映画『OLD オールド』評価と感想 シャマランらしい吸引力と想定内の結末

シャマラン監督の代表作『シックスセンス』を人生ではじめて観たときは、なぜかネタバレを知っていましたw

『猿の惑星』と同じくらい有名なラストだと思うんだけど、なんでネタバレを知っていたかは謎。

シャマラン監督作で一番好きな映画は『スプリット』かなぁ。マカヴォイの演技も含めて。

 

ということで、今回感想を書くのはシャマラン監督の最新作、『オールド』です!

ビーチに訪れた家族が、どんどん年老いていく……というめちゃくちゃ面白そうなストーリー!

ジョジョっぽい設定ですが、氷で冷やしたら老化が止まるとか、そういう「対処法」も用意されているのでしょうか?

”掴み”の部分からワクワクさせてくれる、シャマランっぽい映画。結末がどうなるかも楽しみです!

 

※この記事は『オールド』の一部ネタバレが含まれます

 

オールド

あらすじ

リゾートホテルにやってきたガイと、その妻のプリスカ、ふたりの子供たちはバカンスを楽しんでいました。

そんな中、ホテルの従業員から「秘密のビーチがある。君たち家族を招待したい」と特別感のある提案が。一家は離婚問題を抱えていたものの、最後の思い出作りにビーチを訪れます。

ビーチは美しい場所でしたが、しばらくすると不自然さに気がつきます。6歳の息子は11歳ほどまで成長しており、11歳の娘は思春期に突入。

子供たちのため、ビーチからの脱出を試みるのですが…

キャスト

家族の父親役を演じたのは、『モーターサイクル・ダイアリーズ』でチェ・ゲバラ役を演じたガエル・ガルシア・ベルナル。母親役は『ファントムスレッド』のヴィッキー・クリープスが演じています。

子どもの役に起用されたのは、長男のトレント役に『ヘレディタリー 継承』のアレックス・ウルフ、娘のマドックス役にトーマサイン・マッケンジーと、名前は知らなくても見たらわかるキャストたち。

特にトーマサイン・マッケンジーは『ジョジョ・ラビット』の印象が強い!
僕が個人的に期待している女優でありまして、今年はエドガーライト監督の『ラストナイト・イン・ソーホー』も公開するし、今後も活躍してくれることでしょう。

 

その他キャストは『ファーザー』のルーファス・シーウェル、『ダークタワー』のアビー・リーなどなど。

ちなみにシャマラン監督は、運転手役でいつもより多めに出演しております。

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評価

 

★5/10

 

圧倒的な吸引力!!

序盤から一気に引き込まれて、気がついたらもう中盤。

正直、先の展開は予想出来ますし、あらすじを知っていれば想定内の出来事ばかりです。

しかし、テンポ良くストーリーが進んでいくから、退屈することはありません。

見ただけで不気味さを感じるカットもあり、シャマラン監督作品が好きな人なら楽しめることでしょう!

 

ただ、夫婦の離婚問題とか、別家族の問題とか「もっと掘り下げるべきだろ!」ってところが雑。

娘の内面にフォーカスするかと思いきや、すぐに本筋に戻っちゃうあたりがナントモ……。

老化しているから、些細な問題は気にならないのか?
僕が実際にあのビーチに行ったら、脱出することで頭いっぱいで、家族の問題とかどうでもよくなると思うけどねw

映画として、それが正解なのかは人それぞれ。僕は中途半端に感じました。

 

ここから先は映画の一部ネタバレを含んでいます

まだ鑑賞していない方はご注意を

感想

なによりも恐れているものは

人間が本当に怖い物って何だろう?

お化け?宇宙人?借金?

