
今回はディズニープラス独占配信となった『フレッシュ』の感想を書いていきます。
この映画、キャストが気になるっていうのもありますが、ポスターだけで鑑賞を決めたんですよね。
その衝撃的なポスターがこちら!
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見ただけで「ひえっ」ってなりますね。
どこぞのスタンド使いが興味津々になりそうな、美しいおてて。
これだけでどんな映画か大体わかるし、フレッシュ(新鮮)ってタイトルも1発で覚えました。これは2022年ベスト映画ポスターに食い込ませてもいいのではないでしょうか。
そんなわけで、鑑賞して参りましたので、感想を書いていきます!
フレッシュ
今回レビューする『フレッシュ』はDisney+(ディズニープラス)にて見放題で配信しています。
Disney+(ディズニープラス)ではほとんどのディズニー作品やマーベル&スターウォーズなどの作品を見放題で配信中。
今作のようなオリジナル映画やドラマなど、ここでしか観られない作品も多くあります。
詳しくは以下のサイトをチェック!
作品解説
今作はディズニー傘下となったサーチライトピクチャーズによって配給された作品です。海外ではこちらもディズニー傘下のHuluでの配信となったようで。
『ドント・ルック・アップ』のアダム・マッケイもプロデューサーとして関わっていて、彼の会社であるハイパーオブジェクトインダストリーズと、『ゴジラvsコング』で知られるレジェンダリーが制作を担当しています。
そんな大物の名も登場する今作ですが、メガホンを取ったのは今作が長編初挑戦となる、ミミ・ケイヴです。
キャストの方を紹介していきますと、
主演を務めるのは、『アベンジャーズ』シリーズでウィンターソルジャーを演じた、セバスチャン・スタン。
ヒロインは『ノーマル・ピープル』のデイジー・エドガー・ジョーンズが演じております。
その他のキャストは、シャルロット・ルボン、アンドレア・バン、ジョニカ・T・ギブスなどなど。
評価と感想
スルメ的評価
ストーリー | ★★★★☆ 4/5 |
キャスト | ★★★★★ 5/5 |
演出 | ★★★★☆ 4/5 |
映像 | ★★★★☆ 4/5 |
怖さ | ★★☆☆☆ 2/5 |
総合評価 ★7/10
「セバスチャン・スタンが怖すぎるぜ……!」
「ケレン味あふれるホラーコメディ」を想像していたら、かなり直球で、恐ろしいスリラーをかまされましたw
基本的には出会い系アプリ(マッチングアプリともいう)を使っていた女性が、ステキな男性にナンパされ、恋して、騙され、食べられる!って感じ。
要するにカニバリズム系のホラーでして、タイトルの「フレッシュ(新鮮)」も、お肉の状態を表していたりする。
「ナンパしてきた男、実はヤバいヤツ!」って映画は結構あるのですが、今作は『ラストナイト・イン・ソーホー』と同じく、男性優位社会に向けた強烈な風刺をきかせておりまして。
文字どおり「食い物にされる」女性たちを暗に意味していたりするので、現代的というか、今を生きる人々に通用するスリラーだったのかなと。
ストーリーも若干ネタバレしつつ語りたいところがあるので、以下詳細に書いていきます。
※ここから先は『フレッシュ』のネタバレを含みます!まだご覧になっていない方はご注意ください。
※食欲なくす系の映画です
出会い系アプリを使っていた女性・ノアは、男とのつまらない会話に飽き飽きしていました。
そんな時に出会ったのが、イケメン男のスティーブ。彼は出会い系アプリではなく、ナンパされて知り合った男で、刺激的なスティーブにノアは惹かれていきます。
一夜をともにし、スティーブはサプライズ旅行を発表! ワクワクした気持ちでノアはスティーブについていきますが、連れてこられたのは彼の自宅。
そこで睡眠薬を飲まされ、暴行されることを覚悟するノアでしたが、スティーブは「君は食用なんだ」と衝撃的な事実を話します。スティーブは富裕層たちに美しい女性の肉を売っているゲス男で、ノアも商品として売られることに。
さあ、スティーブから無事に逃げることができるのかってところが、大体中盤までのあらすじです。
そんなわけで、今作は『ハンニバル』や邦画だったら『東京喰種』のような、カニバリズム系スリラーとなっています。
当然、人のお肉を食べるシーンも出てくるし、スティーブは典型的なサイコパスなんで、超うまそうに料理しちゃう。ミートボールに生ハムに…エトセトラ。
人の料理にこだわるって点は『東京喰種』の月島を思い起こしますが、スティーブにはそんなカリスマ性もない!
とにかくクズでクズで、どうしようもないサイコパスをセバスチャン・スタンが演じてるというわけ。
「これだけで面白そうな予感がするよね」
映画中盤からは監禁された場所からの脱出を目指す、ありがちなスリラー映画になるのですが、スタンの演技で引っ張られていきます。
特になぜか急に始まるダンスシーンは必見。かっこよく踊ってるはずなのに、自惚れ感がにじみ出ていて気持ち悪く、そこがまたいい!
