
僕がはじめて『モービウス』の予告を観たのは、確か2020年の1月くらい。
当時はまだマルチバースとかも導入される前でしたから、「なんでヴェノムの世界にヴァルチャーいるの!?」と驚いたものです。
最初は2020年7月公開だったのですが、コロナの影響で2年ほど遅れ……。
ただ延期になっただけではなく、『ノー・ウェイ・ホーム』&『ヴェノム2』と公開順が変わったりして、ソニー映画の中では最もコロナの影響を受けた作品なのではないでしょうか。
そんな『モービウス』もついに公開!マーベルファンとして、映画ファンとして、嬉しい限りです。本当に。
この記事では次回作などについての考察を交えながら、感想を書いていきたいと思います。
※後半から映画のネタバレが含まれています
モービウス
あらすじ
天才医師マイケル・モービウス(ジャレッド・レト)。彼は幼いころから血液の難病を患っていた。
同じ病に苦しみ、同じ病棟で兄弟のように育った親友のマイロ(マット・スミス)の為にも、
一日も早く、治療法を見つけ出したいという強い思いからマイケルは実験的な治療を自らに施す。
それはコウモリの血清を投与するという危険すぎる治療法だった。彼の身体は激変する――全身から力がみなぎり隆起した筋肉で覆われ、超人的なスピードと飛行能力、
さらには周囲の状況を瞬時に感知するレーダー能力を手にする。
しかし、その代償として、抑えきれない“血への渇望”。まるで血に飢えたコウモリのように。自らをコントロールする為に人工血液を飲み、薄れゆく<人間>としての意識を保つマイケルの前に、
生きる為にその血清を投与してほしいとマイロが現れる。
懇願するマイロを「危険すぎる、人間ではいられなくなる」と拒み続ける、マイケル。しかし、NYの街では、次々と全身の血が抜かれた殺人事件が頻発する――
『モービウス』公式サイトより引用
作品解説
『モービウス』は『ヴェノム』シリーズと世界観を共有する、ソニーズ・スパイダーマン・ユニバースの1作です。『アベンジャーズ』などと同じマーベル原作の映画ですが、MCUとは世界観は共有していません(今のところ)。
しかし、MCUとめちゃくちゃ関連の深い映画であることも事実です。『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』などを鑑賞した方には周知の事実でしょう。
それを踏まえて、今作を鑑賞するうえでの注目ポイントがいくつかありまして、
- バルチャーの存在
- スパイダーマン(トビー版?)がいる?
- ヴェノムとモービウスの関係
などなど、予告編の時点から気になる要素がたくさん!
おそらく、さらなるサプライズも用意してあるでしょうし、なるべくネタバレを見ずに鑑賞したいところです。
そんな今作の監督を務めたのは、『ライフ』や『デンジャラス・ラン』を手掛けたダニエル・エスピノーサ。
作品によってサスペンスだったり、ホラーぽくなったりと、様々なジャンルの娯楽作を作ってきたイメージがあります。そんなエスピノーサがついにアメコミ映画を撮ると。予告編を見る限りでは、ホラーテイストな部分もありそうだし、得意なジャンルといえるのではないでしょうか。
キャストについて解説していくと、
主人公のモービウスを演じるのは、『スーサイド・スクワッド』でジョーカー役に抜擢されたジャレッド・レト。昨年は『スナイダーカット』で再びジョーカーを演じたことでも話題になりましたね。個人的には『ハウスオブグッチ』での演技が好きだったのですが、世間的にはあまり評価されなかったようで。もったいない!
ヒロインは『パシフィック・リム アップライジング』のアドリア・アルホナ、悪役は『ラストナイト・イン・ソーホー』のマット・スミス、モービウスを追うFBI捜査官役に『ワイルド・スピード』シリーズのタイリース・ギブソンが出演。
忘れちゃいけないマイケル・キートンは、『スパイダーマン ホームカミング』以来となるバルチャー役を演じております!
評価
ストーリー | ★☆☆☆☆ 1/5 |
キャスト | ★★★☆☆ 3/5 |
演出 | ★★☆☆☆ 2/5 |
映像 | ★★☆☆☆ 2/5 |
総合評価 ★ 3/10
>「どうすんだよこれ……」
まず、この映画の予告編は本当にすごかった!!
