映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』評価と感想(ネタバレ) 本好きな人に観てほしいお仕事映画

スルメ
どーも、スルメです

なんにでも手を出すオタクな僕は、当然ながら本も好き。

基本週4くらいで本屋に行くし、表紙で衝動買いした本を積み続ける毎日を送っております。

今は6冊くらい積んでるかな。ゲームも積んでるし、暇な時間はあるんだけど、それでも消化できてません。近くにデッカイ書店があって、陳列がめちゃ上手いのがいけないね。

てなわけで、今回は出版業界を描いた『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』のお話。

しかも、本作は書店や作家ではなく、出版エージェンシーという聞きなれない職業をあつかった、お仕事映画です。

で、主演が若手筆頭の注目株マーガレット・クアリー。『デスストランディング』のママー役の女優ね。

「出版エージェンシーって何するの?」ってところも含めて、語っていくので、どうぞよろしく。

マイ・ニューヨーク・ダイアリー

あらすじ

90年代、ニューヨーク。作家を夢見るジョアンナは、老舗出版エージェンシー でJ.D.サリンジャー担当の女上司マーガレットの編集アシスタントとして働き始める。日々の仕事は、世界中から毎日大量に届くサリンジャーへの熱烈なファンレターを処理すること。しかし、心揺さぶられる手紙を読むにつれ、飾り気のない定型文を送り返すことに気が進まなくなり、ふとした思いつきで個人的に手紙を返し始める。そんなある日、ジョアンナが電話を受けた相手はあのサリンジャーで…。

公式サイトより抜粋

作品解説

原題は「My Salinger Year」。サリンジャーは、『ライ麦畑でつかまえて』などでおなじみの偉大な作家ですね。

劇中にもサリンジャーが登場しますし、彼との交流がきっかけで主人公が成長していきます。なぜ『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』のタイトルになったのかは……謎。

原作は実際に出版エージェンシーで働き、サリンジャーと交流のあったジョアンナ・ラコフの自叙伝。実際に起きた出来事が基になっているので、90年代当時の出版業界が、ありありと描かれているのが特徴です。

 

キャストの方を紹介していくと、

主演は『ワンスアポンアタイムインハリウッド』や、小島秀夫監督の『デススト』に出演したマーガレット・クアリー。作品によってかなり印象の変わる女優で、本作では文学的な雰囲気を漂わせる女性を演じています。

そんなクアリーと並んで、存在感を発揮しているのが、シガニー・ウィーバー。『ゴーストバスターズ』や『エイリアン』シリーズに出演した、誰もが知る名優です。

その他にはダグラス・ブース、コルム・フィオール、ティム・ポストなどが出演しています。

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『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』評価

ストーリー★★★☆☆ 3/5
キャスト★★★★☆ 4/5
演出★★★☆☆ 3/5
映像★★★☆☆ 3/5

総合評価 ★ 6/10

 

「女優ふたりが素晴らしかったね」


業界の慣習を知らない主人公が、仕事を通じて、少しずつ上司に認められていく……

そんな映画になると、どうしても『プラダを着た悪魔』を避けることはできないんですよね。

あの映画はひとつのジャンルを作ったといっても過言ではないですし、比較してしまうと、どの映画も見劣りしてしまうのも事実。

ただ、出来はどうあれ、僕としてはファッション業界よりも、出版業界の方が惹かれるものがあります。

特に本が好き、または本を書いている人にとっては、刺さるものがある映画になっているんじゃないでしょうか。

 

※以下は映画のネタバレが含まれています

 

『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』感想

出版エージェンシー

本作はいわゆる「お仕事映画」に分類される作品です。直近の作品でいえば『ハケンアニメ!』がありますし、アニメなら『SHIROBAKO』とかあるし、かなり人気のあるジャンルですよね。

ただ、本作で語られるのは「出版エージェンシー」という、日本人にとっては聞きなれない職場。まずは「出版エージェンシーってなに?」という話からしていきましょう。

出版エージェンシーとは、簡単に言えば、小説家版の芸能事務所です。作家と出版社の仲介になり、さまざまなことを管理するお仕事ですね。

アメリカで出版される本は、作家→エージェンシー→出版社というような流れになることが多く、アメリカで書籍を販売する日本人作家も在籍しております。

ただ、主人公のジョアンナは、新人アシスタントなんで、任される仕事は主に電話番とファンレターへの返事です。そこから徐々に上司のマーガレットの信頼を得ていき、文豪・サリンジャーとの仕事を任せてもらえるようになっていきます。

「完全に『プラダを着た悪魔』の流れだね」

さっきも書いたけど、どう見ても「プラダ的」な映画なんだよ。二人以外にもナイジェルポジションの人がいたりするし、『プラダを着た悪魔』は確実に意識しているはず。

だから頭の中では、アン・ハサウェイとメリル・ストリープが浮かんできてですね。

別の映画ではあるし、向かう方向も全然違うんだけど、どうしても比べてしまう。これは仕方のないこと……なのかなぁ。

ただ、決定的な違いがあって、シガニー・ウィーバー演じるマーガレットがあくまでもサポート役である点です。『プラダを着た悪魔』には主人公に影響を与える決定的な人物がミランダでしたが、本作ではJ・D・サリンジャーの言葉がジョアンナを動かしていきます。

一見すると、ふたりの関係は「プラダ的」だけど、実は上司のマーガレットが全然違う役割を果たしているんですね。厳しくはあるけど、ミランダ以上に“理想の上司”といえるかもしれません。

マーガレット・クアリーの魅力

断言しますが、この映画はマーガレット・クアリーとシガニー・ウィーバーの演技がすべてでした。

クアリーは柔らかくありつつも、知的な雰囲気を漂わせ続けます。見た目は同じなのに、『ワンハリ』のプッシー・キャットとは全く違う。

日本ではあまり知られていないと思うけど、この映画を観て、彼女の将来やスター性に確信が持てました。

特に映画ラストの彼氏と別れるシーンとか、「そこでトゲを出してくるのか」と鳥肌が立つレベル。彼女の演技をべた褒めするだけで、記事が書けちゃうくらい衝撃を受けました。

この映画を観た方はマーガレット・クアリーの名前を覚えておきましょう。この先の映画を語るうえで、欠かせない女優になる予感。

「小島監督がママー役に抜擢したのも納得」

当然、シガニー・ウィーバーが演じたマーガレットも語らずにはいられない!

誰にも弱みを見せないように振舞っているのに、ときおりメッキがはがれる瞬間があって、そこがたまらなく好き。『プラダを着た悪魔』のミランダのように、「この人大丈夫?」って思う瞬間はほとんどなく、身近にいそうな上司に徹していたのが印象的です。

最近は『ゴーストバスターズ』とか、『ファインディングドリー』とか、カメオ出演程度に収まることが多かったけれど、改めてシガニー・ウィーバーのカリスマ性を味わうことができました。

最後に

やっぱり本好きな人ほど楽しめる映画だったかな。

僕は本以上に、本屋が好きなんですよ。きれいに陳列されていたり、表紙に惹かれたりすると、ついつい手を伸ばしたくなっちゃうし……。

今この手にある本が、作家さんだけでなく、さまざまな人の手によって作られたことを思うと感慨深い……。

実は僕も『ライ麦畑でつかまえて』を読んでないんで、この機会に手に取ってみようかなと。

 

最後にこの場を借りて『プロジェクトヘイルメアリー』の宣伝を。

とにかく面白くて、一度読んだたら止まらないSF小説なので、上下巻まとめ買いしようぜ。

 

以上。


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