『CUBE キューブ 一度入ったら最後』ネタバレあり感想 親切さが仇になったダメなリメイク

オリジナル版の『CUBE』を観たのは、たぶん高校1年生のころ。

当時から映画は好きでしたが、いわゆる「ソリッド・シチュエーション」の映画を観た経験はほとんどありませんでした。

そこに高1というすべてが新鮮に感じる年齢が重なり、『CUBE』のストーリーや世界観を今以上に楽しんだことを覚えております。

しかし、歳を取れば当然、趣味趣向が変わる。
嫌いだったピーマンは食べられるようになり、好きではなかった小津映画に哀愁を見出せるようになった。

そして、『CUBE』は他のソリッドシチュエーション映画の中に埋もれていき、ストーリーも忘れかけていましたが……

 

なんと!菅田将暉くん主演での日本版リメイク!

その名も『CUBE 一度入ったら、最後』!!

……なんじゃそのB級ホラー映画みたいなサブタイトルは。

『スレンダーマン』と同じく、『IT それが見えたら、終わり』から影響を受けているんでしょうが、日本の映画でそれやるなよ…。

とはいえ、映画で大事なのは中身。もちろん、オリジナル版を復習して、公開日初回に観に行きました!

CUBE 一度入ったら、最後

あらすじ

突然、謎の立方体=CUBEに閉じ込められた男女6人。エンジニア、団体職員、フリーター、中学生、整備士、会社役員と、年代も職業もバラバラな彼らには何の接点もつながりもない。理由もわからないまま、ひたすら脱出を試みる彼らに、熱感知式レーザー、ワイヤースライサー、火炎噴射といった殺人的なトラップが次々と襲う。脱出するためには仕掛けられた暗号を解読しなくてはならないという極限状態の中、それぞれの人間の本性が徐々にあらわになっていく。

映画.com

キャスト

主演は近年多くの映画で主演を務めている菅田将暉

今年は『キネマの神様』から『花束みたいな恋をした』などなど、個人的も好きだった映画で主演を務めておりました。

【関連記事】映画『キネマの神様』感想 映画館にもフィルムの中にも神様はいる

 

わきを固めるのは、斎藤工や杏、岡田将生に吉田鋼太郎といったベテランぞろい。

オリジナル版は見るからに低予算映画だったので、私の知っている俳優さんは出演していなかったのですが、今作はみんな知ってるぞと。

そんな豪華キャストがキューブに閉じこめられるなんて、良い時代になったものです。

評価

僭越ながら今作の満足度を★10段階であらわすと・・・

 

★3

 

リメイクというより、設定を拝借した“邦画”である

日本映画らしいリメイク作品でした!もちろん悪い意味で!!

良かった点は岡田将生さんの演じたキャラとセットと…そのくらい。

あとはストーリーは完全に劣化しているし、『CUBE』が評価されたポイントをことごとく潰しているような気さえする。

ただ日本人がキューブに閉じこめられたら、意外と助け合っちゃったりするのかなぁ。

思いのほか、みんな大人しかったのは日本人の性格を反映したからかもしれない。それが面白さに繋がってはいないのだけれど。

 

以下、作品のネタバレを含んでいます

映画を鑑賞していない方はご注意ください

ネタバレ感想

良かったポイント

基本的にはマイナス面ばかり語ることになりますが、最初に良かった部分を。

まず、「キューブ」のセットが映し出される序盤。

原作に忠実でありながら、そこに柄本時生さんという若干不釣り合いな感じすら覚える、キャラクターを登場させる。

この掴みの部分は大好きで、まさしく「日本版キューブ」を象徴するようなシーンだったんじゃないかと。このまま柄本さんも登場させてくれれば、幾分か面白くなったような気もするんですが、残念ながらここで退場。

 

あとは岡田将生さんが演じた、越智というキャラクター。

オリジナル版でいうところの警官ポジションですが、若者ならではの社会に対する恨みつらみを反映させ、「現代社会が生んだ怪物」といえる役割を与えられていました。

「怪物」とはいっても、若者に該当するであろう私からすると、少なからず共感できるキャラクターでありまして。

彼は若手を見下し、たいして偉くもないくせに年齢だけで偉そうにする”大人”が大嫌い。そして自分の境遇をそんな大人のせいにし、生きる希望も見いだせなくなっていると。

私は小1から中3までどっぷり「ゆとり世代」です。
けれども、大人たちから「ゆとり」と揶揄されるのは、非常に複雑な感情を抱きます。

選挙権も選択肢もない小1からゆとりなもんで、「悪いのは俺らじゃなくて、ゆとりを作った大人じゃね?」ということは高校生くらいから思っていたんですよね。だから、大人を憎む越智というキャラクターには、親近感を抱いたりします。

 

そして、一見さわやかそうな岡田将生くんが変貌していく様子は、オリジナル版以上に衝撃でした。

原作だと正義感強めの警察官が暴走していくって感じなんですが、最初から暴力的な性格が垣間見えていたので、そこまでの衝撃はなかったんですね。

しかし、今作の越智は違います。最初は臆病でちょっとのろまで、大して役にも立たない男だけど、人当たりのよさそうなヤツです。岡田将生くんのイメージもあって、完璧に油断していました。

やっぱりこの映画は老若男女がひとつの空間に閉じこめられる映画ですから、原作にはなかった、世代間の対立を煽っていくのは良い選択肢だったんじゃないかと。

部屋から出るんじゃないよ!

