映画『アイネクライネナハトムジーク』ネタバレ感想 後味の良い恋愛群像劇

どーも、スルメ(@movie_surume)です。

 

『アイネクライネナハトムジーク』

伊坂幸太郎さんの小説が原作ですね。なんとも不思議なタイトル…。

このタイトルを初めて聞いた時ですね、「愛って暗いよね(アイネクライネ)」みたいな意味かと思いましてw

でもよくよく調べてみますと、モーツァルトが作曲した音楽のタイトルなんだとか。全然別の意味があるみたい。

長いタイトルで、しかも日本語じゃないのに読んだら一発で覚えてしまうインパクト。さすがです!

 

伊坂原作の映画と言えば『ゴールデンスランバー』が一番好きかも。『アヒルと鴨のコインロッカー』も好きですが。

原作だけだったら『ラッシュライフ』かな。あれも映画化されているらしいけど、あまり良い評判は聞きません。

なんと言うか登場人物がいっぱい出てくる群像劇が好きなんだよなぁ。映画でも小説でも。

伊坂さんの作品はそう言うのが多いように思えるから、普段本を読まない私でも最後まで楽しめます。全部読んでいるわけじゃないけどさ。

 

※この記事はネタバレを含みます!!

映画について

あらすじ

仙台駅前で街頭アンケートを集めていた会社員の佐藤は、ふとしたきっかけでアンケートに応えてくれた女性・紗季と出会い、付き合うようになる。そして10年後、佐藤は意を決して紗季にプロポーズするが……。佐藤と紗季を中心に、美人の同級生・由美と結婚し幸せな家庭を築いている佐藤の親友・一真や、妻子に逃げられて途方にくれる佐藤の上司・藤間、由美の友人で声しか知らない男に恋する美容師の美奈子など周囲の人々を交えながら、不器用でも愛すべき人々のめぐり合いの連鎖を10年の歳月にわたって描き出す。

映画.com

監督

メガホンを取ったのは『愛がなんだ』の今泉力哉監督。

その『愛がなんだ』は未鑑賞なんですよね~。Twitterで話題になっていたのは知っているし、観たかったのですが、ちょうどその時期は日本を離れていまして。なので今作が初めての監督作かも。

キャスト

主演は三浦春馬さんと多部未華子さんの二人。

多部さんは同じ伊坂原作の『フィッシュストーリー』に出演していたかな。ずいぶん前に観たんで記憶が曖昧なんだけどw

というか三浦春馬さんがまだ29歳だったのが驚きです。いや、老けているとかじゃなくて随分前から活躍している印象があったもんで…。俺が中学の時にはもう売れたような。

ガッキーと共演した『恋空』が2007年だから、もう10年以上も前なんですね。当時はまだ10代だったんだ…。

 

えー、実は主演のこの二人以上に気になるキャストがいまして。

まぁサンドウィッチマンの二人なんですけど、本人役だったりするんですかね?

それぞれが単独で映画・ドラマに出演しているのは度々見かけますが、コンビで出るってめずらしくね?

やっぱ仙台が舞台だから、地元繋がりなのかな。

評価

僭越ながら『アイネクライネナハトムジーク』の満足度を★10段階で表すと・・・

 

★6

当ブログの採点基準について

 

誰も傷つけない暖かい映画だな

登場するキャラクターそれぞれの恋愛模様があって、出会う人もいれば別れる人もいる。

ムッと思うようなライバルキャラが出てこないし、嫌味なく観られました!この手の恋愛群像劇では、割と上位の部類に入るのではないかと。

全然関わりのなさそうなところで繋がってくる個々の話が群像劇の醍醐味と言いますか、気持ちよさでもあるよね。

キャラクターたちが関係だけでなく、似たようなシチュエーションに陥る場面が多くて「そこでこの会話に繋げるのか!」と大きく頷くこともチラホラ。セリフとかもしっかり覚えておいた方が良いかも。

俺的にはランキングとかでよく名前の挙がる『ラブアクチュアリー』よりも好きです!

 

そしてやっぱり個々のキャラクターが良いんです。

私のお気に入りは原田泰造さんが演じた藤間さんでして、あの人の良さで奥さんに逃げられるような人じゃないでしょと。

それを真っ直ぐに見つめて「俺が悪いんだぁ」に落ち着くのが素晴らしい。俺なら絶対「妻に浮気相手でもいるのか!?」と勘ぐってしまいますからね。

5年くらい上司のいない生活を送っていますが、藤間さんのような優しい上司なら欲しい。

逆にそんな彼を捨てた、顔も出さない奥様が唯一の理解できないキャラクターだったかもしれません。俺もちゃんとハサミ片づけなきゃあかんのか。あ、その前に結婚だった。

ここに共感できるかどうかは男女でも世代でも違ってくるんでしょうが、俺は納得できないな。

 

ここから先は『アイネクライネナハトムジーク』のネタバレを含みます!

まだご覧になっていない方はご注意を!!

