正直な話、私はいわゆる高級ブランドというものが好きではない。
ヴィラン、ブルガリ、グッチ、エルメス、ティファニー、プラダ、シャネル、カルティエ
タダならもらうが、わざわざ金を出して買うほど物じゃないし、なんなら金もなければブランドに見合うような人間じゃない。
「結局は名前だけだろ?」
品質ではなく、ロゴが高いんだという考えを持っている人は私だけではないはず。
ただ、それだけ売れているのだから、なんらかの魅力があることもまた事実。
今回の『ハウス・オブ・グッチ』は、そんな長年の疑問を解消してくれる何かがあるのではないかと思い、鑑賞してきた。
この記事は映画のネタバレを含んでいるため、まだ観ていない方はブラウザバックを。
ハウス・オブ・グッチの感想
結局はブランドだけか
最初にストーリーの話をしておくと、私も結局はブランド名に惹かれたということ。
この映画に「グッチ」の名前がついていなかったら、キャスト以外の面ではおそらく興味も湧かなかっただろう。
本作がかの有名ブランド「グッチ」の映画だから観に行ったわけだ。
残念ながらグッチの名を冠するほど特別なドラマがあるとは思えなかったし、映画としても目を見張るものはなかった。
ストーリーは淡々と進み、まるで超豪華俳優を使った再現ビデオのよう。
映画ならではの演出が使われることも少なく、キャスト面以外では残念に感じるほどの作品だった。
監督のリドリー・スコットの前作は3人の視点から事件を描いていく、『最後の決闘裁判』だった。
あの作品はまさに映画的な演出てんこもりで、改めてリドリー・スコットの実力を実感したし、映画に心を動かされることを再認識した作品だった。
どーも、スルメです!以前、どこかの記事で、中世の時代には決闘や公開処刑が庶民の娯楽だったとの記述を読んだ記憶があります。うーん、娯楽に飢えていたとしても「殺し合い」に惹かれるだろうか? 僕だったら見物したりし[…]
そんな『最後の決闘裁判』の次の映画が、キャストを集めまくり、グッチの名をつけて人を呼ぶ『ハウス・オブ・グッチ』だと落差がすごい。
確かに実際に起きた事件としてはスキャンダル面での面白さがある。
セレブ達の欲望と愛と金といろいろ渦巻いたドロドロした事件は、我々庶民にとっては現実感がなく、それこそ映画の中の出来事として楽しめるだろう。
しかし、そんな新聞の1枠で終わるような事件を2時間半以上かけて描く必要性がイマイチ感じられない。
結局は愛から始まり、金におぼれ、愛ゆえに殺す。
長々と描かれていたが、ストーリーはスキャンダルとしての枠を出ず、良く言えば普遍的、悪く言えばありがちだった。
キャストについて
一方、キャスト面ではこれ以上ない仕上がりといえる。
単に豪華なキャストを集めただけでなく、彼らの演技によりこの映画の世界そのものが構築された形となった。
主演を務めたレディ・ガガは、最初こそ欲のなさそうな女性として映るが、中盤以降は金に目がくらんだ邪悪な存在となっていく。
彼女は特に目力が凄い。スクリーンいっぱいにレディ・ガガの目が映るだけで、その思惑がどこにあるのか理解できるほどの説得力。
『アリー』はアーティスト活動の延長線にあるような役だったし、実際の彼女と重なる部分があっての演技だったが、今作で演じたパトリツィアは普段のレディ・ガガとは恐らくかけ離れている。
それなのに、あの説得力を持たせた演技は称賛されるべきだ。再び主演女優賞にノミネートされても何ら不思議ではない。
もうひとり触れておきたいのが、小太りでハゲたパオロを演じた、ジャレッド・レトだ。
彼はグッチ家の中で無能と称されており、父親や叔父から何も期待されていないという可哀そうな人物だ。
「実在した人をここまで厳しく描くか!」と思うほど、容赦のない扱いを受けていたが、ジャレッド・レトはそんなパオロをカッコよさとカリスマ性をかなぐり捨て、情けなさすら感じるたたずまいで表現している。
メイクのおかげもあるだろうが、事前にキャスト名を知らなければ、ジャレッド・レトだと気がつく人は少ないはずだ。
その他のキャストもアル・パチーノ、アダム・ドライヴァー、ジェレミー・アイアンズと、かなりの豪華さ。
アル・パチーノが笑顔で日本語を話しているだけでも笑えてくるが、これだけの大物が揃って、煌びやかなファッションに身を包んでいるだけでも私は満足。
最後に
キャスト以外ではこれといって印象に残る点はなく、かなり危ない橋を渡った映画に思えた。
彼らの演技がなければ成立しないどころか、失敗作になっていた可能性も見えてくる。
最後までグッチというブランドの持つパワーはよく分からなかったし、「事実を基にした」だけ入れていればグッチじゃなくてもいいような気がする。
そう考えると、「やっぱりロゴだけ」という私のイメージは覆らなかった。
以上
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