映画『キングダム2 遥かなる大地へ』ネタバレ感想と評価 戦は数じゃねぇと心に刻め!

スルメ
どーも、スルメです

『キングダム2 遥かなる大地へ』観てきました。

前作も観ているし、当然のごとく原作も読んではいるんだけど、『キングダム』自体そこまで好きな作品ってわけじゃない。

「有名だから読んでおくか~」くらいの気持ちで手に取って、結局最新刊まで追えていない状態。

ただ、映画に関しては別で、僕の中では“原作よりも実写化が勝る、たぐいまれな映画”なんですよね。特にアクション面では、他の追従を許さないレベルですし、日本映画の中では非常に貴重な作品だと思うのです。

だからこそ、失敗することなく、続いてほしいシリーズなのですが……

ってところで、以下感想。『キングダム』映画および原作に関するネタバレが含まれますので、ご注意ください。

『キングダム2 遥かなる大地へ』評価

ストーリー★★★☆☆ 3/5
キャスト★★★★☆ 4/5
映像★★★★☆ 4/5
アクション★★★★☆ 4/5

総合評価 ★ 7/10

 

「今回も大当たり!!」


ストーリーはもちろん、日本映画の中では恐らく最高峰のクオリティであるアクション、そしてスペクタクルな合戦シーンは原作ファンじゃなくても必見でしょう。

山崎賢人&清野菜名のアクションは特に素晴らしく、前半は彼ら若手サイドの物語を楽しみ、後半はめちゃくちゃ派手に演出された豊川悦司らベテランサイドの雄姿を称える。

はっきりと前半・後半で活躍するキャラクターを入れ替えることで、信の強さから未熟さまでが明確に表現されており、これからの展開に期待がブチアガルと。

 

ストーリー展開に関しても、刺客急襲編と蛇甘平原編うまい具合にミックスし、羌瘣の過去編も語ってしまう構成。ダダっと先を急がず、非常に長い作品なのに実写化スピードはゆっくりで好感が持てます。

“原作ファン”というほどでもない読者である身としては、映画版の方が断然好き。これほど成功した“漫画実写化”ってあまりないんじゃないだろうか。

以下、詳しい感想です。

 

※『キングダム』のネタバレが含まれます

 

『キングダム2 遥かなる大地へ』感想

秦王・嬴政(吉沢亮)は、突如刺客に襲われる。彼のピンチを救ったのは、秦大臣・昌文君(髙嶋政宏)と、かつて共闘した奴隷出身の少年・信(山崎賢人)だった。再会を喜んだのも束の間、隣国・魏が攻めこんできたとの情報が入ってくる。

初陣となった信は、尾平(岡山天音)らと再会し、澤圭(濱津隆之)が伍長を務める伍(戦場で運命共同体となる5人)を組む。その中には、布で顔を隠した羌瘣(清野菜名)の姿もあった。

信たちは千人隊長の縛虎申(渋川清彦)から特攻を命じられ、大群で丘を守る義軍へと向かっていく。突破口を作り出し、善戦する信だったが、そこに義軍の秘密兵器である戦車隊が出現。圧倒的なパワーを前に、なすすべなくやられていく秦軍。

絶体絶命のピンチに、羌瘣はある策を信たちに教えるが……。

成功した実写化

「あのアニメor漫画が実写化だってよ!」

こんな話を聞くと、僕は不安に駆られてしまいます。僕はマンガも小説もアニメも好きで、有名どころは手当たり次第に読み漁っているんですが、“実写化”と聞くと、それだけで怖い。そもそも漫画だから、小説だから成り立っている作品が多いし、「日本の映画業界にこの作品を実写化できる技術と予算があるのか?」とか、変なところが不安になってしまう。

で、大体はその不安が的中するんですよ。
『かぐや様』しかり、『テラフォーマーズ』しかり、『20世紀少年』や『GANTZ』しかり……。どれも「え、そんなんでいいの?」という具合。特にアクションと恋愛要素が入ってくると、大体ダメ。そして不思議なことに“実写化を知ってから読みはじめた漫画”よりも、“実写化が発表される前から読み続けていた漫画”の方が残念度が高い。

そんな感じで、前作『キングダム』も「どうなのよ?」という気持ちで鑑賞したことは認めましょう。唯一の救いは、原作にそこまでハマらなかったことくらいでしたが、結果は「原作より面白いじゃん」

コアなファンの方の中には「実写化なんて全然なってねぇわ!」って人もいるのかわからんけど、そもそもこの規模の映画が日本で作られることが凄い。映画好きとしては、蛇甘平原の合戦シーンが普通に実写化されていることに、まず驚く。だって、製作費10億そこらですよ? そりゃあハリウッド大作に比べれば見劣りしますし、合戦シーンなのにアップが多いけど、それでも十分楽しめるレベルです。

