映画『喜劇 愛妻物語』感想 水川あさみのすがすがしい罵倒を聞き続けた2時間

どーも、スルメ(@movie_surume)です。

ということで、『喜劇 愛妻物語』のレビューになります。

タイトル通りコメディ映画なわけですが、僕のようなほぼ無職ライターにはなかなかキツイ話でしたw

一応金はあるけど、結婚なんてできないだろうし、ヒモも無理かなぁ。

今さらだけど「ヒモ」って言葉あまり好きではありません。別に男性が女性に養ってもらってもええやん?

「その分、家事をしっかりやりなさい!」って話なわけですが。

僕は料理もそこら辺の人よりはできるし、掃除洗濯なんでもござれ。

でも、家事が自分でできれば別にひとりでいいんだよね。一応仕事もあるし、特に不自由はありません。

という結婚できない言い訳を書いてみる今日この頃。

 

※この記事はネタバレを含みます!



喜劇 愛妻物語

あらすじ

売れない脚本家・豪太は、妻チカや娘アキと3人で暮らしている。倦怠期でセックスレスに悩む豪太はチカの機嫌を取ろうとするが、チカはろくな稼ぎのない夫に冷たい。そんなある日、豪太のもとに「ものすごい速さでうどんを打つ女子高生」の物語を脚本にするという話が舞い込む。豪太はこの企画を実現させるため、そしてあわよくば夫婦仲を取り戻すため、チカを説得して家族で香川県へ取材旅行に行くことに。しかし、取材対象の女子高生はすでに映画化が決まっていることが判明。出発早々、旅の目的を失ってしまう3人だったが……。

映画.com

監督

本作のメガホンを取ったのは、『100円の恋』の脚本を書いた足立紳

実は原作も彼が執筆していまして、自分たち夫婦をモデルに書いた作品だとか。

自分の本を、自ら脚本・監督をして映画化するってスゲェよな。劇中では「原作者の意向が…」を理由に脚本がボツになるって展開がありましたが、そういうのないもんね。

キャスト/キャラクター紹介

濱田岳/豪太

『アヒルと鴨のコインロッカー』や『グッドバイ 嘘から始まる人生喜劇』に出演。主演作を観るのは久しぶりかも。

豪太は売れない脚本家であり、セックスレスに悩む男。なかなかのクズっぷりを発揮してくれますw

水川あさみ/チカ

『後妻業の女』や『ミッドナイトスワン』に出演。

チカは夫を罵倒しまくり、一見言葉の暴力に見えなくもない。でも好き。

新津ちせ/アキ

新海誠監督の娘です。僕も初めて知りました。

アキは両親が喧嘩ばっかりしているから、現実的に考えると将来が心配。

 

 

喜劇 愛妻物語の評価

僭越ながら『喜劇 愛妻物語』の満足度を★10段階で表すと・・・・・・

 

7
★★★★★★★☆☆☆

 

これは悲劇ではなく、喜劇だ!

水川あさみさんがひたすら「ザコ!」「死ね!」「クズ!」と大声を張り上げ続ける映画でしたw

最初こそ「言いすぎじゃね?」って思ってたんですが、濱田岳演じる豪太の日常を見れば、そりゃ言いたくもなるわな。

映画の冒頭はこの家族、全然幸せそうじゃないんですよ。タイトルが「悲劇」であってもいいような。

夫婦仲もよくないし、豪太に至っては仕事もない。チカも豪太が働かないぶん、毎日大忙し。そして娘のアキにも不自由な思いをさせていると。

ただ、チャップリンの名言で「人生はクローズアップだと悲劇、ロングショットだと喜劇」って言葉がありまして。

この映画はまさしく、「ロングショットの喜劇」を垣間見る作品でした。

 

しかしですね。たとえ客観的に見ていたとしても、ふたりの間に挟まれるアキがかわいそう。

一応オチはつけられていましたが、彼女はどんな大人に育っていくのでしょうか。

根が優しいけども、両親の喧嘩とか小さい子供にとっては一番見たくないものだと思うのよ。

あと大久保さんとの関係とかとか。そこらへん、気になっちゃいますかね。

 

ここから先は『喜劇 愛妻物語』のネタバレを含みます!

まだご覧になっていない方はご注意を!!




喜劇 愛妻物語の感想(ネタバレ)

罵倒に次ぐ罵倒

主人公の豪太は売れない、いや売れなさすぎる脚本家であり、年収も数十万。しかもプライドがあるらしく、「映画の仕事しかしない」と言い張っています。

さらにさらに、家計を助けるためにしていたバイトもやめ、家事もしない。これじゃあ肉体関係を妻に拒まれてもしょうがないよ!

