ハリウッド映画に日本が登場するのは嬉しくもありますが、「勘違いジャパン」が気になることもチラホラ。
現実の日本はそこまでサイバーパンクでもないし、ピンクや青のネオンがピカピカしているワケではない。もちろん、待ちゆく人のほとんどは英語を喋れません。
アメリカ人をはじめ、世界中の人が頭の中に描いている日本の姿とみれば、興味深くもあるのですが。
今回感想を書いていく『ケイト』は、100%日本が舞台となったスパイアクションです。
実際に日本で撮影したようで、「勘違いジャパン」はそう多くないと思いきや……
※この記事は映画の一部ネタバレを含んでいます。
ケイト
作品概要
日本のヤクザをターゲットにしていた殺し屋のケイトは、人生最後のミッションの最中に毒薬を飲まされてしまい、残り24時間の命になってしまう。
最後にターゲットを殺すべく、なかなか姿を見せないヤクザの親分を仕留めようと、東京の街を駆け回る……
主演は『ハーレイクインと華麗なる覚醒』のメアリー・エリザベス・ウィンステッド。徐々に体が毒に侵されていく、孤独な暗殺者を演じています。
共演には『ゾンビランド』のウッディ・ハレルソンや、『ゲーム・オブ・スローンズ』に出演したミキール・ハースマンなど。
日本からのキャストとして、ハリウッド映画常連の浅野忠信、韓国映画『コクソン』に出演した國村隼、『キングコング髑髏島の巨神』のMIYAVIなどが出演しております。
評価
★3/10
中途半端なスパイアクション
「日本が舞台になる」ってだけで観る人も多いんじゃないかな。私もそのひとりですが。
やっぱりハリウッド映画に日本が登場すると、とたんにサイバーパンクになりますね。
『ブレードランナー』にちょっと現実味を足したみたいな、もはや一つのジャンルになりつつある「勘違いジャパン」。
僕は嫌いではありませんが、人によっては苦手な方もいるでしょう。
「ブーンブーンレモン」ってどこから来たんだろ。「ゴーゴー夕張」みたいな海外独自のネーミングセンスは嫌いじゃありませんw
引き続き、映画の一部ネタバレが続きます
感想
アクションを観るとスタイリッシュなものにしたいのか、泥臭いものにしたいのか、よくわからない。
血反吐を吐きながら仕えるものは何でも使うようなシーンもあれば、ダサめな音楽をガンガンかけてケイトを無双させるシーンもある。
僕としては音楽抑えめで、シリアスなアクションがこの映画には合うと思う。
制限時間が24時間しかなく、ミッションを達成しても待ち受けるものは死のみ。この状態でパーリーナイトな音楽って合わないし、スマートな戦いは要らない。むしろ「失うものは何もないぜ!」と血みどろなアクションの方がケイトの現状にはぴったりな気がします。
そして、アクションシーンではアニをもっと動かしてほしかったかな。ただおもむろに発砲するんじゃなくて。アニが登場してからは「バディもの」の予感すらしたのに、戦いに参加するどころか、連れていってすらもらえないという不遇さ。
アニの存在理由はケイトの過去とリンクさせていくと同時に、「守る」という殺しと対になる役割をケイトに与えたかったのでしょう。結局はマチルダが頭によぎるだけで、これといった働きをしないし、ケイトにレオンほどの深さがないから二人のドラマを見たいとも思えません。
一番の不満点は、「それでおわり?」とツッコみたくなる終盤のアクション。
MIYAVIさん演じる城嶋との戦いはけっこう尺とったのに、ラストのアクションがあっさりすぎね??
復活したケイトが、アニを助けにビルに乗り込むシーン。ここでは敵と思われていた親分(國村隼)との共闘で、敵はケイトの上司&友人だったヴァリック(ウッディ・ハレルソン)と蓮司(浅野忠信)という、日米のスターが集結した場面でした。
戦いも終盤に入るとケイトと親分が二手に分かれ、國村隼vs浅野忠信、ケイトvsヴァリックの戦いが勃発するのですが、どちらもあっさりしすぎ。
どこよりも一番観たい戦いだったはずなのに、日本人俳優のふたりは2秒くらいで決着つくし、ケイトも速攻で上司を殺害。「いや、MIYAVIとの戦いの熱量はどうしたんだよ!!」と叫びたくなるほどのあっさり感。
観客はみんな國村隼vs浅野忠信が、ハリウッドの膨大な予算でガッツリアクションしてくれることを望んでいたと思うよ。ウッディ・ハレルソンのアクションも観たかったと思うよ。年齢の関係もあるでしょうが、日本じゃできない、ハリウッドだからこそできるアクションを期待していたのに。
日本の俳優がハリウッド俳優たちと肩を並べて演技をしているのは、かなり新鮮に映りますよね。
その点で観れば、今作を観てよかったと思うわけなんですが、なにぶんアクションもストーリーも凡なもので。
Netflixで日本を舞台にした作品は、ジャレッド・レト主演の『アウトサイダー』や、アリシア・ヴィキャンデル主演の『アースクエイクバード』ですかね。どちらも普通。
【関連記事】Netflix映画『アースクエイクバード』ネタバレ感想 列島ともに彼女の心も揺れ動く
Fin
⇒⇒映画レビュー一覧
⇒⇒「レミニセンス」評価と感想(ネタバレ) 想像以上にノワールしていたSF映画
⇒⇒映画「ムーンライト・シャドウ」評価と感想(ネタバレ) キッチン2作品あってこそだと思う
⇒⇒amazon実写映画「シンデレラ」評価と感想(ネタバレ) ガラスの靴からは脱却できず