映画『カラダ探し』ネタバレ感想と評価 リスクのないデスゲームとキレすぎチェンソー

『カラダ探し』をホラー映画と捉えたらアカンですよ。

この映画は孤独な少女の怨念が、若者たちのキラキラ青春の餌食になる映画です。

要はホラーを媒介にした『ブレックファスト・クラブ』でございます。キラキラな青春時代を送れなかった俺は、苦痛で顔を歪ませるしかありません。

そんなわけで、今回は『カラダ探し』のネタバレレビュー。映画を観た方のみお読みください。

 

『カラダ探し』

7月5日、女子高生の森崎明日香は、校内でいるはずのない幼い少女と出会い、「私のカラダ、探して」という不気味な言葉をかけられる。不思議な出来事に違和感を覚えつつも、いつも通りの一日を終えようとしていた明日香。しかし、午前0時を迎えた瞬間、気が付くと彼女は深夜の学校にいた。そこには明日香の幼なじみで最近は疎遠になっていた高広と、普段は接点のないクラスメイト4人も一緒にいた。困惑する6人の前に、全身が血で染まった少女「赤い人」が現れ、6人を次々と惨殺していく。すると明日香は自室のベッドで目を覚まし、7月5日の朝に戻っていた。その日から6人は同じ日を繰り返すことになり、そのループを抜け出す唯一の方法は、とある少女のバラバラにされたカラダをすべて見つけ出すことだった。

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『カラダ探し』の評価

僭越ながら『カラダ探し』の満足度を★10段階であらわすと……

 

 

★3

 

「緊張感がなさすぎるね」


ホラー映画なのかも怪しい。描写的にはホラーに感じる部分もありますが、普通に青春映画でよろしいのでは。

怖くないどころか、追われているのにハラハラせず、いまいち苦労も伝わってこない。

ただ、終盤からはしっかりリスクを負うことになるので、映画も動き出すのだが……。前半はなにを見させられていたのでしょう。

 

※以下、『カラダ探し』のネタバレが含まれます

 

『カラダ探し』感想

デスゲームなのにリスクほぼなし!

主人公たちが巻きこまれるデスゲーム「カラダ探し」は、深夜の学校に転送され、出会ったら即死な“赤い人”から逃げつつ、女の子の身体のパーツを探すというもの。要するに『バイオハザード』です。タイラントやドミトレスク夫人から逃げつつ、探索するみたいな。

ただ、カラダが見つけられず、赤い人に殺された場合、同じ1日が何度もループします。「カラダ探しをした」記憶だけが残り、無傷でその日の朝に戻されると。

これってさぁ、リスクほぼないよね

死に戻りだったら、『リゼロ』とか『サマータイムレンダ』みたいに、戻る場所が徐々に変わっていくとか、ある程度のリスクがないと困ります。

時間制限があるわけでも、目が見えなくなるわけでもない。ただ、朝に戻されて、仲のいい友達と遊ぶ日々が続くだけ。高校生からしたら大歓迎じゃないですか?

一応、殺される痛みや追われる恐怖はあるでしょうが、何度もくり返せば慣れそうですし。

実際、主人公たちは前日殺されたトラウマが残るわけでもなく、楽しく海で遊び、図書館で駄弁り、青春を謳歌する始末。

君たち今デスゲーム中なんだよ? 同じ1日ループしてるんだよ? 明日は来ないんだよ?ってことを、忘れそうになるほどの緊張感のなさ。

こんな話なら、別にデスゲームじゃなくたって、それこそ居残りでも、委員会活動でも、なんでもよくない?って思っちゃうわけですよね。

「完全にブレックファスト・クラブだな」

80年代の映画に『ブレックファスト・クラブ』って青春ものがありまして。

その映画は居残りさせられた、グループの違う高校生同士が仲よくなるって話で、ホラー以外のプロットはまんま『カラダ探し』です。

で、『ブレックファスト・クラブ』では仲よくなった生徒たちが、こんな疑問を抱きます。

「居残りが終わっても僕たちは仲よくしていられるの?」

彼らは別のグループに属し、不良だったりオタクだったりお嬢様だったりします。週末の居残りだから仲よくなったけど、普通の学校生活だったら? 僕たちは友達のままでいられるの? そんな切ない疑問を抱きはじめるんですね。

この部分も『カラダ探し』と共通しています。主人公たちは「カラダ探し」が終われば、記憶も消えて、以前のようなバラバラの状態に戻るからです。

果たして本当に「カラダ探し」を終わらせていいのか、明日香は疑問を抱きます。

この葛藤が『ブレックファスト・クラブ』と同じような、切ないドラマを生む……のかと思いきや、意外にアッサリいくじゃない(笑)

ホラーを台無しにしてまでドラマを描いてきたのに、今度は後半のホラー展開のためにドラマを犠牲に。もはや、なにが作りたかったのかわからず、混乱します。

ホラーとしてもダメ、ドラマとしても微妙。せめてどちらかは突き詰めて欲しかったです。

チェンソーキレすぎ問題

映画のラスト、高校のどこにあったのか、チェンソーが登場します。

ホラー&スプラッター好きとしては、「ようやくエンジンかかったじゃない!」と喜んでは見たのですが……

このチェンソー、めっちゃ切れ味いい!!

いや、チェンソーってさ、もっとゴリゴリゴリっギギギギってなって、斬られる側も「あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」って感じじゃないの?

それがスパッと頭をタテ割りしてて、もはや日本刀の表現なのよね。断末魔の叫びすらないんで、おそらく赤い人は斬られたことに気がついてないですわ。

『海猿』とか『暗殺教室』とか、大作映画を手掛けてきた監督なのに、これはひどすぎる。

まぁ、この映画を観に来る層は、スプラッターに明るくないだろうし、これが正解なのか……?

最後に

この映画の見どころは、橋本環奈ちゃんが口に腕を突っ込まれる変顔シーンですかね。

キャストがいいだけに、内容が本当にもったいない映画でした。

 

以上。