映画冒頭では「妻とのセックスが如何にハードルが高いか」を心の声で語り始めます。寝ている妻に対して「ね?マッサージしよっか?」とニタニタ顔で近づいていく濱田岳あらため豪太。本当にいい意味で胸がムズムズするw

映画の中でちょくちょく「どうやってセックスまで持ち込もうか」という豪太の奮闘が描かれているのですが、毎回ことごとく撃沈。レスの夫婦は難易度が高いらしく、何日も前から妻の機嫌を取ったり、家事を手伝ったりしなきゃアカンらしい。

「いや、手伝いは毎日やっとけよ」って話なのですが。そこをテキトーにこなしていくのが豪太のザコさだったり、観客にとっては良いところだったりするわけです。

で、こんな絵にかいたようなダメ男の豪太は毎日のようにチカに罵倒されています。その言葉もなかなか酷くてですね。子供の教育には明らかによくない。

特にひどいのは「ザコ」かな。自分の夫に対してザコっていう人あんまりいないと思うよ。まぁ、確かに豪太は客観的に見てもザコなわけでありますが。

 

で、僕ってひねくれてるもんで、この手の映画観るとき、自然と考えちゃうんですよね。

「これって男女逆だったらどうなんだろう?」と。

別にチカが悪いといっているわけではなく、男女逆だったら完全にDV案件なんだよね。言葉の暴力ってやつで。絶対「喜劇」にはならないと思われます。

妻に対して「ザコ」だの「死ね」だの言う夫ってクソじゃないですか。たとえ映画と同じように妻に問題があったとしても、胸糞悪い描写になってしまうはず。

でも、妻が夫を口汚く罵っても特に不快な気持ちはなく、笑えるんですよ。コメディになるんですよ。不思議じゃね?

それだけ豪太をダメ男として描くのが上手い。そして妻の罵倒にも隠れた愛情が垣間見える。

ふたりの夫婦関係を多くを語らずとも観客に伝えたことで、序盤からチカの罵倒が笑えるという、なかなかに高度な技を披露しています。

やっぱり作者の実体験が基になっているからですかね?それとも水川あさみのキレ演技が絶妙だったからか?

実は映画の後、監督夫妻のトークショーがありまして。そこで奥さんの晃子さんがサワー缶にストローさして飲んでたんですよ!映画とまったく一緒!!

夫妻のやりとりも映画の中の豪太とチカのやりとりと被るし、実体験を本にしたからこそ、観客も上手く飲み込めたんだなぁと妙に納得。

もちろん水川あさみさんのキレ演技も最高で、たまに見せる家族への愛情を感じる表情がまたステキ。なんだかんだで豪太の意見に従ったりして、実は仲良いんじゃね?と序盤から思わせてくれました。



気になる点がいくつか

あまりにもセックスできない豪太は、旅行先から一回関係を持った女性に連絡してしまいます。この女性、オアシズの大久保佳代子さんが演じてるんですが、僕は影の主役と睨んでいますw

初登場シーンから妙に胸の谷間を意識させるショットで、案の定豪太の視線も胸に行くわけですよ。で、我慢しきれなくなった豪太は旅先から不倫の約束をしてしまうと。

ここまでの件をメールでやり取りしているんで、チカにバレてひと悶着…かと思いきや、特になにもなしw

その後、普通にチカとヤレちゃったんで、満足したってことでしょうか。うーん、長々とやり取りを映しておきながら、後に活かされないのか…。まぁ、倉庫でのシーンは面白かったけど。

 

そして何度か書いたけど、夫婦の間に挟まれるアキがかわいそう。

豪太に関しては上記の不倫メールに夢中で、アキのことなど眼中にないようで。しかも豪太が怖いのは、アキが迷子になることよりも、「なんでちゃんと見てないの?」とチカに怒られること。

まぁダメ男だってわかってたけども、この海でのくだりは単に好きじゃなかったです。ザコでダメダメでもクズじゃないと思っていたのですが、これは根っこの方からダメな気がする。

チカも、娘の前で父親に怒鳴り散らす。暴言も普通に使うし、娘視点からみたら物凄いストレスだと思うのよね。

この映画は夫婦の物語を描くものであって、娘はあくまでもサポート役。夫婦仲を描くために必要だから登場させたって感じがしちゃいます。

娘の存在が半ば無視されたようになるのは、さすがに違和感。どんなに裏側には愛があったとしても、観客がそれを読み取れたとしても、子供の立場を考えると同情してしまうのです。




 

まとめ

そんな感じで、ちょっと気になる部分もありましたが、作品としてはめちゃくちゃ笑った!

あんまりね。深いこと考えない方がね。楽しいのかもしれないよね。

僕はたぶん結婚すらできないと思うけど、このまま年取っていったら、たぶん豪太のようになる気がする。

まぁ、楽しければオールOK。仕事も金もなくても楽しめる人間に生まれてよかった!

 

以上!!!

 

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