『夏への扉 キミのいる未来へ』感想 タイムトラベルってロマンあるよね

どーも、スルメです。

突然ですが、日本映画の中で最高のタイムトラベル映画ってなんだろう?

『戦国自衛隊』か『バブルへGO』、最近では劇団ひとり監督の『青天の霹靂』なんて映画もありましたね~。変わり種では『テルマエ・ロマエ』もタイムトラベル映画と言えるでしょう。

タイムトラベル映画は良作が多いと思っていますが、僕は断トツで『サマー・タイムマシン・ブルース』が好きです!

あの大学生特有の勢いの良さと、夏の汗臭さ。そして伏線を回収していくシナリオ。何からなにまで大好きでありまして。

 

そんな感じで、今回はタイムトラベル小説の名作といえる『夏への扉』を映画化した、

『夏への扉 キミのいる未来へ』

の感想を書いていきたいと思います!

実は『夏への扉』が実写映画化されるのは、今作がはじめてだそうで。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にも影響を与えたといわれる、大傑作なわけですが、実写映画化はされてこなかったようで。

50年代の作品だから、『ブレードランナー』が公開されたタイミングくらいに、映像化されてもおかしくないような……。何か理由があったのかな?

とにかく!僕はタイムトラベルものが大好きでして、今作もめちゃくちゃ楽しみにしておりました!

⇒⇒厳選した20本のおすすめタイムトラベル映画を紹介します!

 

この記事には『夏への扉 キミのいる未来へ』の一部ネタバレを含んでいます。
まだ鑑賞していない方は、ご注意ください。

夏への扉 キミのいる未来へ

あらすじ

両親を2度亡くしたロボット開発者の宗一郎。

義理の妹の璃子と仲睦まじく暮らしていたが、恋人の鈴に裏切られ、強制的に30年間コールドスリープされる。

目を覚ました時代は2025年。右も左もわからない宗一郎は、必死で璃子を探すが、すでに死亡していると伝えられ…。

キャスト

主演は『劇場』での演技が記憶に新しい、山﨑賢人さん。ヒゲ好きな僕としては、やっぱヒゲがあった方がカッコいいと思うわけですが、世間的にはないほうがいいのかな。

ヒロインは今回の朝ドラで主演を務める、清原果耶さんが演じており、透明感あふれる演技を披露しております。

なかでも、僕の印象に残ったのはロボット役を演じた藤木直人さんでして。現代のロボットの絶妙な怖さと、そのうち実現するであろう親しみやすさが同居した素晴らしいキャラクターでした!

 

そのほかのキャストは、田口トモロヲさん、夏菜さん、浜野謙太さん、原田泰造さんなどなど。

『夏への扉』の評価

 

5
★★★★★☆☆☆☆☆

 

SF部分は面白いのだが……

三木監督らしい透明度の高い映像と、近未来SFの世界観が見事に調和していた作品でした!

特に中盤以降の展開はタイムトラベル好きにとっては、激熱でして「卵が先か鶏が先か」みたいな、永遠に答えの出ないループに囚われる錯覚を起こしました。

ただ、「タイムトラベルするよ!」で大体の伏線が回収されちゃうのが痛い。丁寧に答え合わせもしてくれるわけですが、正直想定外のストーリーに放ってなかったかな。

 

あとは義理の兄妹である宗一郎と璃子の関係。

いくら義理であって血がつながってなくても、小さいころから一緒に暮らしていたら、意識するようにならない気がするけど。

ラストはいまいち納得できない終わり方したので、そこは残念。

 

※詳しいネタバレは書いておりませんが、まだ鑑賞していない方はご注意ください。

 

『夏への扉』の感想

今作のタイムトラベルは

タイムトラベルを扱うと、たいてい登場するのが世界線や分岐という単語ですね。

某アドベンチャーゲームでは、世界線が重要なキーワードになっていたし、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でも過去を変えたことによる分岐が描かれました。

今作の場合は一種のループものになっていて、過去を変えても現在は変わりません。現在こそがすでに変わった過去であり、タイムトラベルしても未来に変化は起きないって感じかな。

