Netflix映画『アースクエイクバード』ネタバレ感想 列島ともに彼女の心も揺れ動く

 

どーも、スルメ(@movie_surume)です。

 

この『アースクエイクバード』という映画に『ロストイントランスレーション』らしさを感じるのは私だけでしょうか?

テイストはかなり違うのでしょうが、同じ東京を舞台にした映画と言う点において比べられることもあるはず。

私自身生まれてからほとんどの時間を東京で過ごしていますし、知っている場所が外国映画に登場するのはかなり嬉しいものです。

日本人の役者も出演していますしね。これは観るしかないでしょう!

 

※この記事は後半にネタバレを含みます!

アースクエイクバード

あらすじ

1980年代の東京で、日本人写真家と恋に落ちた外国人女性。だが、やがて彼女は三角関係に心乱され、行方不明だった友人殺しの容疑までかけられる。

Netflix

評価

僭越ながら『アースクエイクバード』の満足度を★10段階で表すと・・・・・・

 

★6

 

列島と共に彼女の世界も揺らぐ

タイトルの「アースクエイク」は英語で地震という意味です。クエイクが揺れるだから、そのまま「地球が揺れる」ってことですね。日本語の地震よりも規模が大きく聞こえるのは気のせいでしょうか。日本は世界中で起きる地震の約20%が起きている場所ですから、海外の方からすると日本=地震となるのかもしれません。

そんな地震大国ニッポンに住んでいる外国人女性の視点で物語が展開していきます。ほとんどのシーンが彼女の回想なのです。主人公のルーシーは5年ほど日本に住んでおり、日本人の彼氏もいる。観光客ではなく日本の地に足を付けているキャラクターはかなり珍しいです。

 

主人公ルーシーを演じているのは『トゥームレイダー』新シリーズでララ・クロフトを演じたアリシア・ヴィキャンデルです。日本人と会話する場面ではしっかりと日本語を話しています。近年観た映画の中じゃ一番日本語の発音頑張っているように聴こえました。

『ラストサムライ』のトム・クルーズが発した「撃て!」とか字幕なければ聞き取れなかったですからね。まぁ、5年も日本に暮らしているという設定ですので、ある程度日本語上手じゃないと成立しないのですが。

ルーシーの友人であり、三角関係の一環を担うイギリス人リリーは『アンダー・ザ・シルバーレイク』のライリー・キーオが演じています。この作品自体が若干の『アンダー・ザ・シルバーレイク』感があるので、起用されているのも納得。彼女はまだ日本に来て時間が経っていない設定だから日本語は喋れません。

そしてルーシーの彼氏役の小林直己が役にピッタリはまるという。観る前までは俳優というイメージがほとんどなかったんですが、改めて見ると非常に日本人的な顔立ちと言いますか。恐らく海外の方が思う日本人像なんじゃないかと。英語も比較的聴き取りやすかったですし。

 

また日本が舞台ということもやっぱり嬉しくて。しかも1989年という時代設定のおかげで今ほどハイテク技術にに溢れたTOKYOじゃないんですね。私自身が90年代生まれだから、当時の雰囲気とか味わっていないのだけども、どこか懐かしさを感じるんだよな~。

ルーシーの彼氏がカメラマンなのですが、この時代ってデジタルじゃないから暗室で現像するんですよ。私が通っていた高校では部室棟に暗室がありまして、写真部が活動してなかったからそこを部室に使っていたんですね。だから今でもあの赤い部屋を見ると少し懐かしい気持ちになるというw

地下鉄や街並みなんかも東京を知っている人にとっては、ロケ地を観ているだけでも楽しい映画になるような気がします。ただエロティックなシーンがあるんで、観る際は周りの人に注意!

 

ここから先は『アースクエイクバード』のネタバレを含みます!

