Netflixオリジナル映画『アイ・アム・マザー』ネタバレ感想 ロボットは母になれるのか

もし自分の育ての親が人間じゃなかったら…。

そんなこと考えたことあるでしょうか?私はありません(笑)

人間じゃないとは言っても、狼少年とかではなくロボットに育てられた少女のストーリー。なんか次世代のディストピアものに聞こえますね。

犬に育てられると人間は犬と同じ行動をするよになるって聞きますし、育ての親ってかなり大切。

それなのに人間に育てられた犬は何故人間らしい生活をしないんでしょうか?せめて我々をマネて二足歩行くらいしてほしいものです。

 

タイトルの『アイ・アム・マザー』からロボットと人間のコミュニケーションを描いたものかと思いきや、結構ゾっとさせてくれるSFスリラー?

レーザーガンやスペースシップで戦う『スタートレック』的SFよりも、『ガタカ』とかNetflixだと『ブラック・ミラー』みたいなヤツですかね。

6月配信のオリジナル映画の中では結構注目度高そうな作品でした!


あらすじ

人類の大量絶滅後、再増殖施設内でたった一人ドロイドの母親に育てられている少女。だが、彼女の前に別の人間が現れたとき、ずっと信じてきた世界が揺らぎ始める。

Netflix

評価

僭越ながら『アイ・アム・マザー』の満足度を★10段階で表すと…

 

★5

 

え?うん、まぁ普通?

とにかくロボットの母親が動きだけで恐怖を演じてくる絶妙なビジュアル。

ターミネーターのように人の皮を被ったアンドロイドだと人間味があり過ぎるし、『2001年宇宙の旅』のHAL2000ほど置きものじゃない。

Hondaが開発してたASHIMOをめっちゃ進化させたみたいな、ハイテクさと『メトロポリス』の時代からアンドロイドが持っていた不気味さを併せ持ったハイブリッドなロボットなんですよね。

そしてこのロボットが人間にとって悪なのか善なのかって言うのが映画のキモで、主人公・ロボット・外部から来た人間の3人しか登場しないのに、一連のドラマを作り上げています。

マザー(ロボット)は外部から来た人間は信用できないと言うし、招かれざる客である女性はマザーを信用してはいけないと忠告する。

二つの情報に板挟みになってしまった主人公は、これまでマザーと過ごしてきた思い出に葛藤しながらも自分なりの道を見つけていくんです。

SF映画を観ているといろいろ察してしまうシーンもありますが、Netflixのドラマ『ブラック・ミラー』の1エピソードに近い、近未来で起こるスリラーを扱っているので同作が好きな人は楽しめるかも。

私は中盤の中だるみで気持ちが離れてしまいましたが(笑)

本当に『ブラック・ミラー』のように1時間程度でまとめてくれれば良かったのに。

ってことで以下ネタバレ入ります!


感想(ネタバレあり)

マザー

人類が絶滅した後の近未来。外はウイルスで溢れており、隔離された施設を出てしまうとウイルスに感染してしまう最悪な世界です。

人類を存続させるための施設では大量に保管された胎児から子供を作り、「マザー」と呼ばれるロボットが1人の子供を育てていました。

この映画の特徴として主要人物たちに名前がありません!主人公はそのまま娘(ドーター)と呼ばれているし、ロボットも母(マザー)です(笑)
まぁ三人しかいないので混乱することはないけど、記事として文章化するとちょっと難しい。

 

娘は大人になりマザーが想定していた人格を持つ優しい娘に育ったものの、彼女は外の世界に興味津々。

家族や娘のためにネズミ1匹すら侵入を許さないマザーに対し不信感を抱き始めるのでした。

この時点で超不自然なマザー(笑)
見た目もHAL2000を頭部にくっつけたような表情の読めない姿だし、よくこんなのと何年も暮らせるなと。

しかし娘にとってはマザーしか関われる人(ロボット)がいないわけで、教育も人格もすべてマザーの思い通りに育てられていくんです。

でもマザーが悪というわけではなく、人類存続のために立派な人格の人間を育てているのだと語ります。あくまでも人間の意思で行っていることで、娘に対しても愛情を示すマザー。

