カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞した映画『万引き家族』を早速観てきました!
世界三大映画祭(カンヌ、ベルリン、ベネツィア)で日本の作品が最高賞を獲るってめっちゃ凄いことなんですよ!!
監督や出演者にとっては最高の栄誉でしょうし、同じく日本人の私でも何もしていないのにちょっと誇らしくなったりします(笑)
では、レビューのほうに参りましょう!
[kanren postid=”899″][aside type=”warning”]注意この記事には『万引き家族』に関する重要なネタバレがあります。気になる方はご遠慮ください![/aside]
あらすじ
東京の下町。高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である初枝の年金を目当てに、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀が暮らしていた。
彼らは初枝の年金では足りない生活費を万引きで稼ぐという、社会の底辺にいるような一家だったが、いつも笑いが絶えない日々を送っている。
そんなある冬の日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子を見かねた治が家に連れ帰り、信代が娘として育てることに。
そして、ある事件をきっかけに仲の良かった家族はバラバラになっていき、それぞれが抱える秘密や願いが明らかになっていく。
引用:映画.com
評価
★10個中・・・・・・
★5
名作ではあると思うし、名作として語り継がれる映画なのでしょう。
しかし、純粋に面白いか面白くないかと言われれば面白くはない。
メッセージ性、芸術性、出演者たちの演技から監督の演出に至るまで世界レベルのものだが、感動したり心が動かされたり興奮したりすることはありませんでした。
とにかく観る人を選ぶ映画ということは間違いないでしょう!
感想
パルム・ドールについて
まず映画の感想を書く前にカンヌ映画祭の「パルム・ドール」について語らせてもらいます(笑)
2000年代にパルムドールを受賞した映画は『愛、アムール』、『ツリー・オブ・ライフ』、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』、『戦場のピアニスト』など。
90年代は『秘密と嘘』、『パルプフィクション』、『うなぎ』。それ以前だと『パリ、テキサス』、『地獄の黙示録』、『カンバーセーション/盗聴』など。
30年代から現在までで鑑賞した映画は約半数ほど。もちろん、この映画たちを最高傑作と讃える人もいるだろうし、どれも文句なしの傑作なのだがどれも楽しめるものではありません。
傑作なのは理解できる。でも面白くない。というのがパルムドールを受賞した映画に対する率直な感想です。
中には『タクシードライバー』とか『パルプフィクション』とか好きな映画もあるんですが…。
『地獄の黙示録』、『こわれゆく女』、『第三の男』とか名作だけど大作映画好きの私には合わない作品(ファンの方には申しわけない)が多いんですよね。
だから正直パルム・ドールを受賞したからといって過度な期待をすることはありませんでした。
それは『万引き家族』も同様で日本映画が受賞したことはうれしいのですが、やっぱりパルム・ドール的映画なんだろうなと。
同じ監督が作った『海街ダイアリー』も『三度目の殺人』も私には向いていない映画でしたし(ファンの方は本当にごめんなさい)。
ただこの映画がとんでもない作品だとは分かります!そこに「面白さ」が付随していないだけで映画として、いやむしろ芸術作品としての完成度は高い!
にじみ出てくるリアリティー
本作は派手なBGMを一切使わず、その場にある環境音だけで演出されています。
この演出によりそこに映る家族が、現実に存在してるドキュメンタリー映画を観ていると錯覚させる。
それにはやっぱりBGMだけでなく、家族それぞれを演じた俳優たちの演技力によるものも大きいでしょう。
樹木希林もリリー・フランキーも松岡茉優も個々の俳優ではなく、この映画では家族の一員でした。最近の映画でここまで演技と演出が前面に出た作品は少ないです。
感動するポイントはどこ?
