『アンダー・ザ・シルバーレイク』感想 これは妄想か現実か

 

映画を観る前のリサーチでWikipediaを観ていると

アンダー・ザ・シルバーレイク』(Under the Silver Lake)は、2018年公開のアメリカ合衆国のコメディ映画。(Wikipedia)

という一文が。

ん?コメディ映画???

この映画コメディなの?予告編から全然そんな感じはしないんだが…。

しかも全米公開が12月って日本より遅いやん!!

ということで、アメリカの映画ファンよりも2か月早めに『アンダー・ザ・シルバーレイク』を楽しめる喜びを噛みしめながら鑑賞してきましたw

自国制作の映画が、他国で先に公開されちゃうってなんか嫌だよなぁ…

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あらすじ

セレブやアーティストたちが暮らすロサンゼルスの街シルバーレイク。ゲームや都市伝説を愛するオタク青年サムは、隣に住む美女サラに恋をするが、彼女は突然失踪してしまう。

サラの行方を捜すうちに、いつしかサムは街の裏側に潜む陰謀に巻き込まれていく。「私たちは誰かに操られているのではないか」という現代人の恐れや好奇心を、幻想的な映像と斬新なアイデアで描き出す。(映画.com)

 

感想

ごちゃ混ぜサスペンス

本作は『イット・フォローズ』で知名度を上げたデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督。

『イット・フォローズ』は「なにか」にひたすら追跡され続けるホラーなんですが、本作は一概にホラーと言えるような作品ではありません。

強いて言うなら『ラ・ラ・ランド』のゴージャスかつ夢のような雰囲気と、ヒッチコックのサスペンスをミックスしたような、新しいけど既視感のある作品ですね。

謎を解いては、次の謎、また次の謎とどんどん深まっていくストーリーで、一回目を離すと置いて行かれそうな感じがします。

 

LAにある夢や希望、諦め、絶望が入り混じった変な空気が映画全体に漂っていて、それが終始付きまとう。

スカンクの臭気がスクリーンを通り越してこちら側まで伝わってくる気持ち悪さがあるのに、何故かこの世界から抜け出したいとは思わない。

140分というちょっと長めの上映時間でも足りないくらい『アンダー・ザ・シルバーレイク』の世界は惹きつけられました!

実際にLAとかハリウッド周辺に行ったことがありますが、華やかさの裏に何かある独特の雰囲気があります。

特にリトルトーキョー周辺とか、グリフィスの辺りとか。治安が悪いか、自分がただ高揚していただけかもしれないけどw

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仕込まれたネタの数々

『レディ・プレイヤー1』が公開された時はポップカルチャーのネタ探しに躍起になっていましたが、本作も以外にネタが豊富なこと!

ニンテンドーのゼルダの伝説は最大の謎を解くヒントとして使われるし、ヒッチコックの墓は出てくるし、『ラ・ラ・ランド』で空を飛んだグリフィスもガッツリ登場しましたね!

特にマリオの水中テーマ曲がこの映画とここまでマッチするなんて!!普通一番有名な地上テーマをメインに使うのに、細かいけど監督のセンスを感じる1シーンです。

スパイダーマンのコミックが登場するのも皮肉が効いていて面白いですねw

主演のアンドリュー・ガーフィールドは以前スパイダーマンを演じていたから、それに対する巧妙なネタです!

スパイダーマンの進化

スパイダーマンを演じたあのアンドリュー・ガーフィールドがあんな激しいセックスシーンを披露するとは夢にも思いませんでしたw

『アメイジング・スパイダーマン』好きでしたけど、アンドリュー・ガーフィールドはアイドル的な顔つきでヒーロー感はなかったんですよね。

その彼が演技の力でここまで脱力し、世の中を諦めた若者になるなんて!彼を侮っていたかもしれません。

そういえば『ソーシャル・ネットワーク』でも『沈黙サイレンス』でも良い演技してましたもんね。

これから先も実力ある俳優として活躍していくことでしょう!

これは妄想か現実か

本作を観終わって様々な疑問が残った方は多いと思います。

結局犬殺しの犯人は誰だったの?フクロウの仮面の女は?作詞家を殺したのにバレてないの?

みたいな疑問はありますよね。

答え合わせされていない謎は「全部主人公の妄想でしたー!」の一言で解決しますw

犬殺しは本当にあった事件で未だ解決されていないとしても、仮面の女とか作詞家の件はサムの脳内で起こった妄想による産物なんじゃないでしょうか。

仮面の女は前作『イット・フォローズ』のセルフパロディみたいな感じでしたし、ヒットソングを裏で作り続けた大御所を殺したのに追手がないのはおかしいです。

 

ではどこからどこまでが妄想なんでしょう?

ホームレスの王様、大富豪たちが密かに持つ墓、陰謀論者の同人作家。どれも彼の妄想に思えてなりません。

理不尽な現実を都合の良い妄想に変えてしまった。

これが一番しっくり来る答えだと思います。

実際彼は何をして生計を立てているのか説明されず、仕事のことを聞かれても意味のない返事する始末。

現実と妄想の区別がつかなくなった行動力のあるニートが社会の裏を暴くある意味ホラーな作品だったのかも。

この映画における解釈は観客に委ねられているので正解はないんですが、あくまで個人的見解として。

まとめ

10月公開作品で一番期待していた作品でしたが、その期待を大きく超えてきた作品でした!

もうとにかく世界観が好きすぎる!映画好きには分かる隠し要素もしっかりと盛り込んでいるところがまた良いですよね!

というわけで最後に満足度を★10段階で表しますと・・・

 

★8

サイコー!記憶にバッチリ残る佳作!

今年観た作品の中では『リメンバー・ミー』に続き好きかもしれない。

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