映画『ホット・サマー・ナイツ』ネタバレ感想 美しく切なく危うい「夏の映画」

 

どーも、スルメ(@movie_surume)です。

 

最近めっちゃ勢いに乗っているA24

『ア・ゴースト・ストーリー』、『ムーンライト』『フロリダ・プロジェクト』などなど、賞レースにも絡む名作映画を世に送り出し続けているスタジオですね。

もはやA24製作だからってだけで観に行く理由になるほど信頼が厚いスタジオで、ジャンルは違うけど私にとってはピクサーやマーベルに並ぶほど。まぁ両者とは違って全作観ているワケではないんだけどねw

私は『レディ・バード』『アンダー・ザ・シルバーレイク』が好きかな。雰囲気がどれも似ている気がするんです。

 

ってことで今回レビューするのはA24製作の『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』

『君の名前で僕を呼んで』から日本でも知られる俳優になったティモシー・シャラメが主演ということもあって、かなり注目度は高い!!

ホット・サマー・ナイツ

あらすじ

1991年、最愛の父を亡くしたショックから立ち直ることができないダニエル・ミドルトンは、夏を叔母の家で過ごすため、美しい海辺の小さな町ケープコッドにやって来る。周囲の人たちとなじむことができないダニエルは、複雑な家庭の事情を抱え、地元ではワルで有名なハンター・ストロベリーとつるむようになる。町で1番の美女と称される妹のマッケイラを守ることには命をかけていたハンターからの「妹には近寄るな」との言葉に怯えながらも、ダニエルはマッケイラと秘密のデートを重ねていく。マッケイラと過ごすひとときはダニエルが自分を解放できるかけがえのない時間だった。

映画.com

監督

本作で監督デビューとなったイライジャ・バイナムがメガホンをとっています。

彼の執筆した本作の脚本は長らくブラックリスト(秀逸なのに映画化されていない脚本のリスト)にあって、念願の映画化となった作品です。

当たり前ですが、私がイライジャ監督を知ったのは本作が初。映画を観る限り90年代初頭の雰囲気を大事にし、慎重に撮影していたように思えました!

キャスト

主演は『君の名前で僕を呼んで』、『レディ・バード』のティモシー・シャラメ。Twitterを観ていると、よく彼の写真がつぶやかれているので人気俳優なんだなぁと。

私の中で『スパイダーマン』のトム・ホランドと並んで人気絶頂の若手ハリウッド俳優って感じなんですけど、あってます??

ヒロインは『イット・フォローズ』の主演を務めたマイカ・モンロー。共演はエモリー・コーエントーマス・ジェーンアレックス・ロウなどなど。

評価

僭越ながら『ホット・サマー・ナイツ』の満足度を★10段階で表すと・・・

 

★6

 

日本じゃ絶対あり得ない青春映画

校舎の窓ガラス割ったとか、暴走族に入ったみたいな謎武勇伝を所持している人は多くいますが、ハッパの売人になる人なんて本当にいないと思うんですよ。

そもそもハッパが日本でそんなに出回っているとも思えないし、生で見たのなんて薬物実習で学校に来た警察が見せてくれたヤツだけ。

売人やってビッグになろうなんて日本の青春映画じゃあり得ないよ。

 

それをまだ80年代の空気が残る時代を舞台に、危ない橋を渡るボーイミーツガールな青春映画にしてしまうんだから凄いよね。

という感じで非常にアメリカ的ストーリーであり、薬でアメリカンドリームすら掴めそうな私好みの映画なのでした!

 

でも主人公のティモシー・シャラメはどう頑張っても”ナード”には見えねぇ。喘息だという設定は要らなかったんじゃないか?

そして彼の家族に関する背景もおおざっぱに描かれているし、結局なにが動機で売人を始めたのかイマイチ理解できんのです。

とにかく私のようにあの時代の雰囲気に浸りたいなら良いのかもしれません。

 

ここから先は『ホット・サマー・ナイツ』のネタバレがあります!

まだご覧になっていない方はご注意を!!

感想

悪いことをしよう!

主人公のダニーは喘息持ちでどこのグループにも属さない、孤独な存在として描かれています。

それから居場所を求めるかのように街一番のビッグな男・ハンターに近寄り、麻薬の売人として”悪いこと”に手を染めていくワケですが、彼は最後まで”悪いこと”しかしない!

麻薬は売りさばくわ、ハンターに「妹には手は出すな!」と脅されれば手を出し、その彼女には嘘をつき、自分たちに麻薬を流してくれるマフィア?すら裏切ると。

もうね、劇中ずっと裏切りに裏切りを重ね、嘘に嘘をついているクズな男なんですよ!

しかも彼の背景については序盤にサラっと解説があるだけで、何故必要以上に金や成功を求めるのか分からない。彼女もいて、街一番の有名人の仲間で、金もある。それ以上いらんでしょ!

 

父親が死んでいて孤独だって感じなんで、劇中彼の行動の裏には”孤独の穴埋め”とかがあったりするのかなぁと思っていましたが、結局自分から仲間や彼女を突き放す方向に進んでますもんね。

作中常にどの方向にも嘘をつき続けていましたから。『ライアー、ライアー』のように嘘が付けない身体になったら即死だなとw

少なくともこのキャラクターに共感はできないかな。

 

しかしながら彼を演じたティモシー・シャラメは相変わらずのカリスマ性といいますか、オーラを放っていました。

ナードから成り上がって”ヤバいヤツ”になっていく過程を演じているわけですが、前半と後半で内面は変わっていないんですよね。結局臆病で背伸びしているままだし。

でも、だんだんと陰から陽になっていく喋り方とか彼女と仲間の間で揺れ動く表情だとか、演技で変化を表している部分もあって、そこはさすがだなと。

90年代という時代設定

私このブログで何度も取り上げているのですが『ストレンジャー・シングス』や先々週公開された『サマー・オブ・84』くらいの年代のアメリカが大好きなんです。

『ホット・サマー・ナイツ』は90年代初頭。まだ80年代の香りがわずかに残る私好みの時代背景があるわけで、オープニングシーンから興奮度はマックス。

海外のポスターだとレトロ感出しているんですけどね。日本のは現在が舞台かに見えるポスターなのが非常に残念。

 

中でもですね、外で映画を観るドライブインシアター。車に乗りながら、ラジオの周波数を合わせて映画を楽しむ。あぁ!なんて最高なのだろう!!

これとスケートシューズで車を周るドライブインが大好物。それは90年代にはもうなさそうだけど。

60年代にピークを迎え、この時代では徐々に衰退が始まっていたのかな?それでもマッケイラとダニーが出会う重要な場所ですし、最後に壊れたことでこの青春の終わり、恋の終わりを意味する場所として描かれてました。

 

その他にも「ストⅡ」がハンターとマッケイラの間で揺れる場面で、憧れのダイナーがデックスとの商談場面で登場。

『レディプレ』の時もそうだけど「昇竜拳」とか「波動拳」なんかの技名が使われるのは、なんとなくいい気分。「ストⅡ」スーファミでしかプレイしたことないけどw

あー、山盛りワッフルが食いてぇ

まとめ

ティモシー・シャラメはまだまだ売れそう!女性人気も高そうだし、演技もうまいし完璧やん!

今回の映画あとあとRottenTomatoes観てみたら評価低かったんですよねぇ。私は好きなんだけどな。

まぁ他人の評価で自分の考えが変わることはないですしね。私が好きならそれで良いんだ!

以上!!!


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