Netflix『ベケット』感想 ド素人の一般人によるギリシャ逃走劇

ただの一般人が突如、謎の陰謀に巻き込まれ、命を狙われる・・・

同じようなプロットは『ゴールデン・スランバー』や、古くはアルフレッド・ヒッチコック監督の『北北西に進路を取れ』など、映画では結構見かけることが多いんですよね。

今回感想を書いていく『ベケット』も、ギリシャに旅行していたら政治的な陰謀に巻きこまれるっていうサスペンスです。

 

ただ、僕はいつも思うんですよ。

一般人がそんなに運よく生き残れるわけなくね?

あくまでも、スパイでもアサシンでもない一般人が巻き込まれるから成りたつストーリーなんですが、意外と事件を解決しちゃうっていう。

僕なんかが巻き込まれたら、開始30分以内に殺されてみせるよ!

そんな映画誰が観たいんだって話なんですがw

 

この記事は映画のネタバレを含んでいます

ベケット

あらすじ

ギリシャを旅行していたベケットと、エイプリルのカップルは、夜道を運転中に事故を起こしてしまう。

ベケットはなんとか一命をとりとめたものの、エイプリルは死亡。楽しかったはずの旅行が、最悪の展開を迎える。

警察で取り調べを受けていたベケットだったが、事故現場に戻ると、謎の女性や警察官に銃撃される。

なぜか警察から命を狙われていることを悟ったベケットは、自分を匿ってくれるアメリカ大使館に向けて逃走を始めるが……

キャスト

主演を務めたのは、『テネット』での演技が記憶に新しいジョン・デヴィッド・ワシントン

『デンジャラス・ラン』のデンゼル・ワシントンの息子であり、元アメフト選手という経歴を持った俳優です。

今作では命を狙われる一般人を演じ、ひたすらギリシャを走り回る演技が楽しめますw

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ヒロインのエイプリルは、『エクス・マキナ』のガイノイドや、新生『トゥームレイダー』でララ・クロフトを演じた、アリシア・ヴィキャンデル

Netflixの映画では日本を舞台にした『アースクエイクバード』で主演を務めていました。

かなり好きな女優なのですが、今作では序盤で死亡するため、なぜ起用したのか謎なレベルでありまして。

そのほかには、 ボイド・ホルブルックヴィッキー・クリープスなどが出演しています。

評価

今作の満足度を★10段階であらわすと・・・

 

★4

 

「なぜ狙われるのか」を引っ張るだけの映画

警察官から説明や本人確認もなく、いきなり発砲される。

それだけ大きな謎が眠ってそうですが、その謎をひたすらに引っ張り続けますw

観客が考察できるシーンがあればいいのですが、どれも突然の出来事すぎて、情報が少ない。

つまり約2時間の間、なぜ追われているかの説明もなく、ひたすら逃げていく一般人を観る映画になってるんですよね。

首相暗殺の犯人だと思われているとか、スパイだと勘違いされているみたいな、追われる理由すら分からないわけですから。

明かされる謎も「それだけ引っ張って!?」ってオチですし、もっと早く明かしてくれてもよかったよね。

 

ただ、逃走先の目的地がアメリカ大使館に限定されているのはよかった。

目的地が観客もわかっていれば、なにをしていようとも、どこに向かっているのかは一目瞭然。

追われる理由は分らなくとも、主人公の向かう先が分かっていれば、それなりに楽しめる……かな。

まぁ、目的地を知っているのは現地の敵たちも同じなんで、もっと効率的に動けば速攻確保できたと思いますけども。

 

ここから先は映画のネタバレを含んでいます

まだ鑑賞していない方はご注意ください

感想

ベケットは一般人かヒーローか

主人公のベケットはただギリシャを旅行していただけの普通の男でした。

しかし、居眠り運転の事故と、その際に「子供」を目撃していたことにより、なぜか警察官から追われることに。

この時点でベケットは、本当にただの一般人なんですよ。むしろメンタルが少し弱めの、神経質な人間でして、警察官から逃げきれるとは到底思えません。

ただ、追われ始めてから覚醒!警察官の追跡を振り切り、崖から無傷で飛び降り、肩に弾丸を食らっても倒れることなく走り出す!

警察官ともみあいになってもなんとか倒せるし、銃を持った大使館職員にも勝利する!

ここまで来ると、もう一般人じゃないですわ~

映画じゃなかったら、肩に弾丸を受けただけで、戦意喪失すると思いますけど。

 

終盤には立体駐車場から飛び降り、走っていく車に着地するっていう、普通の人間じゃ絶対失敗するアクションもやってのけます!

これを平気でやれるのは、ベケット以外だとバットマンくらいですよ。

そんなカッコいいアクションをやっておきながら、原付を借りパクするのは失敗するというw

「ちょっとそのバイク貸してくれ!」

「いや、離して!!」

映画でバイク借りるの失敗するの初めて観たかも。ちょっと吹き出しちゃったけど、一般人だとするなら当然なのかな。

 

ベケットの一般人か、アクションスターかわからないキャラクターのせいか、逃走中はそれなりに楽しめました。

ただ、追ってくる奴らもそこそこ無能で、アメリカ大使館に行くってわかってるんだから、

最寄り駅に人員配備したりとか、話す間もなくスタンガンで気絶させるとか、映画的にはまったく面白くない手段も使えば一発だったよね。

この映画のよかった点

ここまでBAD評価な部分を語ってきたんですが、ここではよかった点を少し。

まず、ヒロインにアリシア・ヴィキャンデルを起用した点。

彼女を知っているか否かで変わるところかと思いますが、顔も名前も知らない女優を使うよりは、彼女の死が観客にも良い方向に作用したかなと。

ヴィキャンデルが出演するのは、本当に序盤だけ。主人公の居眠りのせいで死亡し、速攻退場します。

けれども、ベケットの中には彼女の存在がずっと残っているわけですよ。居眠り運転をしたせいで恋人が死亡し、「自分が死ねばよかった」と思うくらいですから、その後悔は相当なもので。

アリシア・ヴィキャンデルという女優を起用しておきながら、「そこで死ぬの?もう退場?」とショックを受けた観客と、ベケットの感情が少しではありますが、リンクすると思うんですよね。

「無駄遣いじゃん!」とか思う人もいるでしょうけど、僕にとってはアリシア・ヴィキャンデルの使い方は正解だったのかなと。

 

あとは、ギリシャ語に字幕がつかない点。

ベケットは旅行者で英語しか話せません。事あるごとに「英語喋れる?」って聞いていましたし、言葉というのはかなり重要で。

最近の映画だと英語以外のセリフに字幕がつくことが多いんですが、今作ではギリシャ語にあえて字幕を付けないことで、観客にも疎外感を味合わせています。

僕も海外旅行が好きで、いろんな国に行っているんですが、その気持ちめっちゃわかる。

例えばレストランで店員と会話するとき、僕のつたない英語が通じず、店員同士で謎のやり取り……

「いや、それなに話てんねん!メニューの相談か?俺の悪口か?」

と、どことなく疎外感を感じるもの。

映画を通して、そんな疎外感を感じさせる良い演出だったと思います。

 

以上!!!


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