どーも、スルメ(@movie_surume)です。
今年もアカデミー賞のノミネート作品が発表され、いっそう盛り上がりを見せてきた映画業界。
今回レビューする『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』も作品賞並び、他部門でノミネートされている作品です!
新作が発表されると聞いて、「若草物語」ストーリー知ってるけど大丈夫かな?とか不安になっていたんですがw
もう何度も映画化されていますし、映画好きの中には「いや、何度目だよ!」と心の中でツッコミを入れた方もいたのではないでしょうか。
しかし!数ある「若草物語」の中でも本作の評価は桁違い!あのエリザベス・テイラーも出演している1949年版よりも高い評価ですからね……。
そもそも「若草物語」の映画自体が高評価だったこと今まであったけ?という疑問もありますが。
かくいう私も映画ブロガーを名乗りながらも、1949年版しか観たことないんですけどねw
前置きはこの辺にして、さっそくレビューに参ります!
※この記事はネタバレを含みます!
ストーリー・オブ・マイライフ
あらすじ
南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす物語を、作家志望の次女ジョーを主人公にみずみずしいタッチで描く。しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない次女ジョー、内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。女性が表現者として成功することが難しい時代に、ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた。性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと、思いを寄せる幼なじみローリーからのプロポーズにも応じず、自分が信じる道を突き進むジョーだったが……。
監督
監督を務めたのは『レディ・バード』でおなじみのグレタ・ガーウィグ。
現在のパートナーであるノア・バームバックが監督した『フランシス・ハ』では主演を務めていたりと、女優としての一面も。
私の中では近年最も大注目の女性監督でして、『レディ・バード』を観た時から「彼女の監督作はこの先も絶対に観に行く!」と心に決めています。とは言ってもまだ『若草物語』で2作目なんですけどねw
ノア・バームバックと同じく人間ドラマの撮り方が非常に上手い監督だと考えていて、その人が「若草物語」か……と。原作があるものですが、彼女がどう色を加えていくのかに注目してみたいと思います!
キャスト
主演を務めたのは『レディ・バード』でも監督とタッグを組んだシアーシャ・ローナン。
彼女もまた若手ながら4度のアカデミー賞ノミネート経験を持つ実力派。若手の女優ならたぶん一番でしょう。
将来はこの映画で共演しているメリル・ストリープ的な立ち位置に行くんじゃないかと思ったり。今作でも主演女優賞にノミネートされています!
・注目の若手ハリウッドスターをまとめた記事↓
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共演はエマ・ワトソン、フローレンス・ピュー、ティモシーシャラメ、メリル・ストリープなどなど。
特にティモシーくんに関しましては『レディ・バード』でローナンと共演しているんで、今作ではどんな絡みを見せてくれるのか楽しみです!
評価
僭越ながら『ストーリー・オブ・マイライフ』の満足度を★10段階で表すと・・・・・・
★8
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
単刀直入に傑作。マジで邦題どうにかならないの?と思うくらい。
ただ細かく時系列がシャッフルされているので、ある程度流れを知っておいた方がスムーズかも。エマワトソンは完全にハーマイオニーのイメージから脱却しましたね。ローナンも素敵 pic.twitter.com/EuVo12S4yM
— スルメ (@movie_surume) January 22, 2020
今年ベスト級の傑作!それは間違いない!
アカデミー賞ノミネートも納得!開始5分で傑作を確信する出来でした!
もう何度も語られ、実写化もされ、アニメ化もされ。不朽の名作であることは事実なんだけれど、これまで幾度となく映画が作られてきたこともまた事実。
しかしそんな『若草物語』の良さを一切変えず、より現代的なテーマを盛り込んで真新しさすら感じさせる作品に昇華させているんですね。
オリジナル作品ではないから、ある程度のあらすじを知った上で鑑賞しているワケで。先の展開をほぼ知っているにも関わらず、心動かされるのは何故だろう。
私が1949年版を観た時はほとんど感動せず、ただ名作に触れているようにしか感じなかったのですが……。
これは劇場で観ているからか、はたまたグレタ・ガーウィグの技量なのか。とにかく素晴らしく、私としては珍しく手放しで称賛したくなる作品であることは間違いない!
ここから先は『ストーリー・オブ・マイライフ』のネタバレを含みます!
まだご覧になっていない方はご注意を!!
感想(ネタバレ)
邦題について
最初に軽く邦題について述べさせてください!
本作の原題は『Little Women』。日本語では「若草物語」と訳されるタイトルで、従来のものと何ら変わらず不変なタイトルとなっています。ちなみに劇中でジョーが書きあげる小説のタイトルも「Little Women」。タイトルがここに繋がってくるんですね。
続いて邦題の『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』。一応サブタイトルとして若草物語が使われていますが、全体的にダサさからの脱却は出来ていない。
「ストーリー・オブ・マイライフ」ってワンダイレクションの曲の名前ですか?このタイトルだと「若草物語」を現代にアレンジしたかのように受け取る人もいるのでは?