こんな平凡で、記憶に残らなそうなヒーロー映画から、あんな予告が生まれるなんて!
たぶん予告を1時間半観ていたほうが、僕は幸せだったと思いますわ。最初に予告を観た時のワクワク感は凄かったんですよ、本当に。
それをまぁ見事に打ち砕いてくれて。このレベルでガッカリしたのは、デヴィッド・エアー版『スーサイド・スクワッド』以来でした。
そんなわけで、当ブログではあまりない酷評レビューになります。
『モービウス』を心から楽しんだ方にはごめんだけど、これはダメでしょ……。
※以下は『モービウス』ならびに、マーベル映画のネタバレが含まれています
感想
最初に個人的に好きだったところを挙げていきたいと思います。
まずキャストについて。モービウスを演じたジャレッド・レトはもちろんのこと、悪役のマイロを演じたマット・スミスは最高でしたね。
『ラストナイト・イン・ソーホー』でみせたカッコよさと気持ち悪さを同居させた演技に、若干のユーモアを加えた“嫌いだけど好きになれる悪役”でした。特に得意げにボッチでダンスするシーンとかね。
あとはアクションシーンでのエフェクト。ここは賛否別れそうですが、僕は賛のほうでして。「これ絶対ゲームにしたら面白いでしょ!」と鑑賞しながら考えていました。
そんなもんですかね。あとは全部ダメダメ。
オリジンとして非常に退屈
スーパーヒーロー映画にはオリジンがつきものです。
オリジンというのは、「どうやってヒーローになっていくのか?」を描くストーリーや作品のこと。この映画はまさにオリジンで、天才医師がアンチヒーローに変貌していく様子が描かれました。
ただ、ヒーローのオリジンっていつも大体同じようなパターンなんですよね。自分と同じような能力を使うヴィランと戦って、最後はユニバースとの関連を見せられる。
『インクレディブル・ハルク』や『ヴェノム』なんかまさにそれだし。正直、ヒーロー映画を多く見ている人ほど、オリジンに飽きてきていると思う。近年の映画で本当に優れたオリジンになっていたのは、『ザ・バットマン』と『ジョーカー』くらいじゃないかな。
話を『モービウス』に戻しますと、この映画は見ての通り、悪役は主人公の似たような能力を使い、最後は続編を示唆して終わる、まさにテンプレオリジンなんですよ。
「もう見飽きたよってレベル」
10年前に公開されていれば、話は違ったでしょうけど。
オリジンがテンプレになって、「じゃあ、それを超えてやろう!」って映画が出てきている時代に、今更このパターンで来られても……。『ザ・バットマン』を観た後だと余計に時代遅れ感が否めません。
また、ヒロインのマルティーヌがまったくといって活躍しないのも最悪。
近年は『ワンダーウーマン』や『エターナルズ』など、女性キャラクターが活躍する時代になっています。ヒーローにはならなくとも、活躍を見せるのが最近のアメコミ映画のトレンドですが、本作では超空気。
ふたりの恋愛模様も詳しく描かれないし、助けを呼び、なぜか死亡する非常にもったいないキャラクターでした。
一応、リビングヴァンパイアとして覚醒したし、続編ではしっかり活躍してくれるのだろうけど……。もはやこの映画自体が、ただの準備なのかと思ってしまうくらいです。
ストーリーもダメ
ストーリーもなにがなんやらって感じでして。
モービウスは不治の病を治療しようとした結果、人の血を糧に生きる吸血鬼のようになってしまったキャラクターです。
劇中では人工血液では徐々に自分が抑えられなくなること、人の血を吸わなければ暴走してしまうことなどが語られていました。確かにヒーローなのに人の血を飲むという設定は面白いのですが、モービウスだけ都合がよすぎる。
モービウスが覚醒してすぐ、数人の人間を殺してしまったのに、警察は「あいつらは犯罪者だから死んだっていいだろ……」と語りだす始末。警察に許されたとしても、観客の中にはモヤモヤが残りますよね。普通に追われてもおかしくないって。
モービウス本人は特に気にも留めてないようだったし、そんなヒーローにこれから感情移入できるのか?と疑問に思うわけです。
「アンチヒーローとしてもイマイチ」
で、さらにひどいのが、モービウスが抱えていた問題のほとんどが結局解決しない点。
警察の誤解は解けたのか?血液がなくて大丈夫なのか?暴走するって話はどこにいったの?
