映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』ネタバレ感想 三人のヒロインに目を奪われる

 

どーも、スルメ(@movie_surume)です。

 

『人間失格』は中学校の頃に読みまして、なんだかよく分からない難解な話だった気が…。

当時は『リアル鬼ごっこ』で有名な山田悠介の本が流行してたんで、課題図書として出された『人間失格』は当時としては全然面白くなかったw

それから10年経過しても未だにちゃんと読めてない『人間失格』。まだ家の本棚を探せば何処かに眠っているのかもしれないけど、もう読む気は起きねぇ…。

名作なのは知ってるし、知識としてしっかり読んでおきたい気持ちはあるんだけどね。本読むと眠くなるのよ。

昔は本好き少年だったのに高校の頃からその情熱が映画にシフトしたんで。

 

ってなワケで、今回は原作をあまり覚えていない『人間失格 太宰治と3人の女たち』のレビューです!

どうやら『人間失格』をそのまま実写化するのではなく、一種の伝記映画のような仕上がりになっているみたい。

これなら原作をそこまで知らなくても大丈夫かな?

人間失格 太宰治と3人の女たち

あらすじ

1964年、人気作家として活躍していた太宰治は、身重の妻・美知子と2人の子どもがいながら、自分の支持者である静子と関係を持ち、彼女がつけていた日記をもとに「斜陽」を生み出す。「斜陽」はベストセラーとなり社会現象を巻き起こすが、文壇からは内容を批判され、太宰は“本当の傑作”を追求することに。そんなある日、未帰還の夫を待つ身の美容師・富栄と知り合った太宰は、彼女との関係にも溺れていく。身体は結核に蝕まれ、酒と女に溺れる自堕落な生活を続ける太宰を、妻の美知子は忍耐強く支え、やがて彼女の言葉が太宰を「人間失格」執筆へと駆り立てていく。

映画.com

監督

メガホンを取るのは『ヘルタースケルター』の蜷川実花監督。

前作は『DINNER ダイナー』か。監督の色が強すぎて何とも言えませんでしたが…。

「赤」に対するこだわりがあるのか、事あるごとに「赤」を使ってくるんですよね。フォトグラファー出身の監督なんで映像には凝ってるようですが、合う合わないは強いと思います。

キャスト

主演は前作にもチョイ役で出演していた小栗旬さん。

『信長協奏曲』で信長(別人だけど)やって『西郷どん』で龍馬やって今回は太宰治。本物はこんなにカッコいいイメージないですけどねw

どんな偉人を演じても妙な説得力があると言いますか、納得できてしまうような気がする。

 

そして彼を取り巻く3人の女性には宮沢りえさん、沢尻エリカさん、二階堂ふみさんが演じます。

3人ともいわゆる”演技派”と言われる女優さんですし、今作はR指定ですからね。

その他に藤原竜也さん、高良健吾さん、千葉雄大さん、成田凌さん、壇蜜さんなどが出演しています。

評価

僭越ながら『人間失格 太宰治と3人の女たち』の満足度を★10段階で表すと…

 

★4

 

思ったより蜷川色が薄いなコレ。

蜷川監督の色が前面に出過ぎていた『DINNER ダイナー』とは対照的に、監督の色は抑えめな作品でした!

それはやっぱり”太宰治”という作家を描くにあたって、さすがに色を出し過ぎるのも…と自重したのか、万人にウケそうな伝記ドラマを作りたかったのか。

不安要素でもあった蜷川監督の味が薄れたことで抜群の安定感を放っている作品になっていましたね。

 

その安定感はやっぱり選りすぐりのキャストが作り出しているモノといっても良いでしょう!

太宰を演じた小栗旬さんを始めとする演技力に定評のある方々が大胆に演じるのですから、演技面での心配はないと言い切れる。

特に太宰に関わる三人の女性たちは太宰以上に作品の顔でして、これはる蜷川監督だからこそ撮れた絵もいっぱいあったんじゃないかと。

 

とは言ってもそこは蜷川作品なんで、ときどきそれが顔を出すのが何とも…。

私が彼女の作風に対してニガテ意識を持っているだけなんだけど、過剰な演出が逆に場の空気をシラケさせてる気がするんだよな。

 

ここから先は『人間失格 太宰治と3人の女たち』のネタバレを含みます!!

まだご覧になっていない方はご注意を!!

感想(ネタバレ)

人間失格

そもそも私この超有名小説のストーリーがどんなものか知らない!というか一度読んだけど中身をまったく覚えてない!