「アクションでこれ以上を求めるのは……」

さらに特徴的なのは、前作が個と個の戦いだったのに対し、今回は軍vs軍。信だけは相変わらず一人で突っ走っているけれど、数百人規模の人間のぶつかり合いは、問答無用でスペクタクルなシーンになりますね。観客である我々も一軍に加わったかのようなライブ感があって、軍を鼓舞していた太鼓の音色が、観客の魂を震わせてくる。

戦略とかどうでもよくて突っ込んでくシーンは、『マッドマックス 怒りのデスロード』くらいアガります。砂ぼこりが舞って、泥臭い戦いに発展していくと、緊張感もこちら側まで伝わる。

まぁ、冷静に考えれば「最初に丘の上から弓撃てよ」って感じなんですが。「矢の雨を降らせてやれ」戦法と、戦車戦で歩兵の大部分はせん滅できたんじゃね。

 

アクション面で気になったのは、羌瘣の「トーン、タンタン」の場面。本作では1度しかなかったけど、なにあのワイヤー感。普通に清野菜名さんがジャンプするんじゃダメだったの? 一定のリズムで、一定の高さにジャンプするから、ついつい笑っちゃったよ。

原作でもあるシーンですが、あそこまで高くジャンプさせなくても。急に機械的な動きするからさ、あとに続く羌瘣の見せ場まで気がまわらなかった。

あと、確か原作ではザック・スナイダー監督の『300』みたいな、“盾で陣形を作る”シーンがあったと思うのですが、実写化されませんでしたね。「これ一番実写化映えするやろ!」と、この前原作読み返したときに歓喜したんだけど……。

キャストたちの妙

伝記モノだから当然ではありますが、本作では主要キャラクターたちを若手キャストが、将軍級のキャラをベテランキャストが演じております。

前作は「山崎賢人の映画かと思いきや、最後に大沢たかおが全部持っていく映画」だったんですが、今回は「トヨエツが最後に全部持っていく映画」でしたね(笑)

信を演じた山崎賢人だけは、終盤の戦いでも活躍していましたが、一番カッコいいシーンは麃公vs呉慶だったからなぁ。知力 対 本能とかいいつつ、結局「本能 対 本能」になっちゃうのはズルいよ。呉慶さんは知力で「一騎打ちは負ける可能性あるから……」という思考にはならなかったのだろうか。呉慶を煽って一騎打ちに持ちこんだ麃公のほうがよっぽど知力あるやろ。

「ベテラン勢はさすが」

そして、特筆すべき点は、この映画はなぜか“コスプレ感”がないんですよね。

冷静に考えれば、橋本環奈なんて着ぐるみで、トヨエツと大沢たかおは明らかな付け髭+ヅラ。清野菜名は戦場なのに衣装が汚れないし、小澤征悦は始終フェイスペイントときたもんだ。

どう考えても“コスプレ大会”なのに、映画で観てしまうと、ほとんど違和感がない。麃公が謎の兜をかぶって戦場を滑走しても、王騎将軍がサイヤ人の戦闘服みたいなファッションしていても、背景に溶けこんでしまうからスゴイよね。サイヤ人の戦闘服が似合うのって、R藤本と大沢たかおくらいのものでしょう。

さらに、王騎将軍は独特の口調で話す、デフォルメされたキャラです。美少女アニメだったら語尾に「にゃ」とかつけちゃうキャラに等しいくらい、現実感の薄い人なのに、大沢たかおが演じると「そこに王騎将軍がいる!」と誰もが納得してしまう。演技も当然ながら、ボディのスケールもハンパなくて、本作では戦うシーンすらないのに絶対的な強者でい続けてくれます。これはもう続編が待ち遠しい!と言わざるを得ない!いろんな意味で!

 

そうそう、続編は2023年公開だそうで。最初に刺客急襲編をやっていて、すでに佐藤浩市さん演じる呂不韋も登場済み。

政の過去編や、信vs羌瘣はどうなるんでしょうね? 馬陽編は意外と長かったような記憶があるのですが、一度決着をつけるのかな?

キャストの年齢もあるし、さすがにいつまでも続けていられないシリーズですよね。個人的には延々と続けてほしいのですが、2年に1本としても……。

難しいな。

最後に

合戦シーン大好きなんで、僕は2の方が好きです。ストーリーのまとめ方は前作の方が出来がよかったと思うけど。

合戦だけでいえば、『乱』以来のものだったのではないかな。

キャストの演技も見ていて楽しいし、次作にも期待です!

 

以上。


 

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