感想(ネタバレ)

群像劇として

俺が一番群像劇っぽくていいなぁと思ったシーンは、後半の方にあった塾でのシーン。

働いている紗季の元にウィンストン小野のサインを持った女子高生がやってきます。このサインって言うのが10年前に佐藤が上司の藤間さんにプレゼントしたものでして、巡り巡って紗季のところにやってきたワケです。

で、この時の紗季のセリフ「プレゼントしてくれた人はいい人なんだね」に痺れる。

このシーンの時はちょうど佐藤と別居?している時でして、間接的に観客にだけ分かるように佐藤を評価するんですよね。ここでこのシーンを持ってくるセンスの良さ。自分の知らない所で人間同士の繋がりがあるんだなぁとしみじみ思いますね。

わたくし事ですが、最近たまたま出会ったある人が高校時代の同級生の友人の知り合いであることを知ったんですよ。その人との間には2人が挟まるんだけど、遠いところで繋がることって結構あるんだと実感しまして。

だから余計にね。群像劇を観るいいタイミングだったんじゃないかと。俺みたいな友達少ない人間でも、やっぱり何かしら繋がるところがあるわけで。

そういうところがあるから群像劇映画に出てくるキャラクターたちは、どこかの世界で「生きている」ような気がするんだよね。

 

ただ、ちょっと気になる点があったとすれば、序盤のボクシングの試合の場面。佐藤の視点と美奈子の視点が交互に映し出されるんですが、あれは激しすぎた。

シーンをバンバン帰るんじゃなくて、一回ずつくらいじっくり見せてほしかったかな。

あとは先の文にも書きましたが藤間さんの奥さんの謎の行動。これが子供がいない夫婦だったら「我慢の限界だ!」ってことで少しだけ理解できるんだけど、子供いるんでしょ?

夫がハサミを片付け忘れた。確かにイラっとする原因だったのかもしれませんが、例えそれが積み重なったとしても子供のことを考えると逃げられるもんなのでしょうか?結婚する前、子供を産む前に気づけよと。

男目線だからか、これは藤間さんが悪いとは思えないんすよ。人によっては大きく変わる部分なのかもしれません。

恋愛映画として

群像劇であると同時にやっぱり恋愛映画としても語るべきだなと。

先に不満を書かせてもらうと、物語の本質上そうなることは必須なのですが、紗季と佐藤の恋愛描写が極端に少なすぎる。あの二人がどこにデートに行って、どんな関係を10年間過ごしてきたのかを描いてほしかったんですよね。

だって、やっと運命の出会いか!?と思ったら「10年後」のテロップが入るんですから。

なぜ10年も付き合っていてプロポーズが一度もなかったのかと。さすがに紗季も佐藤も30過ぎたら焦る気がするのよ。「結婚はしなくても今の関係がいい」ってことでもないだろうし。

そうなると時を飛ばす10年は長すぎると思う。佐藤はずっとキチンとしたタイミングでプロポーズをできないような男だったんだろうなと考察は出来るんですけどね。

紗季はなぜ10年付き合って、プロポーズの段階になると「考えさせて」になるんでしょう。そこで悩むならもっと前に…とは考えてしまう。

敢えて空白の10年間を作った作品とも言えるんですが、そこは描かなくても10年関係を続けられて尚且つプロポーズは保留にさせた理由を的確に描いてほしかった。それとも俺が読み取れてないだけか。

 

ここまで書いておいてアレですが、この映画を新鮮な気持ちで観られたのは、敢えて中間を描かなかったことでもあるんですよね。主に出会いについて触れられている場面が多いですし、主人公格の二人が出会うまでで物語の半分以上が終わってしまう。

登場人物たちにとっては命を懸けた本気の恋愛なのかもしれんけど、中間を省くことでそういう要素を表に出してこないことが他の恋愛映画とは違う点ですね。佐藤と紗季も、藤間さんと奥さんも、美奈子とウィンストン小野も出会いと結末だけが描かれていますし。

奇跡って言い方は好みじゃないんですが、人との出会いはやっぱ大事でして、『フォレストガンプ』が代表するように素敵な出会いは色んな人の人生を変えるんだよね。俺はまだそんな奇跡のような出会いを経験していないのかもしれないし、10年後に今の友人たちのことをそう感じるのかも。

 

そういうところもあって、非常にサッパリとした恋愛映画に仕上がっているなぁと。さっきは「中間を描けよ!」と書いたような気がするけども、ドロドロしちゃうと観てて気持ち良くないからねw

描かないのは作品の本質でもあるが、佐藤と紗季のことを考えると10年後じゃなくて5年後でも良かったんじゃ。そうすると高校生たちのストーリーで辻褄があわなくなるのか。物語、特に群像劇を作って時代も2パターン用意してって世界感を構築するのに苦労しそう。

10年間を一切描かないことで不満も生まれれば、満足できた部分もあったといったところですね。

 

まとめ

久しぶりの群像劇。やっぱ面白かったわ…。

時代が変わっても毎度同じ場所で同じ人が、同じ歌を歌っているナハトムジークな世界。俺は好きです。

確か同じ伊坂作品で群像劇の『ラッシュライフ』は漢字のアンケートかなんかをしている留学生が、どのストーリーにも登場していたような。あのミュージシャンはそういう立ち位置なのでしょう。

それとフラフラしてそうで、芯の通った男だった一真は藤間さんの次に好き。

ああいう父親は実際にいたら嫌なんだけど、映画で観ると映えるよなぁ。

以上!!!


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90年代生まれ。最近フリーランスを始めたばかりの映画フリーク。 映画鑑賞が好きな人も、そうでない人も楽しめる文章を心掛けて執筆中。 お仕事のご依頼はお問い合わせフォームまでお願いします。