
今回は『ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密』の感想を書いていきます。
「ダンブルドアの秘密とは?」「クリーデンスの正体は?」
とか、いろいろ気になるところはありますが、今作の見どころはなんといってもマッツ版グリンデルバルド!
ジョニーの降板は本当に残念なんだけど、代役にマッツを起用するとは……!
「髪型くらいは似せてくるかな?」と思っていたら、髪色すら違うという(笑)
というわけで、大胆すぎる変更を加えてきたマッツ版グリンデルバルドがどうなっているのか……。早速劇場で鑑賞して参りました!
ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密
あらすじ
法生物を愛するシャイでおっちょこちょいな魔法使いニュートが、恩師のアルバス・ダンブルドアや魔法使いの仲間たち、そして人間(マグル)と寄せ集めのチームを結成し、史上最悪の黒い魔法使いグリンデルバルドに立ち向かう。その中で、ダンブルドアと彼の一族に隠された秘密が明らかになる。
映画.comより抜粋
作品解説
『ハリー・ポッター』より以前の物語を描いた、『ファンタスティックビースト』シリーズ第3作目。
原作はあってないようなもので、どのようなストーリーが展開するのかは誰も知りません。一応魔法界の歴史的には結末があるのですが、誰もが同じスタートラインに立てるシリーズだといえます。
前作までの大事な部分をおさらいしておくと、
- クリーデンスの本名がアウレリウス・ダンブルドア
- ダンブルドアとグリンデルバルドが”血の誓い”を結んでいた
- クイニーがグリンデルバルドの一派へ
というところですかね。特にクリーデンスとダンブルドアの関係が、本作からより重要になるのかなと。
そんな本作の監督を務めているのは、『不死鳥の騎士団』からシリーズに関わってきた、デヴィッド・イェーツ。
脚本は原作者のJ.K.ローリングがひとりで書いていたのですが、今作からは『ハリポタ』シリーズの脚本家スティーヴ・クローヴスもクレジットされています。
キャストはエディ・レッドメイン、キャサリン・ウォーターストン、ダン・フォグラーなどなど、おなじみのメンバーに加え、マッツ・ミケルセンが参戦!
前作までグリンデルバルドを演じていた、ジョニー・デップが降板し、その代役として起用された形です。ただ、ジョニーの真似をするのではなく、完全にマッツなりのグリンデルバルドに仕上げているのがポイント。
実はMCU、スターウォーズ、007、ハリポタと、最強クラスの映画シリーズすべてに出演してるんですよね。マッツさん、恐るべし。
また、前作に引き続き、ジュード・ロウが若き?ダンブルドアを演じております。
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『ダンブルドアの秘密』評価
ストーリー | ★★★☆☆ 3/5 |
キャスト | ★★★★★ 5/5 |
演出 | ★★★☆☆ 3/5 |
映像 | ★★★☆☆ 3/5 |
総合評価 ★ 6/10
「ダンブルドアとグリンデルバルドの描き方は満足」
僕は『ハリポタ』ド直撃世代で、ハリーと一緒に成長してきたといっても過言ではありません。
そんな僕でも、前作あたりから「ファンタビはちょっとなぁ……」と思っていたのが正直なところ。
ニュートのキャラがいまだに掴めないし、そもそも歴史の結末知ってるし……。「これ5作もやる必要ある?」と思ってたんですよね。
で、本作はといいますと微妙なところはあれど、前作よりは格段に良かった!
魔法ワールドに入りこむだけで、その世界をのぞけるだけで幸せですが。
はじめて聞くような設定が超重要な要素として語られたり、ツッコ見どころも満載。そもそも「ニュート影薄くね?」って感じもある。
ただハリポタファンとしては、語りたいところが多くあるんで、ちょっと長々と書かせてくださいってことで、以下ネタバレありありの感想です。
※以下は『ファンタスティックビースト』『ハリーポッター』シリーズのネタバレを含みます
『ダンブルドアの秘密』感想
最初に僕の『ハリー・ポッター』作品とのお付き合いについて。
僕は小1の頃に『賢者の石』が公開され、中学生で完結するという、めっちゃハリポタ世代なんですよ。新作が公開されるたびに、クラスでも話題になっていたし、図書室では原作本がずっと借りられていた記憶が。
僕もミーハーなんで、リアルタイムで観て、原作もしっかり読んでいました。『ハリーポッター』は僕の中でなくてはならない、超重要な作品なんですよ。
その熱は大人になっても冷めることなく、大学生のころはダイアゴン横丁に行きたくて、フロリダまでひとりで弾丸旅行に行くほどで。ポッタリアンとは名乗らないけど、それなりにハリポタに影響を受けた人生を送ってきたわけです。
しかしですね。残念ながら『ファンタビ』に関しては、そこまでの熱がない(笑)
前回が全然面白くなかったってこともありますが、ハリポタほど惹かれないんです。そんな周囲との温度差も感じつつ、今回もしっかり鑑賞してきました。
グリンデルバルド
本作の時代は1930年代。マグルの世界的には、第2次世界大戦前夜といったところかな。
そんな中、グリンデルバルドは魔法使いたちのトップに立とうと、たくらんでいます。どうやらこの世界では神聖な動物・キリンが、次なるリーダーを決めるようで。魔法界のトップを動物が決めるって展開にズッコケそうになりましたが、まぁ動物学者のニュートが主人公だし?