読んだときは「え!?これのどこに有名になる要素が?」と完全にナメた感想を持ったのは記憶にある。ただ中間テストの課題図書ってだけで読んだからね。

有名な最初の一文はさすがに知ってたけど、どうせなら映画化された『人間失格』の方を観てから臨めばよかったと軽く後悔している最中でありますw

 

でも『人間失格』をまったく知らなくても全然楽しめる映画だと思うんですよね。中身は歴史モノというよりも、ドロドロの現代恋愛劇って感じですから。

とにかく始終”太宰治”という人間の矛盾というか、クズさを描いていまして「人間失格」へと繋がる伏線をいくつも残していくと。

だから太宰を良く知らない無知な俺からしたら「なんだこのクズは…」という感想が沸き立つだけでして、ストーリーだけで言うとテレビの再現ドラマで十分じゃね?って言うのが正直なところ。共感とかは抜きにして、ただ一人の偉人の功績を眺めるに至るだけ。

しかし、そこに蜷川監督の演出と役者たちの演技が加わることで、最後まで飽きずに楽しめる映画にはなっていたと思います。

 

ただ、結局太宰ってどんな人間なのかって言うのが分からずじまい。詳しく知っている人ならピンとくる場面があったのかもしれんけど、俺は一般常識レベルしか知らんからなぁ。

作品のためなら何でもすると言っておきながら、しがらみが多い気がしますよ。なぜ心中しなければならなかったのかという根本的にな部分が抜けているとも思いますし。

それを知るためにも富栄との仲をもう少し踏み込んだ形で描いてほしかった。最後に彼女の言葉にうなずいた理由まで考えさせるのは無理がある。

太宰を全く知らない人だったら最後まで結核で死ぬんだと考えちゃいますね。アレなら。

ヒロインたち

本作には太宰以上に人間味があり、作品の顔とも言うべき三人のヒロインが登場します。

 

浮気をされながらも献身的に家庭を支えた妻の美知子。

太宰を愛することで自らの救いを求めた静子。

太宰に依存し、最期を共にする富栄。

 

それぞれが太宰を愛し愛され、振り回されながらも作品に影響を与えていく様が描かれていくんですが、彼女たちを演じる女優たちがそれはもう凄くて!

美知子を演じた宮沢りえさんは繊細ながらも気丈な振る舞いを見せ、沢尻エリカさんは淑やかさの裏に強かさを秘めた演技を。二階堂ふみさんは狂気にも見えるほど、太宰への執着心を爆発させていました。

皆さん違ったキャラクターだし、性格も全然違うのでしょうが根底にあるのは太宰への愛情。違うアプローチから描いていても、そこは絶対に変わらない。太宰に対する愛情表現も3人とも違くて、そこはかなり面白かった!

 

特に二階堂ふみさんは、こういう役演じたら右に出る者いないんじゃないかってくらいの演技でしたね。感情をコロコロ変えてきてゾッとするほど。執着心の強い女性は本当に怖い。

ラストの方に成田凌さん演じる編集者?の方と言い合いになるシーンがあるんですけど、そのシーンは二人の演技がピークに来てて鳥肌が立ちました。完全に主役食ってるんじゃね?ってくらいに。

成田凌さん、最近俺の中でキテるんですよね。『スマホを落としただけなのに』で演じた役がハマり過ぎてて…。

この映画だと何で編集者である彼があんなにキレているのか理解できませんが、成田さんが演じているならもっと見たかった気もするのです。

まとめ

得意なジャンルではなかったんで短めにしか書けませんでした。

太宰のことを知っていれば、もっと書きようもあったのでしょうけど、何分不勉強なもので…。

しっかり内容覚えてるのって「走れメロス」くらいか?なぜあの時代にギリシャ神話みたいな登場人物を出してきたんだろうと、今でもたまに考えます。

 

映画では一切出てきませんでしたが、太宰治最後の作品は『グッド・バイ』なんですよね。

自殺するつもりだったから気の利いた『グッド・バイ』ってタイトルにしたんじゃないかって高校の頃の先生が言ってましたw

太宰大好きそうな先生でしたから、全然関係ない授業なのに太宰の名前が良く出てきたものです。だからその話が未だに印象に残ってまして。

タイトルへの忖度もあるんだろうけど最後の作品が『人間失格』だというように描くのはどうなんだろう。

まぁ「実話を基にしたフィクション」だからいいのか。

以上!!!


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