なんかヴィランを倒して万事解決!って感じで締められますが、いやいやいや……。
ライバルいなくなったよねってこと以外、何も解決してないじゃん!エンドロールはじまったとき、椅子から転げ落ちるかと思いましたよ。
さすがにエンドロール後に何かしら示唆されるのかと思いきや、すべてを無視しして続編への導入をすると。本当にこんな感情の時に、こんな場面でバルチャーを出してほしくなかったよ。
予告編との関係
一番話したいことがこれ。
予告編で思わせぶりに登場した様々な演出が、特に意味をなしていなかったことが本当に残念。
特にバルチャーですよ。彼は本編には一切登場せず、エンドロール後にチラッと出てきただけ。予告編で使われていた、モービウスと素顔で会話する場面はなく、唐突な登場。
「これなら予告編に出す必要なくない?」
むしろ予告編に出ていなかったほうが、驚いたと思うのですが……。公式からネタバレしていくパターンですか?
ただ、この展開には恐らくコロナの影響があると思っていて。
『モービウス』が2年近く延期している間に、『ノーウェイホーム』が公開されました。本来はもっと登場するはずだったのが、『ノーウェイホーム』のストーリーと合わせるために一部改変されたのでしょう。
そう思わなきゃ、ソニーへの不信感が爆発しますからね。
そもそもなぜバルチャーがモービウスの世界に移動したのか?マルチバースであることは当然ですし、スパイダーマンの正体を知っているのも確かですが、なぜこっちに?この辺は考察していくしかないんでしょうねぇ。
そしてトビー・マグワイア版スパイダーマンのグラフィティ。意味ありげに「MARDER(殺人者)」と書かれた落書きが予告編に登場していたけど、まさかの本編ではカット(これは予告編を作った人が追加したシーンだったみたい)。
もうなんなのこれ……。
以上のような、思わせぶりな映像・演出を予告編に加えたことは、正直言って失敗です。
熱心なマーベルファンほど「バルチャーはいつ出るの?」とか、「もしかしてスパイダーマンが……」といった、先の展開をめちゃくちゃ期待しちゃいます。
そうなると頭の中にあるのは、モービウスよりもバルチャー。映画を見つつも、あまり集中できなくなっていく本末転倒な事態に陥るわけで。「過剰な期待するなよ!」とか言われそうだけど、「いや、だって予告編に出してたやん?」って。
少なくとも、この映画は2年近く楽しみにしていたファンの期待に応える映画ではありません。
ただ、同情できる作品というのも事実なんです。
冒頭にも書いた通り、本作は2020年公開予定の映画でした。『ヴェノム2』や『ノーウェイホーム』より前に公開される予定だったし、マルチバースもここまで本格的に導入させる予定はなかったのでしょう。予告編に入れた映像も、本来は違う形で映画に入れられる予定だったのかもしれません。
そう考えると『モービウス』もまた、コロナの影響を強く受けてしまった映画でした。作品自体は2020年にしっかり公開されていれば、違った評価を受けた……はず。
とはいっても、凡なヒーロー映画だったことは変わらないかなぁ。
最後に
書きたいことは書けたので満足です。
ソニーは「シニスター・シックス」をどうしてもやりたんだろうなぁ。そのためにバルチャーを移動させたのだろうし。
『ノーウェイホーム』でアベンジャーズの話を聞いたのも、「シニスター・シックス」への伏線なのでしょう。
そう考えると、現在はバルチャー、モービウス、ヴェノム、クレイヴンの4人がいるので、あと2人か……。
トムホもこちらの世界に引き込んでくれれば、それなりに盛り上がるユニバースになるのではないかな?
あとは今後登場するブレイドとの関係性。いきなり合流することはなさそうですが、ゆくゆくはジャレッド・レトVSマハーシャラ・アリの戦いが見られるかも。
でも、ケビン・ファイギに相談しましょう?そっちのほうがいいって!
以上。
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