走る姿とかは超不気味だけど健気に命令を遂行するマザーにちょっと同情。もちろん人間を知らない娘にも。

そんなモヤモヤしている時に外の扉から音が聞こえ始めるのでした。

招かれざる客

マザーが寝ている(充電)している隙に扉を開け、外部から来た「女性」を中に入れる娘。

女性は腹部を銃で撃たれて瀕死の状態。なんとかマザーにバレないよう治療する娘ですが、マザーの姿を見たとたん女性は豹変!

マザーと同じ型のロボットに撃たれたと語る女性でしたが、マザーと撃ったロボットは違う人格だと反論します。

ここから「マザー=人間を滅ぼした悪」と語る女性と、マザーを信じて疑わなかった自分との葛藤が始まるのです。

確かに何十年も自分を育ててくれた母親が悪だと言われても信じられないのは当たり前ですが、この映画のマザーはロボット。
本来感情を持ってなくて、任務遂行のために自分を育てていたマザーは本当に信頼できるのかと思い悩むわけです。

しかし、そこはマザー!すぐに外から来た女性が悪だと反論を開始!
余計混乱し始める娘ですが、マザーが自分に嘘をついて女性を疑うよう仕向けていたことを知ってしまいます。


そして運命の瞬間。マザーがスリープモードに入っている間に、人類の胎児を補完している場所を調べてみると自分が「3号」だったことが判明!

そう、自分より前に2人の女の子をマザーは育ていたのです。ずっと1人目の子供だと思い込まされていた娘も観客も驚愕!このシーンは本当にゾッとさせられました。

じゃあ前に育てられていた2人の子供はどこにいったのか?

不審に思った娘が前回の娘のカルテを見てみると「失敗」の文字が。そしてマザー愛用の焼却炉の中には下あごの骨が転がっていたのです。

ついに「マザー=悪」という構図がハマった娘は、外の世界を知る女性を連れて脱出を試みます。

外の世界

なんとか脱出に成功した娘と女性。

女性が言うには炭鉱に集落があり、生き残りの人間たちが生活しているとの話でしたが、女性が住んでいたのはただの廃コンテナ。

集落の存在も嘘なのでした(笑)
実際には過去に存在していたらしいけど、すでに食べ物の奪い合いが起こり消滅しているらしい。

騙されまくりですね。

 

結局直前に生まれていた「弟」をマザーから取り戻すため、施設に逆戻り。

施設の中ではすでにマザーが「弟」を取り上げており、マザーの正体を娘に語り始めます。

マザーとは一つのロボットではなく一つの集合意識だと。つまり外から来た女性を襲ったロボットもマザー自身であり、世界中どこにでも存在することができると語るのです。

これはSFあるあるですね。目の前にいるマザーを壊しても、別のマザーがいくらでもいると。

それを知っていながらも娘はマザーを銃で破壊!施設に一人残された娘は「弟」を抱き、マザーが自分に歌ってくれた子守唄を思い出すのでした。

 

これはバッドエンド?ハッピーエンド?

マザーの脅威は去ったように見えて実は何も解決していないし、バッドエンドなのかなぁ。

結局外部の女性もマザーによって殺されてしまったし、残った人類は娘と弟の2人だけなのかも。

娘と弟には血のつながりがないからアダムとイヴになって人類を再建し始めるのか、保管されていた胎児をまとめて彼女が新たなマザーとして育てるのか。

想像が膨らみますね!

まとめ

前評判のわりには微妙だったかなぁ。

やっぱり間延びしてる感が否めないし、全体的に単調に進むのがどうも瞼を重くさせるんですよね~。

決してつまらなくはないんだけど、お金をかけている割にパワーのある作品ではありませんね。登場キャラクターが少ないのはややこしくなくて好感持てるけど。

以上!!!