なんの理由も分からず、気がついたらキューブの中に閉じこめられていた6人の男女。立方体の部屋にはそれぞれの面に扉があるが、その扉の先にも同じ立方体の部屋があるだけ。

しかも、ランダムで「トラップがある部屋」と「安全な部屋」があり、トラップに引っかかるとほぼ死ぬ。当然ながらトラップ部屋と安全な部屋との区別はつかず、なんとかヒントを探りながら進んでいくしかない。

そんな極限状態の中、閉じこめられた6人は次第に人間の本性をあらわしていく……

 

というのが、大体のストーリー。これはオリジナル版もリメイク版も変わりません。

やっぱり極限状態になると、人間というのは変わっていくもの。正義感の強かった人が生きるため他人を蹴落とすようになり、社会に不満を抱いていた人はその怒りを他者にぶつけてしまう。

つまり、「キューブ」という密室において人間の本性をあぶりだす、恐怖とドラマとミステリーが入り混じったような作品です。

オリジナル版ではあまり多くを語らず、キャラクターたちの過去や日常生活はほとんどわかりません。セリフでのみキャラクターたちの背景が語られるため、観客にもある程度の想像力が求められます。

そして、オリジナル版は主人公が誰かわからない映画です。全員に平等にスポットが当たったりとか、主人公格のヤツが豹変したりして、「なにが起こるか分からない怖さ」がありました。

設定的な面白さを抜きにすると、この部分がオリジナル版の良さだったかなと。

 

さて、リメイク版を以上の点と比較してみますと、

まず回想シーンがいらない。せっかくキューブを使って閉鎖感を作り出し、観客にもキャラと同じような感情を抱かせようとしているのに、まさかの回想シーンで外に出るという。しかも、開放感を感じるであろう屋上という、キューブとは正反対の場所に。

これだけでも観客の気持ちはガタ落ちなわけですが、菅田将暉演じる後藤が抱えているトラウマにスポットを当てすぎ。彼にとって今現在いるキューブよりも、過去の方に怯えているような印象を受けるんですね。
そのせいで、今作の一番重要な設定である「キューブ」の影が薄くなるという。

そうじゃないんだ。今作の主役は菅田将暉じゃなくて、「キューブ」であってほしかった。

後半はトラップですら隅に追いやられ、後藤のトラウマと恐らく虐待を受けているであろう少年がメインになってしまった。

 

そしてトラップも意外と避けられるという難易度の低さ。部屋に入ってから数分後にトラップが作動したり、なぜかキャラを二手にわけるための仕組みが作動したりと、人間ドラマ先行でトラップが作られている感じ。

『CUBE』のリメイクではなく、別のものが作りたかったのか?と思うほど、オリジナル版の良さが潰されているように感じました。

君たちは耳が遠いのかな?

もうひとつ気になったのが、普通に聞こえているであろう声や騒音に気がつかない不自然さです。

終盤のシーンでは豹変した越智(岡田将生)が後藤を襲うシーンがあるのですが、隣の部屋には甲斐(杏)がいたんですよね。それなのに、「なんかあったの?」と顔を出すことすらしない。扉も全開なのにですよ?

普通だったらこの極限状態で、隣の部屋から仲間たちが進んでこなくて、すごい物音が聴こえてきたら心配するでしょう。

この辺も「キューブ」にいるのに緊張感がないというか、不自然さを感じてしまう部分でして。

 

同じく越智の正体に気がついた少年が、信頼している後藤に小声で相談するシーン。

「越智さんは安東さんを殺したよ」と、明らかに同じ部屋にいる越智にも聞こえている声量で話すのですが、越智は無反応。
怒り狂ってもおかしくない中で、聞こえないフリか本当に聞こえていないのか。

仮に聞こえていなかったとしても、警戒されている状況で、ふたりが内緒話をしていたら反応しないと不自然です。その直前のシーンに、少年を脅すような描写もあったのに、イキナリ無視ですか?

「製作者は”狭い部屋の中にいる…”というキューブの設定を忘れたの?」と思うほど、不自然極まりないシーンでした。

ここが序盤ならまだしも、終盤の見せ場だからなぁ。もう何がやりたいのか分からないっす。

最後に

杏の影薄くなかった?

メンバーの中の紅一点、甲斐さんですが、彼女に関しては最後までほぼ空気。

唯一の女性だから、2番手か3番手にはなって良いはずなのに、邪魔もしなければ貢献もしない。「いる意味あるの?」というキャラでした。

貢献したのは「999」って数字を覚えていたことくらいですかね?

前述した越智VS後藤の戦いにも顔すら出さなかったし、最後の最後でも疑問を残して終わる。

結局彼女はキューブ側のAIかなんかだったので、影が薄いことに意味はあったともいえますが、別に最後のシーンもいらないと思っているしなぁ。

若者と中年の対立関係を描いていくのは好きでしたが、『CUBE』のリメイクとしてはチョーベリーBADな出来でした。

 

以上。


 

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