そもそもグリンデルバルドが候補に挙がってしまうのも、おかしいのですが、当時の、おもにドイツの時代背景を踏襲しているのでしょう。
1930年代のドイツは世界恐慌により、失業者が増加していました。その前にも賠償金によるハイパーインフレや、軍備の縮小など、世界各国から押さえつけらえていたんですね。
そんなドイツで誕生したのがヒトラーなんです。この流れはマグル打倒を叫び、力強い言葉をもって民衆を熱狂させたグリンデルバルドともつながっていきます。
ベルリンが一部舞台になったことで、実際の歴史を知っている僕たちは、より不穏な空気を感じられたわけです。
「リアルで恐ろしい悪役になったよね」
純血主義であることはヴォルデモートと同じですが、信念はグリンデルバルドの方が強い気がします。前作でも第2次大戦の描写がありましたし、マグルを支配することで、自分なりの平和を実現しようとしているのでしょう。
ただ、魔法界の人々は、結果的にはグリンデルバルドを選びませんでした。動物に自分たちの指導者の選別をゆだねるのは、本当にどうかと思うけど。
個人的には『インフィニティ・ウォー』並みのバッドエンドで終わらせ、次回作につなげてもよかった気がしますが、これはこれで納得できるラストでした。
グリンデルバルド関係でもうひとつ。
今回一番の注目ポイントだった、マッツ・ミケルセン版グリンデルバルドですが、はっきり大成功だったとわかりました。ジョニー・デップ版も好きですが、僕の中にあったグリンデルバルドのイメージはマッツ版が近いです。
悪だとわかるのに、マグルにとっては完全に敵なのに、なぜあれほど魅力あるんだ……!
ジョニーの降板に不満を言う人はいても、マッツの起用に関して不満がある人はいないんじゃないだろうか。
それくらい違和感がなく、大幅にアップデートされ、美しい。マッツ・ミケルセンという俳優の魅力を再確認できた作品でした!
ダンブルドアの秘密ってなんぞや
サブタイトルにもなっている「ダンブルドアの秘密」ってなんだろう?
鑑賞前には「ダンブルドアとグリンデルバルドの秘められた関係を描くのか?」と思っていました。
ダンブルドアが同性愛者であることは、以前から作者本人が語っています。多くのファンが知っていることですし、グリンデルバルドの登場する『ファンタビ』を作ったということは、つまりダンブルドアとの恋愛(それに近い)関係が描かれることでもあるわけで。
そんなわけで、ダンブルドアがグリンデルバルドに抱いていた感情こそが“秘密”なのかなと、鑑賞前は考えていました。
しかし、映画を観てみると、序盤から「グリンデルバルドに恋をしていた」とオープン。現代の映画らしいともいえますし、前作で「ふたりの恋愛描写がない!」との意見を反映させた結果とも見えます。
個人的にはふたりの関係性が単なる友情ではなく、いろいろな感情が入り混じった、もはや因縁に近いものだと序盤から提示したことが、本作と前作の決定的な違いだったと思う。序盤にお茶会のシーンを入れ、最後に決闘を持ってくる構成は見事でした。
熱心なハリポタファン以外にも、ふたりが戦うことの意味が理解できるでしょうし、このやるせなさは歴史的に確実起きる1945年の決闘に繋がります。次回作では、ふたりの関係をさらに深く描いてほしいところ。
「次回作が楽しみになってきたね」
ここで注目したいのが、ダンブルドアとグリンデルバルドの会話シーン。
最初のお茶会、そして終盤の決闘シーンは精神世界のような描写がされ、誰も踏み込ませていません。誰の邪魔も入らず、ふたりだけの世界で行われました。
そして、決闘シーンにてお互いの胸ぐらをつかみ、お互いの鼓動を感じる、シリーズ屈指の名シーンがあります。このふたつの要素が、「ダンブルドアの秘密」に繋がってくるのかなと、僕は思っていて。
僕の解釈ですが、おそらくダンブルドアは現在進行形でグリンデルバルドに惹かれているんですよね。
もはや“恋”とは呼べないかもしれませんし、ふたりは今後も戦う運命にあります。けれどもダンブルドアの、いや、お互いが捨てきれない気持ちが「鼓動を感じるシーン」に込められてるのでしょう。
