映画『雨を告げる漂流団地』評価と感想(ネタバレ) 小学生にはハードモードすぎるだろ!

「映画」と「団地」の組み合わせは、ホラーかロマンポルノしか思い浮かびません。

それが『ペンギンハイウェイ』のスタジオコロリドによって、ジュブナイルに生まれ変わる!

『雨を告げる漂流団地』はそんな映画です。

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雨を告げる漂流団地

評価

ストーリー★★☆☆☆ 2/5
キャスト★★★★☆ 4/5
演出★★★☆☆ 3/5
映像★★★☆☆ 3/5

総合評価 ★ 5/10

 

「漂流団地ってそういうことか……」


スタジオコロリドの作品は、おそらく全作観ているのですが、どの映画も記憶に残らないんですよね。

森見登美彦さん原作の『ペンギン・ハイウェイ』ですら、ほぼ残ってないですから。「お前の記憶力どうなってんだ!」って話なんですけど。

今回も決してダメではないけれど、キャラクターがフワフワしたまま終わり、観客の気持ちも漂流したまま。

せめて漂着させてほしかった。

 

以下、ネタバレありの感想です

 

感想

ずっと住んでいた団地が取り壊すことになり、落ちこみ気味の夏芽と、気持ちを切り替えた航祐。このふたりは、幼いときから一緒に住んでいて、姉弟同然の関係なんだけど、団地の取り壊しと祖父の死をきっかけに心も離れ気味の状況です。

そんなふたりが、友人たちと閉鎖された団地で遊んでいたところ、なぜか団地そのものが漂流を開始。不思議な海の中を延々と進み続ける団地と、取り残された小学生たちは、まさかのサバイバル生活を送ることになるのだが……

 

まず、この映画。

小学生たちのサバイバル能力がえげつない。

平気でロープウェイを作り出し、イカダを作り、いつの間にか火を起こしている。電線を利用してロープも編むし、多少の喧嘩はあれど、パニックに陥るほどでもない。なぜこんなに“できた”小学生たちが集まってんだ? 身体能力もそこそこで、階段を使わず団地の壁を駆けあがるとか平気でやる。ここまでくると、こいつらプロだろと。

大人が5人集まっても、この環境下だったら火おこしすらできず、ブタメンも食べられなかったと思うよ。

まぁ、映画ですから、多少のことには目をつむるとしましょう。今の小学生たちは、YouTubeだなんだで、サバイバルスキルをマスターしているのでしょう。

それはいいとして、この映画、意外とハードモード。映画の終盤には、ほとんどのメンバーが満身創痍。頭に包帯撒いちゃってるし、流血表現もしっかりあるしで、小学生(プロ)にとってもハードな環境下でのサバイバルになったと思う。

でも、サバイバルの部分は、この映画が持つ些細な面でしかありません。

捨てられた建物が持つ哀愁やノスタルジーを内包した、当の小学生たちには理解できなさそうな描写こそ、今作のキモです。

劇中では団地以外にも、用済みとなり、人間たちに捨てられた建物が登場します。スイミングスクールや、観覧車、デパートまで、かつての面影を残したまま、団地と相まみえるのです。一見すると、ただの廃墟。それこそ小学生たちが肝試しに来るような場所だとしても、そこには人々の思い出が詰め込まれていて、その想いが文字通り“生きている”。

近年は特に都市の開発が進んで、さまざまな場所が様変わりしています。団地もなくなりつつあるし、URなんてお洒落な集合住宅にどんどん代わっていっている。古い建物が淘汰されていくのは仕方のないことですが、ただ消化していくんじゃダメなんだ。そこには確かに誰かが住んでいたし、人が住んでいれば数えきれないくらいの思い出がある。簡単に「壊します。建て替えます」で済むわけがない。

僕の地元もいつの間にか道が広くなっていて、便利にはなったけれど、そこにあった店はどこに行ってしまったのか? 学生時代に通ったラーメン屋も、通学路にあった妙なオブジェのある眼鏡屋も、今はもうない。

この映画は、次々に新しいものに変わっていく、その現象を止められない現代社会に対する、ある種の鎮魂歌といえる作品だと思う。

とはいえ、とはいえですよ。

時代遅れの産物となってしまった団地を舞台にしたのはいいのですが、小学生たちの人間ドラマに関しては、疑問しかない。

男の子ふたりはほぼ活躍せず、夏芽と令依菜の関係性も不明。令依菜はいつもキレているが、そもそも自分が欲に負けて団地に足を踏み入れたのがいけないのでは。彼女が学ぶべきは、仲間とか建物とかよりも、自分を見つめなおすことでした。思い返せば、令依菜と航佑が会話したシーンもほとんどないし、キャラクター同士の掛け合いは物足りなさを感じます。

そして!一番気になるのは、崖に捕まってピンチ!なシーンが多すぎね?

映画冒頭、異世界転移する前の夏芽の崖捕まりと、ラストの団地の屋上でのシーンがリンクするのはわかりますが……。団地が崩れたシーンも二回連続で崖ピンチがあるし、ここまで1つの映画でぶら下がるのはキツイって。

 

以上。