この映画について調べていると試写会の参加者のレビューなのか「感動した」とか「涙腺崩壊した」みたいなレビューを多く目にしました。
そこまで他の人のレビューは参考にしないのですが、「感動する」っていう評価ほど信用できないものはありません(笑)
自分でこんな記事を書いててどうかと思うけど、やっぱり他人は他人、自分は自分ですからね。
何が言いたいかと言いますと、この映画は感動しないということです。それどころか感動するポイントが良くわかりません。涙腺崩壊ってレベルの感動ポイントはなかったと断言できます。
もちろん人によって違うと思いますが、少なくとも私は一切感動できませんでした。
そもそも感情移入ができず、最後の最後までこの映画の世界に入り込むことができなかったんです。
だから山場と言える場面でも感動はおろか、これといって興奮もなく終わってしまいました…。
先にも書いたようにリアリティーと芸術性を押し出したせいかあまりにも淡々と話が進んでいくので、ストーリーに入り込むことができません。
こういうところは如何にもカンヌらしいというか、人を選ぶというかそんな作品です。
東京物語
この映画は小津安二郎の『東京物語』と似ていると感じたのは私だけではないはず。
「万引き」や「殺人」という犯罪的要素は『東京物語』にはないわけだが、何故だか似ているんですよね。
例によって『東京物語』も正直好きな映画じゃないし、この映画と似ているのは世間の評価とは逆に淡々としすぎて入り込めない作風だということ。
そして海外評価が以上に高い点でも似ています。『東京物語』なら50年代の東京をそのまま描き出し、『万引き家族』は現代の東京に住む家族を描いているので、外国人の目線からしたら珍しくみえるのかもしれない。
『東京物語』は当時の映画監督たちに影響を与えるほど静かながらもパワーのある作品だったが、『万引き家族』その点では劣っていると言えますね。
安藤サクラと松岡茉優
この映画に出演しているどんな俳優よりも、この二人に演技には圧倒されました。
松岡茉優は『勝手にしやがれ。』で他の若手女優にはないパワフルな演技を魅せてくれたし、安藤サクラは言わずと知れた超演技派女優です。
ほとんどの方がこの映画一番の見どころは終盤に訪れる安藤サクラによる長めのカットだと言うことでしょう!
あのシーンはセリフも特になく、ただ安藤サクラの表情の変化が映るだけで意味を成す本作最高のシーンだということは間違いないです。
松岡茉優は「ここまでやるか!」ってくらいエロい(笑)
彼女だけは「万引き」せず良く分からない風俗的なところで働いているのですが、あのシーンで登場した4番の人は何だったんでしょうね?
この後なんかあるのかと思いきや何もなく終わってしまったのが悲しい…。
[kanren postid=”112″]タイトルの違和感
『万引き家族』。このタイトルは語呂も良く印象的でなかなかの良タイトルだと思っていました。
しかし、映画鑑賞後はこのタイトルに違和感を持った人も少なくないのではないでしょうか。
それもそのはず、よくよく考えれば万引きするシーンてそんなにないんですよね。
映画始まってすぐのシーンが印象的だっただけにこのタイトルが付けられるのも理解はできるのですが…。
「万引き」はそれ自体かなり悪い、犯罪行為なワケですが父と子(治と祥太)を結ぶ唯一の絆です。もちろん、正当化されているのではなく本人たちも悪だということは分かっているのだが、それをやらなきゃ生きていけない。
行為に対するジレンマと家族とのバランスが取られていて、それが的確に描かれていました。
[kanren postid=”856″]ラストシーンの意味は?
この映画のラストはよくある「フワッと」した終わり方。
映画を観た人向けに書いているので詳しい説明は省きますが、暴騰と同じように再びベランダに閉じ込められてしまった「ゆり」はあの時何を見ていたのでしょう?
ゆりを助けるために祥太や治が来てくれたのか、ただのゆりの希望や人違いだったのかは不明です。そこは観客に判断を委ねるというシーンなんだと思います。
私はあの路地には誰もいなく、ゆりの「再び家族のもとに戻りたい」という心情を表しているのだと考えています。
ゆりのとっての「家族」は虐待する本物の家族ではなく、犯罪者だけど心優しい治たちなんだと。
ずっと父ちゃん、母ちゃんと呼ばれたがっていた治と信代に対するゆりからの一つの答えがあのシーンだと思うんですよ。
解釈は人それぞれあるのがこういう終わり方の面白さでもあるので、皆さんもいろいろ予想してみてください!
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まとめ
賛否両論あって、個人的には好きな映画じゃないけど名作なのは確か。
日本人として観ておいて損はない映画でした!
最後までご覧いただきありがとうございました!他の記事もぜひご覧ください!
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