映画『ドント・ブリーズ2』感想 アンチヒーローになった老人はもう怖くない

 

盲目のムキムキ老人が暗闇の中から襲ってくる……

 

そう考えただけでも震えが止まらねぇ。

前作はその設定だけでも十分ヤバいのに、老人自体もかなりイかれているって設定で、余計怖いというね。

その後も『クワイエット・プレイス』とか『バードボックス』とか、似たような映画が出てきましたが、インパクトって面ではは『ドント・ブリーズ』が一番だったと今でも思う。

やっぱりモンスターやお化けよりも、人間の怖さが一番怖いよねって話なんですが。

 

ということで今回は『ドント・ブリーズ2』の感想を書いていきます!

老人役はスティーヴン・ラングが続投し、他のキャストは一新された感じかな。

前作ほどホラーが強調されていないうえに、どことなく『ジョン・ウィック』を感じる作品となっていました!

 

※この記事は映画の一部ネタバレを含んでいます。

ドント・ブリーズ2

あらすじ

前作の出来事から数年後。老人(スティーヴン・ラング)は、火事を生き延びた少女フェニックスを勝手に引き取り育てていた。

ある日、フェニックスを狙う謎の集団が老人の家に押しかけてくる。

飼い犬を殺され激昂する老人は、フェニックスを助けるため集団にたったひとりで立ち向かっていく。

しかし、今回の敵は「素人」ではなかった。そしてフェニックスを狙う理由も明らかとなり、老人はこれまでにない死闘を繰り広げることになる。

評価

今作の満足度を★10段階であらわすと……

 

★4

 

最強の老人が観たかったのに

たったひとりで、プロ数人相手に挑んでいくのですから、十分最強といえるのですが……

かなりボコボコにされるし、序盤から苦戦しているしで、老人のイメージが崩壊していくっていうねw

今作の老人はヴィラン(悪役)ではありません。

娘を守るために戦う、アンチヒーローともいうべきキャラクターとして描かれていました。

なので、「暗闇から突如現れる老人」っていう今作お決まりのホラー演出もまったく怖くない。

同じような演出でも、今作の場合は「暗闇から姿を現すバットマン」といった感じで、観客が喜んじゃうんですよね。

 

アンチヒーローの映画になるなら、それで良いのですが、ホラー演出も使ってくるから中途半端に見えてしまう。

このストーリーでいくならば、ホラーからも脱却すべきでは?

盲目ならではの戦い方や、終盤のアクション、板挟みになっていくフェニックスのドラマも楽しめましたが、前作の感じを期待していくと肩透かしをくらうかも。

 

ここから先は映画の一部ネタバレを含みます

まだご覧になっていない方はご注意ください!

感想

最強の老人、アンチヒーローになる

前作は目の見えない老人の家に、舐めた若者たちが押し入り、逆にボコボコに(殺害)されるというホラー映画でした。

老人は目が見えないんで、家中の電気を消されたら若者たちはもう何もできません。ただ息を止めることしかできず、逃がしてももらえず、殺されていきます。

だから、老人がめっちゃ怖いんすよね。映画館にいる観客も息を止めたくなるくらい、老人の迫力が凄すぎて。

演出もそうですが、スティーヴン・ラング演じる老人からあふれ出る絶望感。

「コイツに捕まったら絶対逃がしてもらえない」っていう感じで、劇場を恐怖で支配していく感覚があったんですよね。

 

ただ、今作は打って変わって、老人が娘を守るために戦うアンチヒーローに。

たしかに前作の時点でも、強盗目的で押し入った若者の方が悪いし、老人の裏の顔を知らない世間からしてみれば、間違いなくヒーローだったと思うんですよ。

しかしながら、前作を見た観客は老人の正体を知っています。あいつがどんなに努力してもヒーローになることはないってことも。

火事で生き残ったフェニックスを拾っても、娘に対して愛情を注いでいても、やっぱり歪んだものに見えちゃうんですよね。

 

人は平気で殺害するのに、犬を殺すことをためらったりとか、フェニックスの真実を話されたくなくて飛びだしてしまうとか、なんだかよく分からない描写も疑問が湧きます。

結果的には犬を使って敵のアジトを突き止めたわけですが、そんなやさしい奴だったっけ?

この8年で幾分か丸くなったということかな。

フェニックスの本当の両親がガチクズだったことで、老人の悪さが霞んでいるような気もしますが、どちらにせよ老人も罰を受けるに値する人だよね。

怖くない映画になっちゃった

老人が主役になったことで、ストーリー的にも感情移入できないものになっていますが、さらに残念だったのがホラーの部分。

今作は怖くありません

強がっているとか、そういうことではなく、「怖い」映画じゃないんですよね。

ホラー映画の面影があるのは、単純に「びっくりするだけのシーン」があるってことくらい。

空気が張り詰めるような怖さとか、狙われた時のドキドキ感とかは皆無。ただ、老人が頑張ってる映画です。

 

序盤で老人が苦戦してた時点で、老人に対する恐怖感はかなり薄れました。

だって映画の最初で殺人鬼がボコボコにされてるとか、お化けが除霊されかけてるってホラー映画ないじゃないですか?

最初に「あ、この人も人間なんだ」と思ってしまうと、ホラー映画として観ることが難しくなるよね。

 

ホラー演出も同じです。

たとえば、背後から老人が突然飛び出してくるって場面。

たしかに音がデカくなればびっくりはしますが、前作のような絶望感はありません。

この演出ですら一撃必殺!ってこともなく、最初から反撃されていますw

今作の場合は敵もその道のプロだし、銃器にも慣れている。それなりに「いい勝負」をするんで、ホラーには思えないですね。

新手の『ジョン・ウィック』としてみれば…

盗みに入った家が元殺し屋の家だったりとか、舐めてた相手が存在を消された元工作員だったとか、そんな映画が最近多いですね。

『ジョン・ウィック』しかり、『ミスター・ノーバディ』しかり・・・

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今作の場合は「娘を取り戻すために押し入った家に、最強の老人がいた」映画といえます。

前作と同じようなストーリーともいえるんだけど、加害者目線か被害者目線かによって、ホラーになるかアクションになるかが異なるんですよ。

『ジョン・ウィック』だって、被害者視点から観るとホラーっぽくなるわけで。逆に『13日の金曜日』がジェイソン視点になると……やっぱりホラー映画かなw

とはいっても、今作には圧倒的にアクションが足りない。

やっぱり前作のような老人をヴィランにしたホラーにするか、アンチヒーローにするならもっとアクションに力を入れるか、間を取らない方が面白かったでしょう。

敵も数人しかおらず、後半に進むにつれて弱くなるという残念な配分。

 

好きなシーンでいえば、

水たまりの中で倒れている老人が、水の中に入ってきた3人の足音と水の波紋だけで銃殺していくという、今作でもっとも印象的なシーン。

まさに静と動。老人らしい戦い方だったと思うし、前作における絶望感を少し思い出したシーンでした!

あとは映画でよく出てくる農業道具を使っての、フェニックスと老人のアクションかな。

映画に出てくるこういうの↑って、人の顔面を殴る以外の使われ方してるの見たことないよw

さいごに

グロさもほどほどに残っているんで、一応ホラーではあるのかなぁ

でも前作の続編を見るような気持ちで、映画館に向かうとちょっと残念に感じるかも。

 

ラストに若干続編がありそうなシーンがあったわけですが、続編が作られるかは今のところ不明。

続編があったとしても、これ以上やることあんの?って感じですがw

ホラーやって、アクションやって、次はコメディ? 不謹慎な感じするし、もっとレベルダウンする気がする。

 

以上!!!


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