映画『犬王』評価と感想(ネタバレ) 湯浅監督らしい音楽とアニメーションの相乗効果に震える

スルメ
どーも、スルメです

今回は湯浅政明監督最新作、『犬王』の感想を書いていきたいと思います!

湯浅監督といえば、僕の中では『夜は短し歩けよ乙女』、そして『四畳半神話大系』が好きです。

あの大学生ならではの深夜まで遊んでも自由な感じ、とにかく好きなんだよね。

もちろん、『映像研』も『ピンポン』も大好きだし、『夜明け告げるルーのうた』も好き。

つまり、湯浅監督作品が好きということなんですが、今回の『犬王』は平家物語を題材とした歴史ものでして。

若干、賛否分かれそうな気がしないでもないけど、感想を書いていきましょう。

犬王

作品概要

古川日出夫(以下敬称略)が執筆した、『平家物語 犬王の巻』を湯浅監督の解釈を入れこんで映画化した作品です。

タイトルにもなっている犬王というのは、室町時代に活躍した能楽師(当時は猿楽)です。かなり謎に包まれた人物らしく、劇中でもその正体が隠されたまま物語が進行します。

監督は湯浅政明なのですが、脚本は実写映画で活躍している野木亜紀子が起用されました。彼女にとっては初のアニメ映画脚本となるようですが、湯浅作品との相性はどうなんでしょ。

声優陣は犬王の声にアヴちゃん、琵琶法師・友魚の声を森山未來が務めております。

そのほかのキャストは、津田健次郎、松重豊、柄本佑などなど。

『犬王』 評価

ストーリー★★★☆☆ 3/5
キャスト★★★★☆ 4/5
演出★★★☆☆ 3/5
アニメーション★★★★★ 5/5

総合評価 ★ 6/10

 

「想像以上にミュージカルアニメだった!」


ひとつひとつのミュージカルシーンにかなりの尺を使い、犬王と彼に熱狂する人々を事細かに描いていた作品でした。

中盤にあるミュージカルシーンが、正確に時間をはかったわけじゃないけれど、体感20分以上あったような気がする。

当然、ミュージカルが長くても飽きることはなく、むしろミュージシャンのライブに参加している感覚になります。

そして時代劇ではあるのですが、若干モキュメンタリーチックに感じる部分もあってですね。「新しいものを観たな」という先進性も感じる映画になっていました。

 

ただ、現代人から見るとなじみ深い音楽を使っていたので、音楽の面での新鮮さは特になし。

当時の人の「アゲ感」を観客の中に再現するという試みなら成功しているだろうけど、彼らが感じていたであろう「新しい音楽」は感じられず。

「琵琶からそんな音出るの?」という素朴な疑問は置いておいても、音楽はどうなんでしょ。

 

※ここから先は『犬王』のネタバレが含まれます

 

『犬王』 感想

犬王の謎を現代にあてはめる

犬王は日本の芸術文化に影響を与えた人物ながら、その詳細は謎に包まれています。

「なぜ犬王は当時の人々を熱狂させ、歴史に名を残す能楽師になったのか」

そんな疑問をこの映画では、現代風のポップスターとして描き出しており、犬王を新解釈しています。やっぱり音楽の影響力は凄まじいし、なじみ深いロック調の曲を使い、圧倒的なパフォーマンスを見せることで、彼のスター性を表現しているのでしょう。

本作がミュージカル部分(ライブシーン)に注力しているのも、当時の人の“熱さ”を現代人の中に再現するため。僕もライブシーンで思いっきり身体が動きそうになっていたし、出来ることなら声を出してノリたかった!

「芸に熱狂するのは今も昔も変わらないよね」

当然、史実ではポップスターではないのでしょうが、荒廃した京の町で犬王が華やかに舞うだけで、説得力が凄い。押さえつけられていたであろう、当時の人々が熱狂するのも無理はないです。

 

このように、犬王は異端児として描かれているんですよね。そりゃあ、当時の能(猿楽)の世界で、あそこまで派手に暴れまわるのだから、新しい潮流を生み出したのは火を見るよりも明らかです。

そんな異端児がやる音楽がロックオペラなのは、いささか疑問が残る。今の時代はロックが当たり前にある世の中なので、ロックスター=異端児というのはもう通用しないのかなと。むしろミーハーの部類に入りそう。

僕はどっかの漫画書いてあった「ロックを聞かない人こそが、時代の波に乗らないロックな人」という考え方に大賛成しているんで。室町時代の人たちから見た犬王は革新的な異端児でも、現代から見てしまえば若干古い音楽を奏でる人に見えるわけです。

そんなわけで、音楽により当時に人の熱狂は再現できていても、異端児としての犬王は逆に説得力に欠ける。

ラストに関しても、犬王が義満の言葉通りに自分のプライドを捨ててしまうのは、どうなんだろう。彼にとっては人間として生きることが目標で、友魚とは違う目的を持って動いていたのでしょうか。

中盤までの犬王のイメージだと、「自分の物語を捨てるくらいなら死を選ぶ」とか言いそうな気がしましたが……。史実があるから仕方がないにしても、ロックスターとして描いたのに、そこはお上の言いなりになっちゃうんだ。

アニメーション

僕的に一番好きだったアニメーションは、歌っている友魚の口がアップになって、口の中で涎が糸を引くところですかね。

人によっては汚さを感じるシーンだろうけど、細かいところにリアルなアニメーションを持ってくるのは、湯浅監督っぽく感じました。

深夜アニメじゃやらなそうな演出だけど、自分を捨てて音楽を奏でている友魚が表現されていたと思う。ハルヒが「だから!わたし!」で顔が崩れていくアニメーションも好きだし、歌唱シーンで人間らしい部分が出るのは、なぜか心に刺さるんですよね~

「アニメの歌唱シーン、いいよね」

ほかにも挙げるとすれば、一番最初に犬王が舞うシーン。

長い手を起用に使って、実写じゃ到底不可能な立ち回りをしてくれて、曲と動きがマッチしているし、あのシーンで一気に引きこまれました。もちろん、清水でのシーンも、ラストの舞も素晴らしかった!

 

ただ、犬王が素顔を見せる場面は不覚にも笑ってしまったんですよね。

「あ、仮面の下そんな顔なんだ……」

別におかしいとかじゃないんだけど、美青年でも醜くもない、超ド真ん中な素顔でして……(笑)

醜悪ではないですが、あんな化粧したお顔が出てきたら、当時の人は少なからずショックを受けそう。その後の活躍を見るに、義満には許されたようだけど。

最後に

湯浅監督の作品は『きみと、波にのれたら』以来でした。

前作が想像以上にキラキラしていたのに対し、今回はかなり人を選びそうなアニメになっていて。

ストーリーは万人受けしそうですが、若干怖い部分もあるし、時代劇ということもあってお子様向きではないな。

湯浅監督とは別ですが、『四畳半タイムマシンブルース』もとても楽しみにしています。

 

以上。


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