感想(ネタバレ)

外国人視点からの日本

本作は非常に邦画らしいと言いますか、デタラメ日本語だらけのハリウッド映画とは一線を画した作品であることは間違いありません。それこそポンっと日本にやってきたスタッフ達ではなく、しっかりと日本に足を付けている人たちが撮影しているんだということが、すぐに分かります。

ただ、主人公が外国人であることで日本社会を客観的に映しているような印象を感じるんですね。取り調べしているルーシーに対して刑事が「やっぱり日本人女性とは違うな!」と言わせてしまう辺り、閉鎖的な社会であると。

観た方は分かると思うんですが、ロケーションの方も東京の街並みから佐渡島まで新旧の日本らしさが味わえるものですし、海外の人が求める日本もしっかり盛り込まれています。そばを音を立ててすする禎司を訝しげに眺めるという描写も海外作品ならではじゃないかと思います。

 

特に面白かったのがですね、日本に慣れているルーシーが不慣れなリリーに日本の生活を指南するという場面。こんな設定これまでの作品に無かったじゃないですか。禎司がルーシーに指南するなら分かるのだけど。

途中に喫茶店でコーヒーを注文するというシーンがあるんですけど、そこでルーシーがリリーに日本語を教えて拙い日本語で「コーヒーをひとつください」と注文するわけですよ。それが通じた時に「本当に通じたわ!」とリリーが喜ぶんですね。

これ海外旅行しているとかなり良くある場面でして、現地の言葉で何となく日本語アクセントで言っても通じるという。確かにに始めて自分の拙い外国が現地の人に通じた時は「ワオ!本当に通じちゃったよ!」と嬉しくなるんです。そうするともっと言語を習得したくなります。

たぶん日本人が英語ニガテなのもこういう経験をしていなかったりするのではないかと。ジャパニーズ英語でも現地の人は大体聴きとってくれますしね。

ルーシーと死

この映画の根本的な部分は他人の死に対しての責任を感じているルーシーの救済です。彼女の周りには子供時代から死が付きまとっており、それが日本に移住してきた原因でもあります。彼女が引き起こしたと考えている死は以下の通り。

・子供時代に木の上から飛び降り、着地点にいた少年が転倒。倒れた先にあった釘が頭に突き刺さり死亡する

・14歳の時に肉体関係を持った友人の父親が自殺。原因となった妊娠自体が彼女の勘違いだった。

・習い事?をしている家で山本さんが階段から落ちて死亡。目の前にいたルーシーは責任を感じる。

・家に入りたいと言ってきたリリーを拒絶。

などなど。彼女の些細な行動が思いもしなかった死を招いているといった感じで、日本に来ても死が付きまといます。

しかし、ラストには山本さんの死の原因が前日に塗ったワックスだと告白されます。毎日足袋を履いてくる山本さんに女将が言い忘れていたのです。「あの時こうしていれば・・・」とタラレバで物事を考えていたルーシーにとって彼女の言葉は救いだったのだと思います。

死に対しての責任を抱き続け故郷を抜け出し、文化も言葉もまるで異なる日本に移住してきたルーシー。数々の困難が襲いながらも、この極東の国で答えを見つけられたのではないかな。何故彼女が移住先に日本を選んだのか、日本に対して何を求めていたのかを考えつつ、鑑賞するとより楽しめるかもしれません。

まとめ

同じ日本が舞台の映画でしたら『ロストイントランスレーション』の方が好きではありますし、イマイチ理解できていない部分もありますね。

とくに地震鳥って何だったのかと。時々妄想を観ているような描写が挿入されていましたが、あれも回収されていませんでしたし。

まぁ日本人ならハリウッド女優が日本語を話しているというだけで嬉しくなるものです。

以上!!!

 

・おすすめ記事

⇒⇒Netflix映画『マリッジ・ストーリー』ネタバレ感想 二人のコンビネーションがハンパない!

⇒⇒映画『ブライトバーン 恐怖の拡散者』ネタバレ感想 もしスーパーマンが悪人だったら

⇒⇒