どーも、スルメ(@movie_surume)です。
山崎貴監督ですか…。
『永遠の0』と『海賊と呼ばれた男』は好きでしたけど、『鎌倉物語』や『STAND BY ME ドラえもん』はちょっとなぁ。
個人的にはブレが大きいと思うんですけど、世間的な評価はどうなんですかね。
山崎監督のこの先の監督作はアニメが二作続きまして『ドラクエ』と『ルパン三世』。どっちも原作が好きな作品だから不安しかないw
まぁ誰が監督しても不満に思うところは少なからずあるだろうけども。
えー、ということで今回は山崎隆監督作品『アルキメデスの大戦』のレビューです。
それにしても菅田将暉さん大人気ですね~。
最近は歌も出して歌手にもなっていますからね。アイドル的人気を誇っている理由も分かります!同性でもなぜかカリスマ性を感じずにはいられない…!
では、前置きはこの辺にして次から本題です。
アルキメデスの大戦
あらすじ
日本と欧米の対立が激化する昭和8年、日本帝国海軍上層部は巨大戦艦・大和の建造計画に大きな期待を寄せていたが、海軍少将・山本五十六はその計画に待ったをかけた。山本は代替案を提案するも、上層部は世界に誇示する大きさを誇る大和の建造を支持していた。山本は大和の建造にかかる莫大な費用を算出し、大和建造計画の裏に隠された不正を暴くべく、天才数学者・櫂直を海軍に招き入れる。数学的能力、そして持ち前の度胸を活かし、大和の試算を行っていく櫂の前に帝国海軍の大きな壁が立ちはだかる。
監督
冒頭に書いた通り、本作は山崎貴監督作品です。
有名なところだと『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの監督をした方ですね。
VFXやデジタル合成を得意とする監督で、『永遠の0』や『三丁目の夕日』シリーズでも大規模なVFXを使用していました。その派生からか3ⅮCGのアニメ映画も手掛けています。
私にとってはあまり好みの監督ではないんだけど、毎回話題に上るからチェックしておかなきゃ。
ちなみに次回作の『ドラクエ』アニメは来週公開!2週連続監督作品が上映されるってスケジュール詰めすぎじゃない??
キャスト
主人公の櫂直を演じるのは皆さんご存知、菅田将暉。
いろいろな映画に出ていますが、私はやっぱり池松壮亮と共演した『セトウツミ』が好きかなぁ。
『セトウツミ』は男子高校生二人がしゃべるだけのオムニバスで、何とも言えない空気感に包まれた誰も傷つけない日常系映画。サラっと観られるのでお暇ならぜひ!
その他の出演者は『きみと鳥はうたえる』の柄本佑、『センセイ君主』の浜辺美波などの若手俳優から、國村隼や笑福亭鶴瓶、小日向文世などのベテラン俳優も出演しています。
中でも山本五十六役は重要ですよね。これまで三船敏郎さんを始めとする名だたる俳優が演じてきたのですから。
私は山本五十六というと『ミッドウェー』の三船敏郎さんか、『トラ・トラ・トラ!』の山村聰さんか。最近では役所広司さんが演じてましたっけ。
今回は『あぶない刑事』の舘ひろしさんが演じているわけですが、これまでの山本五十六とは違ったアプローチで演じてくるのでしょうか。うーん、実際の写真を見たら顔は似ている気がする。
評価
僭越ながら『アルキメデスの大戦』の満足度を★10段階で表すと・・・
★7
会議室で起こる戦争映画であった。
戦争映画と聞くと、それこそ大和などの超大型戦艦を使った迫力満点の映像と真に迫るリアリティが頭に浮かびます。
『プライベート・ライアン』や最近なら『ハクソー・リッジ』のような思わず目を背けてしまいたくなる、エンターテインメントではない生々しい映画になってしまう気がするんです。
それもそのはず、大体の戦争映画は史実を基にしており人類が歩んできた血生臭い歴史そのものだから。
もちろん中にはロバート・アルトマンの『M★A★S★H マッシュ』のように戦争をコメディに落とし込んでしまう映画もあるにはあるんだけど、そんなのごく一部。ほとんどの戦争映画は悲惨な歴史を再現していると思うのです。
対して本作『アルキメデスの大戦』はと言うと序盤にこそ戦争シーンがあるものの、映画のほとんどは主人公・櫂直を中心とした人間ドラマ。軍隊の不正を解き明かそうとする、ガリレオ×池井戸潤みたいな作品なんですね。
天才数学者が関わるはずのなかった海軍に入りこみ、今で言う「外部監査」的なことを行う。これは非常に現代的なドラマだなぁと!
そして「なぜ大和は作られなくてはいけなかったのか」と言う映画始まってからの疑問にしっかりと答えを残します。人によっては納得できなそうなアンサーではあるものの、私はラストに妙な説得力がある気がしまして。
ラストについてはネタバレになるんで、のちほど書かせていただきますね。
ここから先は『アルキメデスの大戦』のネタバレを含みます!
まだご覧になっていない方はご注意を!!
感想(ネタバレ)
この映画は史実か?フィクションか?