僕は大学生の頃まで、怖いと感じるものがほとんどなかったんです。幽霊の存在は信じていなかったし、リボ払いをするほど金がなかったけど、別に怖くはなかった。

ただ、ここ最近、20代前半が終わりかけている今、もっとも怖いものは「老い」なんですよね。

 

18歳から20歳までの2年間がめちゃくちゃ長かったのに、そこから25歳までが光の速さで過ぎていって……。

「やっと酒飲める―」とか言ってた二十歳の誕生日が昨日のことのよう。何も成しえないまま、三十路を超えていくのがすごい怖い。緩やかに死に向かっていることを自覚すると、なんとも言えない怖さが押し寄せてくる。

多くの人も「死」や、それに付随してくる「老い」が一番怖いのではないでしょうか?

『オールド』ほどではありませんが、今当記事を読んでいる、この瞬間も確実に寿命が減っていっています。

そう考えると一分一秒も無駄にできないのに、1時間くらい余裕でYouTube見ちゃう自分がいて、「本当にダメだな~」とつくづく……

 

話は若干それましたが、今作はシャマランらしい面白い設定に見えるけども、実は「老い」を描いたガチホラーだったりする。

設定としてはビーチに起きている現象は、人間の細胞を急速に老いさせていくというもの。周囲の時間が進んでいるとか、「メイド・イン・ヘブン」のような能力ではありません。

ビーチにいる人間だけが、30分に1年、10時間いれば20年も歳を取ってしまうという理不尽すぎる現象です。ここでは子供でも次の日には中年になるほどの時間が過ぎていき、大人たちは一晩の間で急速に老化していきます。

しかも、ビーチの外に出ようとすると、負荷に耐え切れず、気絶するという若干無理矢理にも感じる設定付き。こりゃあ、恐ろしい!

子供が成長するのはまだいいのですが、大人たちがヨボヨボになり、目や耳が衰え、背中も曲がっていく描写は「老い」が怖い人にとっては、かなり精神的に来るものかと。

 

つまり、今作は人の「老い」を24時間にまとめてしまった映画なんですね。

驚くほど早足ではあるけれど、性欲の芽生えから、老いによる羞恥心、老いて他人を許せるようになる大らかさまで、すべてが描かれます。

残念だった点

設定に関してですが、髪の毛や爪が伸びないのは「死んだ細胞だから」らしいんですが、「じゃあお腹はすかないの?」

子供達はご飯を貪り食ってる描写があったけど、大人たちもお腹すくでしょ。その前に喉が渇くと思う。

背は伸びるし、腫瘍は成長する世界なのに、食べ物はそこまで必要じゃないのかな。

今作ではビーチ入って数時間、老化していることに気がつかないんですよね。子どもたちが成長して、はじめて老化に気がつくという勘の悪さ。

「子どもたちがおかしいわ!ウイルスかも!」とか言いだしますが、観客はタイトルやあらすじから「老い」のことを知っているんで、そこまで引っ張らなくてもよかったです。

 

しかし、そのあとのシーンで、2つの家族の子供達が成長した挙句、妊娠してしまうという急展開に。

もちろん成長速度が速いので、すぐにお腹が膨らんでいき、30分で出産するという映画史上もっともスピーディ―な出産シーンへと突入します。

その際に少年の母、プリスカの放った一言が、

「私たちはもう家族よ!!協力しましょう!!」

……いや、のみこみ速すぎね?

数時間前まで6歳だった息子が急成長し、子作りをおこない、子どもができるという異常事態ですよ。しかも、相手の家族も数時間前に顔を合わせたばっかり。

まずは「お前らなにしてたんだ!」的な展開が来るかと思いきや、秒速ですべてを理解する大人たち。これは笑うポイントですか?

 

あとは夫婦仲が老いによってすべて解決する点。

プリスカは病気の不安から浮気をし、それを夫婦仲のせいにして離婚しようとしていた、他の映画だったら悪役になりそうな女です。

それが老いによって、「やっぱりあなたと一緒にいたい」とか言いだす始末。「時間が解決する」とは言いますし、細胞的には20年経過しているんで、間違いではないと思いますが……。

観客としては不満を抱かずにはいられない。

良い意味でも悪い意味でも、展開が早すぎた映画でした。

 

以上!!!


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