映画『小説の神様 君としか描けない物語』感想 言葉の重みを一切感じない

どーも、スルメ(@movie_surume)です。

実はむかし小説家を目指していたことがありまして。

だってほら、印税で生活したいじゃないですか?ブログもそうだけど、寝てる間にお金入ってくるってシステム大好きなんですよ。

「文章書くの好きだし、いけるんじゃないかな~」と甘い考えでいたのですが、まだ5行くらいしか書けてませんw

文章を書くのと、物語を作るのって全然違うんだね。普段こんなブログ運営して、創作物にあれこれ言っていますが、自分では何もできないというw

ただ、まだ夢を諦めたわけじゃないんで、頑張って小説書いていきますわ~

 

そんな感じで、今回は『小説の神様 君としか描けない物語』のレビューになります!

高校生の小説家がふたりも出てきて、なんだか『響』みたいな映画ですね~。まぁ『響』全然ダメだったから、不安ではあるんだけれど。

 

※この記事はネタバレを含みます!

小説の神様 君としか描けない物語

あらすじ

中学生で作家デビューしたものの、発表した作品を酷評され売上も伸びないナイーブな高校生作家・千谷一也。一方、同じクラスの人気者であるドSな性格の小余綾詩凪は、高校生作家としてヒット作を連発していた。性格もクラスでの立ち位置も作家としての注目度も正反対の彼らだったが、編集者に勧められ、小説を共作してベストセラーを目指すことに。反発しあいながらも物語を一緒に生み出していくうちに、一也は詩凪が抱える意外な秘密を知る。

映画.com

監督

本作のメガホンを取ったのは『HiGH&LOW』シリーズを手掛ける、久保茂昭監督です。

実は『HiGH&LOW』シリーズまだ一つも観たことないんだよね。EXILEとか、その辺のグループまったく分からんし、敷居が高いような気がしまして。

観ればハマっちゃいそうなんだけどね。時間があったら勉強しておきます。

キャスト

主演は橋本環奈佐藤大樹のふたり。

橋本環奈ちゃんは1000年にひとりの…といわれていましたが、その地位は今でも揺らいでないですね~。今の時代を代表する「好きな女性芸能人」トップに君臨しているんじゃないだろうか。

映画の出演も多いけど、Sっけのある役が多い気がしますね。僕は『かぐや様』以降、出演作観ていないんで、久しぶりに演技を拝見いたしました!

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その他出演者は、佐藤流司、杏花、片岡愛之助、和久井映見などなど。

評価

僭越ながら『小説の神様 君としか描けない物語』の満足度を★10段階で表すと・・・・・・

 

3
★★★☆☆☆☆☆☆☆

 

セリフのセリフ感が凄い映画

最近自分の中では高評価の映画ばかり観ている気がしまして。

コロナの影響で僕のストライクゾーンも広くなり過ぎたのかな~とちょっと不安になっていたのですが、本作を観て少し安心。

あまり本を読まない僕にもわかる。小説が重要なテーマなのに、文学的な雰囲気がこの映画から一切感じない。

原作読んでないから再現度には踏み込めませんが、原作ファンの方々の反応はどうなんですかね?

恋愛要素を無駄に絡ませなかったのが救いでした。なぜ小説を書いているのかも最後までよくわからないし、主人公は内面の振れ幅が激しすぎて怖い。

そして橋本環奈のドSキャラもあまり活かせていないな~と。その点は最後までキャラを保ち続けた『響』とは大きく違いますね。

 

劇中では登場キャラクターを語る時に、なぜかカラオケ映像もしくはミュージックビデオみたいな映像が挟み込まれます。

さらに映画冒頭はモノクロで始めるという『オズの魔法使』スタイル

映像表現にこだわっているのかな?僕は好きになれませんでしたし、重要な場面でグルグル回すカメラはちょっと酔いますw

 

あとは学生が主人公の映画にありがちだけど、セリフに重みがない。

大人の書いた脚本を高校生が朗読しているようで、言っていることと外見の年齢があっていないような気がする。邦画だけでなく、洋画でも結構感じること多いんですが僕だけかな?

たとえば「俺、思うんだ。愛って貰うものじゃなくて、与えるものなんだって…」的なクッサイセリフがあったとします。

現実では「…? なにいってんだこいつ」ってなるけど、映画だと「はっ」みたいに何かに気がついた顔するやつ。

いや、そんなセリフ絶対高校生言わないやん?ギャグならわかるけど、シリアスには言わないやん?

