どーも、スルメ(@movie_surume)です。
『アルキメデスの大戦』で主役である菅田将暉さんよりも目立っていたと感じた俳優の柄本佑さん。
ご存知の通り柄本明さんのご子息であり、女優・安藤サクラさんの旦那さんでもありますね。
ということで今回は私も激推ししている柄本佑さん主演の映画
『火口のふたり』
のレビューです!
ポスター見てわかるとおり、やっぱ坊主が似合うよね。
俺は頭の形悪いから坊主似合わねーんだよなぁ。楽で良いんだけど夏だと頭皮が日焼けするし。
本作はR-18作品と言うこともありまして、お子様には観られない過激な要素もふんだんに。
Netflixの『全裸監督』を観ても思ったけど、カメラの前で自らを全力で晒せる役者さんって本当にスゲェ!
写真撮られるのも好きじゃない俺じゃ絶対できないな。
火口のふたり
あらすじ
東日本大震災から7年目の夏。離婚、退職、再就職後も会社が倒産し、全てを失った永原賢治は、旧知の女性・佐藤直子の結婚式に出席するため秋田に帰郷する。久々の再会を果たした賢治と直子は、「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」という直子の言葉をきっかけに、かつてのように身体を重ね合う。1度だけと約束したはずの2人だったが、身体に刻まれた記憶と理性の狭間で翻弄され、抑えきれない衝動の深みにはまっていく。
評価
僭越ながら『火口のふたり』の満足度を★10段階で表すと・・・
★6
大人になりきれていない自分には難しい
一応大人と言っても良い年齢ではありますが、人生経験が乏しいんですよね。俺って。
結婚もしていない、恋愛経験もそれほど多くない。あるのはバックパッカーとして培ってきた安い宿を見つける能力と僅かな英語力だけ。あと映画に関するそこそこの知識ね。
この映画も人によっては「それってよくある話よね」ってなるのかもしれんけど、経験の少ない俺は共感もできないし否定もできない曖昧な立場で観るしかない。
そういった意味で本作はどこか他人事であり、ストーリーに関しては賛でも否でもないって言うのが正直な気持ちなのです。
ただ、いつの日か真の意味で大人になって多くの経験をして、この映画に共感できるようになりたい。そんな日が俺に来るのかわからんけどもw
でも、まぁキラキラした学園恋愛ラブコメとかより、こっちの方がリアルなんだよな。たぶん。
性描写もAVのように見せつけるモノではなくて、ただ自分の欲望を満たすリアリティ溢れるシーンばかり。エロさよりも美しさ、滑稽さが上回ります。
頭の中でイメージする何よりも現実的な映像の連続。あぁ、人間って……。
ここから先は『火口のふたり』のネタバレを含みます!
まだご覧になっていない方はご注意を!!
感想
人間って
本作には登場人物が二人しか出てきません。主人公の賢治と直子だけね。
二人はかつての恋人同士で、東京で同棲していた仲。物語が進むにつれて二人の関係が明らかになっていくんだけど、それは本編でお楽しみを。
直子が自衛隊員と結婚することを機に賢治が実家に戻ってくる。そして夫が出張に出ている5日間だけ恋人同士に戻ることになると。
要は結婚を前にした直子と、東京で挫折を経験した賢治の5日間限りの逃避行なのです。その中で自分たちの欲望に溺れ、本来の気持ちと現実との間で身動きが取れなくなっていきます。
「一度死んだ」二人にあるのは生でも死でもない、いびつにも見える愛の形。あぁ、人間って醜いのね。
平気で嘘をつくし、性に溺れるし、悪いと思っていても欲望を抑えきれない生き物なんですね。でも、その醜さも含めて「人間」なんだと。オブラートに包まない人間模様とはたぶんこんな感じなんでしょう。
この映画はそんな二人を覗き見ている気分にさせてくれる。人に見せるセックスではなくて、見られたら困るものを見てしまったような。
直近だとこんなに裸が出てくる映画は『全裸監督』なんだけど、あれとは対照的だな。二つとも観ている方からすれば滑稽に映っていることは間違いないんだけど。
「エンターテイメント」にしないからこそ描ける人間の生々しい部分。
もっとダークで嫌な気分にさせる映画にも成り得たハズなのに、それを嫌味なく描ける荒井監督に敬意を表します。
この世界には二人だけ
二人の登場人物に絞ったことで受けている恩恵が大きい。
生と死の間で生きている二人にとっては、世界から切り離されてしまったかのような気持ちだったのでしょう。富士山の火口に飛び込んだ時、一度死んでいますし。
生きているワケでも、死んでいるワケでもない彼らの孤独感を表現しているのが全編に渡って行われる二人芝居のシーン。
バスに乗っても、買い物に行っても、盆踊りを観ても世界には彼ら二人だけ。登場人物を絞り、観客に見せる世界を限定することは、こんなにも効果的なんだ……!
登場人物が少ない映画、一人しか出てこない映画なんてのも観たことあるけど、これほどまでキャラクターの心情とリンクする演出として使われるのは初めてかも。
そして他のキャラクターがいなくても場を持たせられて、飽きさせない二人の演技幅の広さが活かされていますね。
ベッドシーンに入った時の情熱さと、行為が終わった後の冷静な表情。たわいもない話をしていても演技臭くなく自然な会話が成立しているしで、この二人じゃなかったら描ききれなかった部分もあるんじゃないかと。
これで直子のフィアンセである自衛隊が出てきたらね。場がシラケるというか、やっぱ二人のままでいいやってなりますしね。
パッと見ると楽しい映画とは言えないけど、演出や演技面でかなり勉強になる部分が多い作品でした!
東日本大震災
2011年3月11日に起きた大震災。あれから8年が経ちましたが、いまだに度々ニュースになるほどです。
本作でも時折震災に関する話題に触れられており、映画の中でも最も印象的なセリフも震災に関するものでした。
震災時、私はまだ中学三年生。地震がが起きた時は確か震度6弱でして、卒業式の練習の真っ最中だったと思います。
あんなに大きな地震が起きた後ですから練習を続行するわけにもいかず、すぐに下校となって皆盛り上がっていた感じでしたね。友達の家に集まって『告白』を観ていた記憶が。
事態の大きさを知ったのは家に帰宅してから。東北の方で原発事故が起きたとニュースになっていて津波が押し寄せる映像が流れ、物心ついて初めて経験する大震災となったのです。
話は戻りまして大震災の後の時代である『火口のふたり』では、さらに大きな事件が起ころうとしていることが明かされます。
正直あまりに突拍子すぎる展開に思っちゃったんですが、中盤に言及されていた東日本大震災のことを踏まえると、予期できる現実的な災害はそれしかないのかと。
命の危機が迫った時に最後に誰といたいのか。未曾有の大災害でも二人にとっては、自身の気持ちに正直になれるきっかけにも成り得るのかもしれません。
まとめ
性描写だけでなく、ストーリーも含めて大人向け。
難解というよりは、彼ら二人の気持ちに共感できるようになる経験が必要なのかと。大人になるって難しいなぁ。
私としてはストーリー部分よりも主演二人の演技や演出が好きでしたね。映画は何もストーリーだけがすべてじゃない。セリフがなくても語れるのが映画の良いところだよね。
またしても賛否別れそうな映画が来ました。レビューを書き終わるまで読まなかった他の方の評価を読んで、補完できるところは補完したいと思います!
以上!!!
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