つまり、「恋をしていた」ではなく、「今もなお……」という部分がダンブルドアが抱えている秘密のひとつなのかなと。当然、グリンデルバルドもダンブルドアには、言葉では表せない感情を抱ているわけで。
それを踏まえると、グリンデルバルドが最後に放った「君を愛する者はいなくなるぞ」「私は敵ではない。今も」というセリフが、とんでもなく切ないものに聞こえてきます。
さらにいえば、『死の秘宝PART2』の回想シーンでダンブルドアがスネイプに言った「これほどの時が経ってもか」のセリフも、めちゃくちゃ深いものに見えてくるのよね。この映画を踏まえて、もう1度『ハリーポッター』を観れば、ダンブルドアのセリフに説得力が増す気がする。
ダンブルドアの秘密に関しては、ほかにもクリーデンスの出生、アリアナの死などが明かされました。どれもアルバス個人というよりは、「ダンブルドア家の秘密」って内容なんですけどね。やっぱりグリンデルバルドとの関係性がこの映画でやりたかった1番のことなんでしょう。
残念だったところ
以上のように、ダンブルドアとグリンデルバルドについての描写・ストーリーは、本当に素晴らしいものでした。
マッツもカッコよかったし、ダンブルドアの“姿くらまし”を多用した決闘もカッコいいし……。
……ニュート影薄くね?
最初から思っていたのですが、ニュートってイマイチつかめないキャラクターですよね。
闇の魔法使いでもないし、教師でもない。闇祓いでもないし、特別強くもない。魔法動物を使役できる点が強みなんですが、正直それで5作やるほど面白い能力でもないし……。本作でもマンティコアとのシーンは長すぎると思ったしね。ジェイコブの方がキャラ立ってて、面白いと思っているのは僕だけ?
「マグルの方が面白いとか想像もできなかったよ」
ニュートに関しては、「エディ・レッドメインが演じてる」というのが一番の見どころです。キャストは素晴らしいけど、何回観てもニュート自身は微妙だというのが正直なところ。
そして、全体を通して観ると、そこまで面白いストーリーじゃなかったなと。ニュートとテセウス、ダンブルドアとグリンデルバルド、ジェイコブとクイニーなど、個々のストーリーは完成度高いのに、1本の映画となると微妙。
特に終盤のブータンのシーンは、言いたいことが山ほどありますね。グリンデルバルドは未来が見えるようで、綿密に練った作戦も先回りされてしまいます。そこでダンブルドアが考えたのは、誰も全容を知らない作戦を立てることでした。
どっかの漫画で観たような設定ですが、グリンデルバルドに対抗する手段なのは理解できる。
ただ、誰も知らない、観客すらも知らない作戦を観て面白いか?
彼らの世界ではそれが正解なのかもしれない。ただ、映画として観たときには面白くないんですよね。リーダーの視点なら作戦の全容も見えてくるのですが、何も知らされない側の視点で描かれるんで、観客も置いていかれる……。
あと、ホグワーツ登場シーンで「ヘドウィグのテーマ」を流すのは、もういいでしょ(笑) たしかにアガるけど、それ前もやったから!
最後に声を大にして言いたいのは、
ティナをなぜ出さないんだ!
実際には最後に登場しましたが、本編には一切関わらない。演じたキャサリン・ウォーターストンが「マッツと共演してないよ」と語っていたけど、ここまで蚊帳の外とは誰が思うでしょうか。
ティナはただのヒロインじゃない。闇祓いだし、メインキャラクターの中でも実力派だし、出さない理由がないじゃない。
他にもいろいろ言いたいことはありますし、完璧な映画じゃないんですが、とりあえず安心できるファンタビでした(笑)
ただ今はファンタビ4作目よりも、『ホグワーツレガシー』の方が楽しみです。
最後に
ジョニー・デップに続いて、エズラ・ミラーも降板する雰囲気出てますが大丈夫でしょうか?
もうこれ以上キャスト変更はやめてほしい。エズラ・ミラーは『フラッシュ』もあるし、ワーナーにとっても重要人物でしょうに。
あと、ハリポタ関係でいえば『呪いの子』の映画化の噂かな。『ファンタビ』完結まではなさそうだけど、そろそろハリーたちも見たいよ。
以上。
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