スティーブン・キングとその息子のジョーが共同で執筆した短編小説が基になった『イン・ザ・トール・グラス』。
スティーブン・キングの映画ってめっちゃ見るんですが、本はほとんど読んだことないんですよね~
『IT』と『スタンドバイミー』をちょっとかじったくらいか。ITは何冊もあるから長すぎて途中で断念したけども。
これだけ映画化されるってことは人気も印税も凄まじいんでしょう。年間どれだけ貰っているのかが気になります。
キング原作ってことはホラーになるのか?Netflixはまだ実写化されていないキング作品をどんどん実写化していきそうな気配があるんだよな~。
※この記事は『イン・ザ・トール・グラス』のネタバレを含みます。
イン・ザ・トール・グラス
あらすじ
助けを呼ぶ少年の声を聞き、高い草が生い茂る広い草むらに足を踏み入れた妊婦とその兄。だが、やがて互いを見失い、そこから出られなくなる。
キャスト
主演を務めたのは『死霊館』のパトリック・ウィルソン。この人めっちゃホラー映画出ている感じがあるんですけど、『アクアマン』では普通に悪役やってましたからね。
ジェームズ・ワンの映画に出演しているイメージがあったからかな。来年は『死霊館』の3作目があるみたいですし。
共演はライズラ・デ・オリヴェイラ、エイヴリー・ホワイテッド、ハリソン・ギルバートソンなど。
評価
僭越ながら『イン・ザ・トール・グラス』の満足度を★10段階で表すと・・・
★4
世にも奇妙な物語感のある不思議系映画
設定自体は非常に単純でグロテスク要素をなくせば、世にも奇妙な物語の一幕として放送できるんじゃないでしょうか。
その際のタイトルは「逃げ出せなくて草」とか。うわぁセンスねぇ…!
要はループものなんですね。『恋はデジャヴ』のように意識だけループするのではなく、『トライアングル』のように同じ人間が何度も来ちゃう系。
真ん中にある岩とか、徐々におかしくなっていく3人の関係とかはちょっとキングらしさを感じたものの、それ以外は至って凡。
恐怖や緊迫感がイマイチ伝わって来ないで、何が何だか分からないままハッピーエンドを迎えてしまいましたw
ここから先は『イン・ザ・トール・グラス』のネタバレを含みます。
まだご覧になっていない方はご注意を!!
ネタバレ感想
ループ
この映画は時間すら超越し、入ったら二度と出られないトールグラス(背の高い草)の中で延々とループしていくストーリーです。
まずはじめに、二人の兄妹がトールグラスの近くに車を停車させます。すると中から子供の声で「迷ったから助けて」と。そこで二人は助けに入るのですが、ずーと同じ道をループし続けた結果、謎の男に襲われます。
時は過ぎて数か月後、二人を探しに来た妹の恋人であるトラヴィスがトールグラスの前に到着。すぐに二人を探し始めますが、案の定出られなくなってしまいます。そして助けを読んだ結果、冒頭の声の主である子供を含む一家をトールグラスの中に引き入れてしまうのです。
つまり誰が最初にトールグラスの中に入ったのか分からない状態になっちゃうんですね。運命がこの3組を引き入れてしまったのか。
姉妹からすれば子供の声を聞いて入ったのに、子供は助けを求めるトラヴィスの声を、トラヴィスは姉妹を助けるためと時空を超えて完全にループしている状態です。
ここまでの流れだと本当に「世にも奇妙な物語」で放送できそうな不思議系ホラー映画。ただ、その後が問題。
恐らくこのループを作っている原因と思われる巨大な岩を発券するのです。その岩はアメリカ大陸の中心に位置しており、表面には象形文字のような模様が刻まれています。
そしてこの岩に触れると何が何だか分からない魔力に縛られるのか、どんどんおかしくなっていくと。この岩に触れた男は、オーバールック・ホテルに囚われたジャック・トランスが如く家族すら手にかけ始めるのです。
この件は私の知るキングっぽいなって感じなんですが、この岩についての説明が一切ない。意味があるのか、ただの設定なのか。キチンと説明がないまま「触れたらトールグラス外に出られない」というルールだけが残ります。
ラストに行くにつれ、作品の謎が「入ったら抜け出せないトールグラス」から「触れたら変になる岩」になっていくのが非常に残念。
岩をメインにしなくても1つ面白いルールが設けられてまして。
それが死体になったらその場所に留まるということ。トールグラスの中は常に動いていて、一度はぐれてしまうと会うことはほぼ不可能。
しかし、死体のそばにいれば場所が固定されるので声を出し続けていれば合流が可能なんです。
こんなに面白いルールを作っておいて、使う場面が一度だけというw これを利用したトリックとかもっと作りようがあったんじゃないかなと。
残された疑問
ある程度のことは書いたんで、最後に少し私の感じた疑問について。
トールグラスの中に兄妹が入ってすぐ、土で汚れたトビンが出てくるじゃないですか?岩のところまで案内するヤツ。
アイツってどこのトビンだったんですかね。俺としては最後岩を触っちゃったトビンなんだと思っていましたが、ラストは普通に脱出したしなぁ。
あのトビンはなぜ岩の場所とか色々知っていたんでしょう。あの伏線は回収されてないのか、ただ私が気が付かなかっただけなのか…。
それと、ラストは脱出したトビンが過去に戻り、トールグラスの中に入る前の兄妹を止めるワケですが、これが成功したらトラヴィスの運命はどうなるんだ。
兄妹がトールグラスに入らなければ、探しに出るトラヴィスもいないはずだし、トラヴィスが入らなければトビン達一家も入らない。
しかし、トラヴィスが入らなければトビンを外に出せないので…と、タイムパラドックス的な何かが起きていることに。トールグラスに取り込まれた理由は三組とも密接に関係しあっているので「兄妹が入らない」となれば、いろいろ崩れ始めて来てしまいます。
そもそもあの時点ではトビンは二人いるんですよね。トラヴィスもトールグラスの中にいる岩に触った方と、街で普通に暮らしている方の二人存在しているのかもしれない。
その辺は敢えて謎を残しているのか、何事もなくトールグラスの前を通り過ぎることが出来たのは、何回もループした末に起きた奇跡だったのか。
トラヴィスが救われたことを祈っています、
まとめ
私生まれてからずっと都会に住んでいるんで、自分の背より高い草を見たことがあまりない。
いつか香港ディズニーランドに行ったんだけど、そこにあるトイストーリーランドってエリアは周りがトールグラスに覆われてて、変な感じがした記憶が。
トイストーリーランドに入った瞬間、自分がおもちゃサイズになるってことなんだけども、確かにそう錯覚してしまう演出はさすがディズニーランド。
最後に一切関係ない話をしましたが、設定は面白くとも活かしきれていないような映画でした!
以上!!!
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