映画『ゴーストマスター』ネタバレ感想 それなら俺は映画ファンじゃなくていいや

 

どーも、スルメ(@movie_surume)です。

 

「映画ファンほど、ぐっとくる」

「究極の映画愛」

などと心躍るキャッチコピーが付けられている『ゴーストマスター』

監督のヤングポールは本作が初長編らしく、TSUTAYAが主催するコンクールで入賞した結果、製作に至ったようです。

まぁこの手のキャッチコピーはよくあるのよ。俺も映画ファンだと自負していますから、それなら楽しめるんじゃないかと期待が持てますしね。

しかも『死霊のはらわた』的なホラーは大好物ですし、私にピッタリだろと。

ってことでさっそくレビューに参りましょう!

 

※この記事はネタバレを含みます!

ゴーストマスター

あらすじ

映画撮影現場で助監督をしている黒沢明は、名前だけは「巨匠」の風格だが、頼まれると断れない性格で要領の悪い、B級ホラー好きの気弱な映画オタクだ。現在の黒沢が携わる「壁ドン」な青春恋愛映画の現場で、監督やスタッフからこき使われる日々を送っていた。いつか自分が監督となった日に撮ることを夢見て、書き温めていた「ゴーストマスター」の脚本は、黒沢の心の支えとして、いつも肌身離さずに持ち歩いていた。しかし、あまりの過酷な撮影現場でたまりにたまった黒沢の不満と怨念のような映画愛が「ゴーストマスター」の脚本に悪霊を宿してしまう。そして、脚本に宿った悪霊により、青春映画の撮影現場は凄惨な地獄絵図と化していく。

映画.com

評価

僭越ながら『ゴーストマスター』の満足度を★10段階で表すと・・・・・・

 

★3

 

なら俺は映画ファンじゃなくてもいいや。

なんだろう。面白いと思った人もいるだろうから批判されるかもしれないけど、私は怒りすら感じてしまった。

今さら映画ファンがどうのこうのとか語るつもりはありません。「究極の映画愛」とかも客寄せのためのキャッチコピーなのは理解しています。

それでも酷かったね。これには天国にいるトビー・フーパーも苦笑いしていることでしょう。

監督が好きな映画をミキサーでシェイクしちゃいました!みたいな映画なんだけども、愛がイマイチ伝わって来ないよなぁ。

ホラーとしてもダメで、コメディとしても受け付けず、映画ネタも面白くない。こんな俺はどこに楽しさを見出せばよかったのか。

 

唯一役者たちの全力投球ぶりは尊敬の念すら覚えたよね。特に序盤でゾンビ?になっちゃう板垣さんや頑張っていました。

映画の内容があれだからか「役者の演技がスゲェ!!!」というよりも、「役者さんがんばってるな~」って感じですが。宣伝で出演している俳優さんがバラエティーで無理やりモノマネをさせられる、あの空気ですよ。

板垣さんは劇中では監督に意見する「使いにくい役者」役だったわけですが、現実では監督の言うことを丁寧に実行していたんだろうな。

 

以下軽くネタバレ挟みます。

感想

この映画はたぶんコメディなんでしょう。監督自身も「ホラーではない」と明言されているようですし。

しかし、俺の観た劇場のせいか笑っている人はほとんどいなかったのよw たぶん渾身の力を込めて作ったであろうタランティーノの件も含めて。

俺一応試写会で観てるからさ。普通よりはいわゆる「映画ファン」の人が多い上映回だったと思うのよね。それでもあの静まり返った空気は気まずさすら感じちゃう。

映画しょっちゅう観ていますが久しぶりだったわあの空気。今年初めの方に観た「ザ・ファブル」以来かもしれない。

そんなことも含めてコメディ部分では、もはやどうリアクションをとったらいいのか分からなかった。

タランティーノトビーフーパー、何故か主人公の名前でもある黒澤明など超有名監督の名前を出されても反応に困ります。

映画ファンだからネタは分かるけど、映画ファンだからといってそのネタが面白いわけじゃないんだよ。

 

それよりも俺としてはパワハラが横行している撮影現場の描写の方が気になっていまして。

監督も主人公と同じく撮影現場で暴行を受けたのでしょうか?これって映画を利用した新手の内部告発とも受け止められるよね。

個人的に微妙過ぎたホラーやコメディよりも、こっちの方をメインに撮影して欲しかった。それはもう次作を業界から捻りつぶされるくらいな強烈ヤツを。

俺なんて映画を観てクソみたいな感想書いている、言ってしまえば作り手から見て一番迷惑なタイプの観客だと思うんですよね。パワハラが横行していて、寝れないくらい辛くて。それでもやっと完成した映画を我が物顔で批評する。

そんな撮影の裏を一切知らない俺たち観客からしたら、撮影現場ってフィクション並みに未知の世界なんですよね。

だからこそ「カメ止め」みたいに楽しい裏側コメディにするんじゃなくて、徹底的にリアリティを追求した描写は新鮮に写るのです。

数々の監督を愛し、映画を愛しているけど作品を作れない曲がりくねった憎悪みたいなものをホラーに転換するのは、あながち間違っていないのかもしれない。

「映画なんて大嫌いだ」なんて台詞が出てくるのも、現場を知っている監督だからではないでしょうか。

まとめ

あまり書きすぎると熱が入って酷い生地になりそうなので短めで。それ以外にも思うところは多々あります。

えー、以前とあるインディーズ映画祭で審査員をしたのですが、作り手の情熱とか映画に対する気持ちって想像もできないほどで。

確かにその気持ちが映画として形にならなかったら「死霊のはらわた」的モンスターすら生み出せそうな気がする。

「ゴーストマスター」は残念ながら俺には合わなかったけども、一部納得できる部分もある作品でした。

以上!!!

 

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