どーも、スルメです。
フランス映画はまるで絵本のような作風が多いような気がして。
『アメリ』とか『神様メール』とか?フランス語はおとぎ話のように脳内で再生されるんですよね~。
とは言っても、今回観た『バンリューの兄弟』はおとぎ話要素なんてまったくなく、スラムに生きる兄弟を描いた人間ドラマでした。
こういう映画観ると気持ちが重くなるんだよね。嫌いじゃないんだけども、煌びやかに見えるフランスにも問題はたくさんあるんだなと。
かなり海外行く方だと思うんですが、他の国に行くと物乞いとかホームレスとか結構いるんだよ。アメリカの、しかもラスベガスにすらコインをねだる人がいるからさ。
そういった場所を体験すると日本は平和に見えますね。居心地はあまり良くありませんがw
では、さっそく映画のレビューに参ります!
※この記事はネタバレを含みます!
バンリューの兄弟
ギャング、学生、多感なティーンエイジャー。移民が多く貧困な郊外で生き抜く術を探し求める3兄弟に、人生は容赦なく厳しい試練を投げかける。
評価
僭越ながら『バンリューの兄弟』の満足度を★10段階で表すと・・・
★5
その場にいないと分からないこともある
結局はこの手の社会的なドラマは、フランスに住んでいたり、バンリュー(パリ郊外)の状況を良く知っていないと分からない。
「こんな状況なんだな~」と一般的な感想は持っても、それは地球の反対側の出来事ですから、100%理解することなんて出来ないんじゃないかと。
以前日本で大ヒットした『シン・ゴジラ』をアメリカでも上映したんですけど、向こうの人たちは何故ゴジラ映画で長々と会議シーンをしているのか理解できなかったみたいです。
日本人にとっては行動の遅さとか、手続きが大事とか、震災の影響とか様々な要素が理解できたと思うのですが、海外ではウケなかった。
それと同じ理由で『バンリューの兄弟』もフランス国内の情勢を描いていますから、日本人には難しいのかも。
ここから先は『バンリューの兄弟』に関するネタバレを含みます!
まだご覧になっていない方はご注意を!!
感想(ネタバレ)
バンリュー
監督がNetflixを使って世界に発信したかったメッセージは、たくさんあると思うんですよ。
アラブ系黒人が生きているバンリューでの生活や、犯罪を犯さなきゃ生きられない状況などなど。
あ、バンリューって言うのは、かつてフランスが植民地支配していた国からやってきた移民が生活する地区のこと。主に低所得層が住む集合住宅があって、彼ら独自の文化が形成されているようです。
このバンリューを舞台にした映画『憎しみ』って言うのがありまして、バンリューに住む三人組がメインとなるのも、この映画を意識しているのかなと。
その他にも2005年に発生したバンリューでの大規模な暴動事件では、3人の黒人青年が警察に追われた先で感電したのをきっかけに起きています。この事件も確実に『バンリューの兄弟』に影響を与えているでしょう。
実際に起きた事件は移民者の2~3世が暴動に加わったらしく、立場としても登場する3人と同じですね。
と言うように、移民として入ってきた外国人たちと、その子孫は差別や偏見にさらされていると。次男のソレイマンが警察に職務質問をされるシーンもそれを表しています。
そうして中で鬱憤や不満が溜まりソレイマンはハッパに逃げ、長男のデンバは犯罪を犯し、末っ子のヌムケはギャングから金を盗む。
それぞれの兄弟の人生に白人が絡んでいるのも意図があるのでしょう。例えばソレイマンの討論相手、ヌムケの喧嘩相手など。自分とは生まれた時から立場の違う白人を登場させることで、よりバンリューの環境の悪さを表現したかったのだと思います。
簡単に監督が伝えたかったメッセージを考えてみましたが、普通に観ただけじゃ伝わらないモノもあるはず。
それが顕著に表れているのが、ラストの討論の場面。バンリューで起きる犯罪は政府が責任を取るべきか、否かで討論をするのですが、こんなの分からんぜと。
白人であるリサと黒人のソレイマンが討論をする。それに対して観客が拍手をしたり、共感したりするってシーン。これはね、現地に住んでなきゃ彼らのメッセージ一つ一つが心に響かない。
俺もバンリューのこととか、暴動事件とか事前に調べてはいたんですが、それだけじゃやっぱり足りないよね。
「地球の反対側にいるのだから、しょうがない」とは思いつつも、余すところなく理解したいという気持ちにさせてくれる映画でした!
ラスト
予想はしていましたが、なかなか衝撃的なラスト。個人的には『イージー・ライダー』を思い起こしたかな。
末っ子のヌムケが「自分で働け」とデンバに言われて、ギャングの金を盗んだことが巡り巡って帰ってくる形となりました。
うーん、別にわざわざデンバを攻撃させる必要はなかったと思うけど、自分のしたことが帰ってくるというヌムケへの教訓だったんですかね~。
同じバンリューに住むギャングに殺されるよりは、ソレイマンを理不尽に職質した警官とかに攻撃された方が昨今の問題へと繋げられる気がする。
まぁ最後は身体を張って弟を守ったデンバに感動したのは事実ですが。監督自身が演じるデンバに良いラストをもたらそうとしたのでしょうか。
そして最後の最後にデンバを襲撃したギャングも殺されてしまうのですが、その理由が分からん。
結局契約を破ったから、二人とも殺されたって感じ?俺には良く分かりません。殺すならデンバを襲撃する前にやってくれれば良かったのに。
まとめ
そこそこ楽しめたし、フランスのバンリューのことを知るきっかけにはなるはず!
Netflixならではだよね。劇場公開作品だったら、日本ではDVD化もされなかったでしょうし。
Netflixがあることで批判もあるけど、映画との出会いも増えますから。俺は大好きです。
以上!!!
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