「わたしの~」のサブタイトルも正直意味が分からない。だってこの映画は「若草物語」そのもの。別に原作をモチーフにした作品でもないんだから、「わたしの~」とつける理由が分からないよ。
グレタ・ガーウィグ視点でつけたサブタイトルなのか、ちょっと変更点あるからジョー視点か。うーん、私の脳みそでは理解できないのかもしれません。
そして先ほども書きましたようにタイトルと劇中に登場する小説がリンクする構成なんで、「ストーリーオブマイライフ」では繋がらない。
だったら「リトル・ウィメン 若草物語」とかにするべきじゃないか。カタカナ使ってナウい感じを醸し出したいなら、原題をそのままカタカナに置き換えればいいのに。
こうやって批判されて広まるのも一つのマーケティングと捉えているとすら思えてきました。
時系列
最初にネガティブな情報を発信してしまいましたが、ここからはほとんどがポジティブな話題です!邦題があれでもオリジナルに責任はないので。
最初に若草物語のあらすじを解説いたしますと、本作は南北戦争時代の中流家庭に暮らす4姉妹を描いた物語です。4姉妹は上からメグ(エマ・ワトソン)、ジョー(シアーシャ・ローナン)、エイミー(フローレンス・ピュー)、ベス(エリザ・スカンレン)。
この4人が隣人のローリー(ティモシー・シャラメ)らとの恋愛や姉妹喧嘩、家族の死など数々の困難を乗り越えて成長していくストーリーになります。
基本的には次女であるジョーがメインで描かれ、劇中でのイベントも彼女が主体となることがほとんどです。ジョーは男勝りな性格で当時の女性としてはまだ珍しかった作家志望。彼女の書いた小説が「Little Women」と名付けられ、これがタイトルに繋がっていくのです。
と、こんな感じで「若草物語」自体は非常にシンプルなストーリー。
実写映画もwikiを頼りに数えただけでも今回で10作目。なんなら2018年にも出版150周年ってことで映画化されていますw 日本でも森永健次郎監督で舞台を日本に置き換えた映画が作られていたり。
さらにはテレビドラマやアニメ、ミュージカルもいれたら数えきれないほど。それだけ世界中で愛され、語られてきた物語なのです。
本作の課題は皆がよく知る物語をどう解釈して、現代に生きる人たちにも通じる物語するか。というところでしょうか。
そこでグレタ・ガーウィグは原作のままの世界観を取り入れつつも、時系列をシャッフルするという手法を取りました。つまり家族と共に暮らしていた少女だった時代と、苦難を乗り越え成長した時代の2つを交互に展開させているのです。
しかも特に解説がないまま過去編がスタートするので、初めて「若草物語」を知る人は結構戸惑うかも。もちろん初めて触れる人にも楽しめるように作られていると思うんだけど、ちょっとくらいは流れを把握していた方がいいかもしれない。
時系列シャッフルといえば日本にも『涼宮ハルヒの憂鬱』というアニメがありまして。放送時には既に原作が売れていたこともあって、単にアニメ化するだけではつまらない。ならば時系列を入れ替えて原作ファンにも新規ファンにも楽しんでもらおうとしました。
その結果第一話からいきなり劇中でハルヒたちが制作する映画が始まり、2話目が第一話、3話目が第二話、4話目が第七話を放送するというサプライズたっぷりな作品となっています。
そんな感じで「ストーリーオブマイライフ」もオリジナルを知る人にも楽しめる構成として時系列シャッフルを採用したんじゃないかな~と。
キャスティングの秀逸さ
本作ではメインとなる4姉妹、そしてそれを取り巻く人々のキャスティングが素晴らしいの一言。主演のシアーシャ・ローナンはもちろんのこと、脇を固めるメリル・ストリープとかティモシー・シャラメまで文句を言う隙間もない鉄壁のキャスティングです。
4姉妹の中では個人的には長女を演じたエマ・ワトソンが良かったんですがね。冒頭でも書きましたが、完全にハーマイオニーのイメージから脱却し、女優としての道を歩み始めています。
そして3女のエイミーを演じ助演女優賞にノミネートされているフローレンス・ピューも。皆さん同じだと思いますが、ジョーの小説を燃やしスケートに行くまでの演技は圧巻でしたね~。あとローリーとの結婚をジョーに告げる時の表情ときたら……。
もちろんシアーシャ・ローナンもボーイッシュなのに美しくしく、気性が粗そうに見えて実は繊細。そんなジョーを好演し、私の中ではジューン・アリソンを超えましたね。まぁキャラ的にはレディ・バードの方が好きだけど。
4姉妹以外で特筆したいのは姉妹の母を演じたローラ・ダーン。彼女は『マリッジ・ストーリー』でも弁護士役を演じて評価されていますが、こっちの方が好き。
特にベスの死を嘆き、ジョーに泣きながらすがりつく場面。ベタなシーンではあるのに、この映画の中で一番感動したのは彼女の表現力のせいでしょう。『スターウォーズ』に出てた時はあまり好きではなかったんですが、役によってこうも印象が変わるのかと。
この映画の影の主役はローラ・ダーンといっても過言ではない。それくらい存在感がありました。
ベストシーン

焼けたスカートを恥じらい、一般客から隠れながらダンスを踊るジョーとローリーのシーン
でございました!
1949年版だとあんなにロマンティックなシーンじゃなかったはずなのに!なんでこうもロマンティックに描けるんだ!
ティモシー・シャラメとシアーシャ・ローナンだったからかな。窓を超えてダンスするシーンとか最高すぎでしたw
他にも手紙を読む場面になると何故かカメラ目線になった内容を語るとか、ローリーがエイミーのエプロンを脱がせるシーンとか良い場面はたくさんありましたね。
さすがグレタ・ガーウィグ!!
以上!!!
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