 

劇中では主人公の宗一郎が30年間コールドスリープされてしまい、自身に覚えのない歴史が残る未来で目を覚まします。そこでタイムマシンを使い、ふたたび過去に戻るのですが、この過程が「卵が先か……」の話につながるわけですね。

宗一郎はタイムトラベルした自分自身の行動を知っています。タイムトラベル後も、「未来の世界ではこうなっていたから、この人と話して…」とかって考えるわけですよ。で、成功した後は、次にタイムトラベルしてくる自分自身の指針になると。

つまり、【自分Aが過去へ⇒未来の自分Bが自分Aの行動を知る⇒自分Bが過去へ⇒未来の自分Cが自分Bの行動を知る】という無限ループ。

最初にタイムトラベルした人は誰?その人は誰の背中を見て行動したの?

……答えは出ませんね。まさに「卵が先か…」と同じです。

 

これってタイムトラベルものでは、かなり珍しいといえるのよ。

だって基本的なタイムトラベルものは、過去を書き換えれば未来が変わるし、そのせいで自分が生まれなくなるってこともあるわけで。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なんかは、過去の両親に出会ったことで、自分の存在が消えかかるし、『ターミネーター』は未来で起きる滅亡を防ぐため奮闘する物語です。

今作の場合、世界線とか並行世界とかはなく、決まった運命を辿るんだと僕は予想します。

このパターンなら有名な「親殺しのパラドックス」は起きないし、そもそもタイムパラドックスすら起きないでしょう。宗一郎はなにをしても未来は変わらないのかもしれない。

ストーリーについて

そしてこのタイムトラベルがストーリーとして面白いかといえば……

映画としては宗一郎が未来を変えた?後の世界を見せてしまっているんで、予定調和な感じはありますよね。そこが伏線になっていて、タイムトラベル後のストーリーは伏線回収がメインなんだけど、正直「意外過ぎる伏線回収!」っていうのはなかったです。

伏線に関しても、かなりミエミエといいますか、「あ、これ絶対〇〇だわ」と予想がつくのがひとつ。しかも、そのシーンが映画で一番盛り上がるところとして使われていますから、苦笑いするしかないわけで。

タイムトラベルのロマンは感じられるんで、僕は好きですけどね。

 

ただ、宗一郎と璃子の関係はちょっと納得できないというか、恋愛感情を挟む必要があったのかなと。

宗一郎にとって、璃子は血の繋がっていない妹。宗一郎の両親がはやくに亡くなったことから、璃子の両親に育てられるって経緯があるんだけど、このふたりに恋愛要素はいらなくね?

血の繋がりはなくとも、宗一郎にとって璃子は妹。幼いときから一緒に暮らしてきたし、両親の死以降は、璃子が唯一の肉親でした。だから、ふたりの間に特別な関係がなくとも、宗一郎は璃子を救い出そうとすると思うんだよな。だって家族なわけだし。

宗一郎のほうは璃子を家族としてみていたし、別に告白とかフラれたとかなくたって、ラストは感動できたでしょう。いや、むしろ家族愛を描いた方が感動した。

僕、妹いるし、血の繋がりの有無にかかわらず、妹との……ってなんか抵抗ある。

最後に

ひさしぶりのタイムトラベル映画でした!たぶん「テネット」以来だったかな?

映画自体はやっぱタイムトラベルの面白さが詰まっていたといえますね。気になる部分はあったけど。

僕はタイムマシンを手に入れたら、90年代後半くらいにいって、赤ちゃんだった自分と若いときの両親と会いたいんですよ。特に意味はないけども。

それか自分の知らないご先祖様と話すとか、竜馬の最期を見るとか、西郷隆盛の素顔を見るとか…。考えたらきりがないですねw

未来にも行ってみたいけど、「100年後に行ったら地球が滅亡してましたー」とかだったら怖いからやめとこう。

 

以上!!!


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アイキャッチ画像 ©2021「夏への扉」製作委員会