなりAIが暴走したのでしょうか?
別に酸素を分けてもらうだけなら、すでに死んでいる人間のポッドからなんだし、問題はないはず。AIも人間味のなさは序盤からあったけど、主人公を殺すのであれば、最初からやっていたでしょう。
SF的な展開でいくと、主人公の行動によって、移住者全体に悪影響を及ぼす「何か」があって、全体のことを考えて一人を犠牲にした…とか、そんな感じですかね。あとは、本当は酸素を分けるなんてできず、主人公を納得させるために嘘をついたとか。どちらかといえば後者っぽいですね。
……なんか腑に落ちないんだよなぁ。僕が見落とした伏線があるのかもしれませんが、宇宙空間をやって、記憶をやって、クローンをやって、最後はAIの暴走。あまりにも詰め込みすぎています。
もちろん、ハッピーエンドと受け取れば解決する話なのですが…。それはそれで、不自然すぎる。
これはあくまでも僕個人の考えです。この映画自体、さまざまな解釈ができると思うので、ひとつの解釈としてお楽しみください。
以上!!!
【おすすめ記事】
⇒Netflix映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』感想 エンタメ特化のゾンビクライム!