本作を観て大体の方が感じたことは「これって実話なの?」ってことだと思います。
この時代にここまでの数学に興味を持って理解の深い人たちが軍内部にいたかどうかは疑問が残りますが、私は「少なくともモデルになる人物くらいはいたんだろうな~」と踏んでいました。
櫂直はいなくとも、この時代に大和建造に反対した数学者はいたんじゃないかと。
で、家に帰って調べてみたら『アルキメデスの大戦』は完全にフィクションなんですってw
あー、これフィクションなんすね~。映画の最後に「これは史実を基にしたフィクション」とあったから、基になった事件とか人物とかいると思ってたよ。
山本五十六とか國村隼さんが演じた永野修身、橋爪功さんが演じた島田繁太郎は実在してますけど。
言うなれば実在した軍人と、フィクションのキャラクター櫂直のやり取りを滑らかに表現した映画なんですね~。CGで共演を果たしたジョン・F・ケネディとフォレスト・ガンプを思い出します。
マンガには疎くてですね、お恥ずかしながら『ドラゴン桜』を書いた三田紀房先生が原作マンガを執筆したことも後から知りまして、原作ならもっと計算の辺りとか深く掘っているんじゃないかと。
映画だと上映時間が決まってますからね。せっかく大物俳優の舘ひろしさんが演じた山本五十六の登場も少しでしたし。それでも劇中随一の存在感を放ってはいましたが。
基本的にモノは持たない主義なんでマンガを買うことはないけど、漫画喫茶で読破目指すか…!
序盤に大和のシーンをいれた理由
本作は始まってすぐに大和が海中に沈む場面があります。山崎貴監督ならではのVFXでそれが再現されているのですが、当初はこのシーンを最初に持ってくるべきだったのか疑問だったんです。
だって、映画本編は菅田将暉さん演じる櫂直が大和の建造を止めるストーリーなんですよ?最初に大和が沈むシーンを見せちゃったら櫂直の作戦が失敗したことになるんじゃない?
と、浅はかな考えを持っていたわけで、どうせやるなら最後にすれば説得力あるのに…。とバカな考えを巡らしておりましたw
しかし、終盤の会議で劣勢かと思われた空母組は思わぬところで勝利を納めます。大和の造船を止めることに成功したんですね。
あれ?じゃあ序盤のシーンはなんだったの?結局大和造られちゃうんでしょ?と思ったところで、私が本作で一番推しているシーンが始まります。
決着が付き、空母案が通った1か月後。
敵対していたはずの田中泯さん演じる平山の元にやってきた櫂直。ここで大和を何故造りたいのか、何故造ってしまったのか、劇中ずっと問いかけられてきたことに対するアンサーが平山の口から放たれる。
大和は当時の日本帝国に住む人々の希望であると。希望であるがゆえに撃沈されたら敗北を受け入れられると。
そう、この映画に登場する大和は元々アメリカ軍に撃沈される為に生み出されるのでした。
当時の日本は「欲しがりません 勝つまでは」の時代で、最後の一人になるまで玉砕覚悟で戦う人々で溢れかえっていました。「日本が負けるわけがない」と当時の人々は考えていたんですね。
でも、軍上層部となるとそうはいかない。アメリカの巨大な国力を見て勝てると思った人はほとんどいなかったのでしょう。しかし「戦争をしない」と言う選択肢は国民が許してくれない。
この背景があって、平山の言葉が出てきます。
どうせ戦争になるのなら最強でカッコいい軍艦を造ってアメリカ軍に沈めてもらいましょう。そうしたら力の差は庶民だって理解するでしょ?
「最後の一人になるまで!」と言っている人たちにも単純に理解してもらうため、日本人に負けを認めさせるために最強の戦艦は造られていくのです。
ここまでストーリーが進んで初めて大和の最期を序盤に持ってきた意味が分かりました。あれは櫂直が失敗した結果なんかじゃなく、櫂直と平山忠道が意図的にもたらした成果なんだと。
ラストシーンで櫂直が涙した理由は序盤のシーンに繋がっていくのです。沈めるために生み出した大和への弔いの涙でもありますね。
それと橋爪功さんがカッコいい戦艦を作りたがっていたじゃないですか?平山もそれに同調する形でカッコよく美しい戦艦を提案していく。このシーンは子供っぽい気持ちからカッコいい戦艦を作りたかったんじゃなくて、前述したように日本の象徴だと国民に思わせるために、見た目重視の戦艦だったんです。
もちろんフィクションだから、実際の日本国民の意識とか大和が造られた理由は違うのだろうけど、いい具合に期待を裏切ってくる非常に印象に残ったラストシーンでございました!
柄本佑の勝利じゃね?
本作のほとんどの時間は菅田将暉さんと柄本佑さんの二人のシーンなんで、一番記憶に残ってるのは当たり前なんですが、それにしても柄本佑さんが良かった…!
演技もそうだけど、櫂直のサポートをする田中正二郎ってキャラクターが堅苦しい人物なのに良い感じにゆるさを加えてくれる良い立ち位置にいる。
そこでもう一度ポスターを観ると田中正二郎がいるべき場所に山本五十六が。著名な俳優+これまで何回も映画化されてきた軍人だから理解はできるんだけどね。そこは櫂直とコンビを組んだ田中正二郎を置くでしょうが!
同じシーンにいると自然と菅田将暉さんや浜波美波さんよりも、そっちに目が行っちゃうんだよなぁ。
来月は主演作の『火口のふたり』も上映されるということで、そっちも非常に楽しみにしておりますw
まとめ
ごめんなさい!あまり期待はせずに行ったのですが、ガツンとストライクゾーンに入ってきましたw
山崎貴監督つながりで行くと、やっぱり来週のアニメ版『ドラクエ』。全作プレイしているんで絶対観に行くんだけど、一周回って怖い。
せめて鳥山明先生の絵を忠実に3Ⅾアニメにしてほしかったけど…。
以上!!!