いろいろ語りたいことはあるけれど、まずは「セバスチャン・スタンの映画」になっていることは間違いないかな。
風刺をきかせたスリラー
まず映画序盤。出会い系アプリを使って男と出会ったノアは、「もっと女性らしい服を着なさい」と唐突なダメだし。
その男はノアと割り勘を強要し、アジア人の店員に対しては人種差別的な発言をすると。見せかけだけは常識人を装っているけれど、中身は前時代的な性格であることが丸わかりです。
当然、そんな男とは縁を切るわけですが、その後もSNSで不快な写真を送られたりと、心ない男たちから被害を受けている描写が挟み込まれます。
スティーブと出会ってようやく男を見直すことができたと思いきや、さらにひどい目に遭っていき、彼は自分を物理的に食べる男だと判明。
ノアは男たちの欲望を満たすために、自分の尊厳だけでなく、身体を捧げることも強制されるのです。ここでの身体は比喩ではなく、文字通りの意味ね。
「こんな映画最近も観たような……」
そう、『ラストナイト・イン・ソーホー』ですね。「男たちの食い物になる女性たち」をホラーテイストで描いていく作風は、共通する部分もあります。
女性を搾取する男たちの気持ち悪さ、胸糞悪さをカニバリズムを通じて表現していく、画期的なスリラーでございました。
そして、マッチングアプリなどが流行り、そこで出会いを探す、現代の恋愛模様の実情を風刺した作品でもあると。
相手をよく知らないまま、すべてを委ねてしまうのはどうなの?ってことを言っているようにも思えたんですね。こちらは男女変わらないと思いますが。
僕は「簡単に出会える」というマッチングアプリに懐疑的な人間なんで、映画の語りたいことは非常に共感出来たり。もちろん、スティーブのようなナンパ男にもご注意を。
ただ、ひとつ疑問というか、「これいらないな~」と思ってしまったのが、エンドロールにも登場していたマーク。
これは悪魔崇拝者であることを示唆しているのかな? 陰謀論だと世の富裕層と悪魔崇拝の関係が語られたりするけれど、それとリンクさせているのかもしれません。
ただでさえメッセージ性が強い作品だったのに、ここで悪魔崇拝を思わせる演出はいらないな。余計な考えが頭をめぐって、むしろ作風に合っていないように思えます。
男キャラ?それって必要?
もうひとつ、今作を観て感動してしまったのが、ノアたちの味方だった男キャラクター・ポールをヒーローにしなかったこと。
スリラー映画だと監禁された女性たちを助けるのが、急にあらわれた男性ってことがあったりします。警官とか、彼氏とか。
今作でもポールが監禁されていたモリ―の位置情報を使って、スティーブの自宅に侵入しようとするという展開があります。
ここで「あ、こいつが助けちゃうのか」と思いきや、まさかの戦略的撤退!
ポール「絶対女たちは死んだ!映画で観たことあるもん!」
と、吹いちゃうような理由をつけて退散!あまりにも突然な逃げ腰っぷりで笑わせていただきましたw
「男だからって勇気あるわけじゃないもんな」
僕だったら絶対逃げ出して警察に通報しますし、まあ理解できる行動かなと。
マッチョな男だって全員が全員勇気があるとは限らないし、無理やりヒーローにする必要もありません。「男による救出を待つ」なんて童話のような物語は、現代のハリウッド映画には合わないでしょう。
『シャイニング』のディックのように家に入った瞬間、スティーブに殺されて退場!って選択肢もあったと思うけど、男の弱さを現実的に描いた面では評価したいところ。
ポールが逃げ出したことによって、「被害者女性たちが協力してゲス男を倒す!」って展開に濁りがなくなりました。やっぱり、ここまで苦しめられたのだから、スティーブの息の根は彼女たちが止めないと。
スリラーやスプラッター映画のキラーって、燃やすとか水に沈めるとか、最期を明確に描かないことが多いんですよ。
こうすることで続編で復活させるわけですが、今作にそのラストは合わない。なんといっても最後まで復讐しなきゃいけないから。
ただ、そこは『フレッシュ』。
キチンとスティーブに言い訳ができないほどのトドメを刺してくれます! この点もかなり印象が良かったかな。
あと、女性なのにスティーブの協力者だったアンに対し、「お前みたいな女がいるからいけないんだ!」とモリ―が怒鳴る展開めちゃくちゃ好きでしたw
最後に
セバスチャン・スタンはヒーローになっても、悪役になってもいい味出してくる俳優ですね~
あらためて彼が好きになりましたし、また違った形で悪役の演技を見たいな~としみじみと思った作品でした!
こんなサイコパス映画をディズニープラスで観られるっていうのがまた……ね?
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