本作に登場する高校生たちも妙に大人びているというか、台詞のセリフ感が凄い。主人公も含めて代弁者のように感じてしまって、もはやそこに生きているような実感がないんです。

青春映画として考えるならば、かなりマイナスになってしまう要素でした。

 

ここから先は『小説の神様 君としか描けない物語』のネタバレを含みます

感想(ネタバレ)

なぜ小説を書き続けるのか

高校生小説家の一也は文芸部に所属し、家計を助けるために小説を書いていました。

そこに転校生の小余綾 詩凪がやってきます。彼女の正体は売れっ子の高校生小説家で、ひとつのクラスに二人の小説家がいるという偶然にしてはできすぎな状況。

さらに一也の担当にふたりで共同で小説を書く「共作」を勧められます。もちろん相手は小余綾 詩凪です。

「売れっ子でプロットも面白いのに、なぜひとりで書かないのか?」と疑問を持ちながらも、ふたりで共同制作を続け、ちょっとずつ距離を縮めていく…。

そんな映画です。

 

まずツッコみたいのは、なぜ主人公が小説を書いているのかという点。

彼の背景としては売れない小説家だった父親がおり、父は借金だけ残してこの世を去っています。妹は心臓の病気で入院中で、治療費もバカになりません。

生前の父の元で執筆作業を眺め、小説家にあこがれてもいたようですが、僕にはなぜ彼が小説家を続けているのか理解ができない。

劇中では「ちょっとの印税でもバイトよりはマシなんだ」と語っていますが、絶対バイトの方がマシだと思う。

なんか「印税」という言葉に夢を持っている人が多いけど、売れない小説家は普通に生活苦しいはず。印税だって一也の本は一万部も売れていないみたいだから、多くても100万円いかないくらい。

あそこまで自暴自棄のようになってしまうなら、時給1000円のバイトした方がマシじゃね?

 

一也の父も売れない小説家で、家族が出来ても、家にお金を入れず小説ばかりでした。

そんな父を見てきたはずなのに、なぜ同じ道を進もうとするのか。しかも病気の妹もいるのに。

これで父が売れてた小説家ならわかるんですよ。印税の凄さを知っているだろうし、「あの○○の息子!」と売り出せるだろうし。

でも、印税のマイナス面を知っていて、父も売れておらず、夢半ばで亡くなっている。しかも自分の出版した小説は1万部も売れていない。

僕ならぜったい小説家になろうとは思わんけどなぁ。終盤に語っていた「物語を作らずにはいられない!」って羨ましい言葉ではあるけれど、売れなかったら父と同じ単なる趣味だし…。

ストーリー的にはもちろんハッピーエンドなんだけど、「これは売れなさすぎて自暴自棄になった一也の夢なんじゃないか?」と、どっかの難解映画みたいなあらすじを妄想してしまう僕でした。

君のお父さん何者なの?

先ほど「学生たちの言葉に重みがない」って話をしたんですが、もうひとつ。父の言葉にも説得力がない。

本作に登場する一也の父はすでに亡くなっているため、回想シーンのみでの登場ですが、ときおり意味ありげな言葉を残しているんですよ。

「小説は人の心を動かす力があるんだ!」とかなんとか。確かに映画にも小説にも、舞台にも、ゲームにも人の心を動かす力はあると僕も思っています。

思っているんだけど、売れない小説家で家族ほったらかしにして、借金作ってまで小説にのめり込むアナタが言っても説得力が…。いや、逆に説得力がありすぎるのかもしれない。悪い意味で。

その他にも何個か言葉を残していて、それが一也が小説を書く原動力になっているって設定もあったりして。

でも、このお父さん、なんか好きになれないんだよね。めっちゃ美化されているけど、作品が変わればウシジマくんの債務者になっていそうな人じゃないですか。それかエスポワールで「限定じゃんけん」やってそうっていうか。

演じた片岡愛之助さんのおかげで、若干まともな人に見えてしまうけどw

 

母親も一也の小説に介入してこないのか、空気が薄い。一也が学校をずる休みしたときだって、絶対母親が出てこなきゃダメやん。

その代わりとなるのが、文芸部の部長である正樹くん。彼もカッコいい台詞が多いんですが、母親がやるべき役割をすべて果たしていたように思えます。

いい奴だけどいきなりキレたりするんで、客観的に見るとやっぱり怖い。主要4人は怖い人ばかりである。

まとめ

相変わらず橋本環奈ちゃんはお美しい。高校生役は向こう10年、この人でやっていけるんじゃないかと思う次第であります

逆にとあるキャラがひとりだけ大人びていたような…。あとで調べると僕と同い年でして、見た目に関して言えば全然高校生でも問題ない気がしますね。

あ、そんな感じで締めさせていただきます。

 

以上!!!

 

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