Netflix映画『君と一緒に過ごした夏』評価と感想(ネタバレ) できすぎ、やりすぎな青春映画

スルメ
どーも、スルメです

今回はNetflixで配信された『君と一緒に過ごした夏』の感想です!

Netflixさんも季節感を意識しているのか、店頭に夏服しか並ばなくなるころから、“夏系”の映画を配信している気がします。

本作のような映画が配信され始めると、また季節が一周したなぁと。

僕は基本部屋にこもっているので、花粉以外の季節はそこまで関係ないのですが。

ただ、夏は堂々とアロハシャツ着られるし、ビーサンで行動できるんで、ほかの季節よりは好きよ。

君と一緒に過ごした夏

あらすじ

大学入学前の夏、真面目なオーデンは謎めいた青年に出会う。彼と過ごす夏の夜、オーデンは自由気ままな10代としてたくさんの”初めて”に挑戦してゆく。

Netflix

作品解説

原作はサラ・デッセンの青春小説。日本では翻訳されていないようですが、海外では2009年に発売されております。

そんな本作のメガホンを取ったのは、『好きだった君へのラブレター』で脚本を担当したソフィア・アルバレス。『好きだった~』は続編も作られましたから、その腕が評価されての抜擢でしょうか。

キャストは新人俳優のエマ・パサロウが主演を務め、ベルモンド・カメリが相手役を演じております。

『君と一緒に過ごした夏』評価

ストーリー★★☆☆☆ 2/5
キャスト★★★☆☆ 3/5
演出★★★☆☆ 3/5
映像★★☆☆☆ 2/5

総合評価 ★ 4/10

 

「良くも悪くもティーン向けなのかな」


主人公と同世代の人が観れば刺さると思う!けど、僕にはそこまでわからない!

たしかに学生時代の夏休みって妙な無敵感があって、「たぶん今ならなんでも楽しい」と思える幸せな時間でした。

バカみたいにツラい日雇いのバイトして、その金でワイワイして、朝まで騒いで。

そんな楽しかった時間を思い起こしましたが、正直内容は薄いし、ノスタルジーに浸れるほど大人向けの青春映画ではありません。

年齢で好みが大きく変わりますから、ティーンエイジャーの方々は楽しめるんじゃないでしょうか。

僕が学生時代にこの映画を観たら……。捻くれてたから「つまらん」で終わってたな。

 

※以下、映画本編の一部ネタバレが含まれます。

 

『君と一緒に過ごした夏』感想

知らない街での生活

高校生のオーデンは超微妙な空気のまま高校を卒業。恒例行事にも参加できず、なんとか自分を変えなきゃいけないと考え、父親の住む港町へと遊びに行きます。

そこで素晴らしい友人たちと出会い、超カッコいい男の子と恋仲になり、たぶん大学生活も安泰になる話です(笑)

内容はいたってシンプルだし、開始15分程度でどんな映画か大体わかると思います。正直106分もかけて描くストーリーじゃないよ。もっとコンパクトにしていただければ、さらに楽しめたのですが。

ただ、シンプルの中にもドラマがありまして。

主人公のオーデンは、父親の愛を受けられず、僕たちが思う「普通の子供時代」を過ごせなかった女の子です。父親がいつも仕事だったから、自転車の乗り方も知りません。おそらく、休暇も遊びに行けなかっただろうし、同級生たちとの付き合い方もわからなかったでしょう。

そんな彼女が自分から道を切り開いていく部分にドラマ性を持たせていて、ひとりの女性の成長物語としても機能しています。

「わかりやすさ重視で進んでいくよね」

映画中盤からは人と関わることが苦手だったオーデンが、周囲の人間と馴染んでいくのですが、その展開がスムーズすぎる。

オーデンの友達は、突然やって来た彼女の存在を無視し、陰口も叩くんですよ。その理由が「元カレとキスしたから」なんですが、そんなの来たばっかりのオーデンからしてみれば、理不尽以外のなにものでもありません。

それなのに、精神的苦痛を与えたことに対する謝罪の言葉もほぼなしで、すんなりと友達になっていきます。

「いやいやいや……」って感じですよね。あまりにも都合がよすぎるし、人間そんなに単純にはいきません。表面上は仲よくなっても、絶対わだかまりが残ると思う。

さらには、夜中に自転車(BMX)の練習をしていた男の子と出会うのですが、彼がめっちゃイケメンでBMXの元選手だったりする。どこか秘密がありそうな雰囲気もあり、友達とのパーティーにも参加しない。

……イケメン設定詰め込みすぎじゃないですか?

偶然出会った人がイケメンとか、道でぶつかった人が美女とか、そろそろやめてほしい。

で、めずらしくイケメンくんがパーティーに参加したかと思えば、フードファイト(食べ物をぶつけるバカすぎる遊び)開始のゴングを鳴らす。

このシーンで本作に対する熱が急に冷めました。映画とはいえ、食べ物投げ合っている姿を見て、楽しいとは思えない。アメリカの学生たち本当にこんなことやってるの?

そんなわけで、「若いころを思い出す映画」というよりは、「若気の至りを目撃してドン引きする映画」でした。

諸悪の根源

この映画の諸悪の根源は、無責任で仕事人間なオーデンの父親です。

こいつが本当にどうしようもない人で、自分勝手な理由で現在の妻と離婚ギリギリの状態になる始末。

オーデンがやってきて「おなかすいてるか?」と聞いたかと思えば、金を渡して「バーガーでも食ってこい」ですよ。オーデンのポカーンとした顔ときたら……。

その後もせっかく遊びに来ている娘とのシーンはほぼなし。新しい奥さんとの間に赤ちゃんが生まれているのですが、当然育児はしません。

こんな前時代的な父親が、もはやステレオタイプすら思える昭和の頑固おやじが登場するとは……。

「反面教師的な役割なのか?」

ここまでヘイトを集めたのだから、映画の最後にとんでもない展開があるのかと思いきや、普通に画面の外で和解して終了!

オーデンの背景には繋がっていたけど、ここまでダメ親父に描く意味あったんですかね。

 

Netflixでも『ハーフオブイット』など、次世代のティーンたちを描いた作品が生まれている中で、この映画はあまりにも型にはまりすぎています。

『ブックスマート』のようなシスターフッドものでもなければ、『スーパーバッド』ほどの痛々しさもない。突き抜けたものがなにもないので、特に印象に残らず、すぐに抜けていきそうな映画でした。

最後に

青春映画は好きなのですが、Netflix配信の作品は当たりはずれが大きすぎる。

そもそも僕はもうティーン向け映画のターゲットではないのでしょう。

というか、このようにキラキラした映画が楽しめないタイプの人間なのかもしれません。

もっとこう……、青春の痛み的な、思うように青春を楽しめなかった“青春マイノリティ”にカメラを向ける映画が好きなのよ。

今後も『ハーフオブイット』のような傑作がNetflixから生まれてほしい。そして登録者を呼び戻しましょう。

 

以上。


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