どーも、スルメ(@movie_surume)です。
先日発表されたオスカーでは『パラサイト』が作品賞となりましたね。
今回レビューする『1917 命をかけた伝令』も、もしかしたら作品賞あるのでは?と囁かれていただけに、日本での公開は些かパワーが落ちたような気がしないでもない。
監督賞or作品賞を獲っていれば、「本年度アカデミー賞!」という宣伝もできたはず。日本での公開日が諸外国に比べて少し遅めなのは、オスカーを見越してのことだったのかもしれません。
しかし!オスカー獲得はならなかったとしても、作品の質が変わるわけではないですよね。
ゴールデングローブ賞ではドラマ部門で作品賞を受賞しているわけですし。なんといってもワンカット風の映像は高く評価されています。
ということで待ちに待った『1917』のレビュー。参りましょう!
※この記事はネタバレを含みます!
1917 命をかけた伝令
あらすじ
1917年4月、フランスの西部戦線では防衛線を挟んでドイツ軍と連合国軍のにらみ合いが続き、消耗戦を繰り返していた。そんな中、若きイギリス兵のスコフィールドとブレイクは、撤退したドイツ軍を追撃中のマッケンジー大佐の部隊に重要なメッセージを届ける任務を与えられる。
監督
メガホンを取ったのは『007スカイフォール』のサム・メンデス監督。
ダニエル・クレイグ主演の007シリーズは「カジノロワイヤル」から比較的高評価ではありますが、「スカイフォール」と「スペクター」でその地位を確立した感じはありますよね。
今回のアカデミー賞でも監督賞にノミネートされており、ポン・ジュノやタランティーノと並んで有力視されていました。
キャスト
主演を務めたのは『オフィーリア』や『ずっとあなたを待っていた』のジョージ・マッケイ。私も恐らく本作で初めて知った俳優な気がします。
あくまで「ワンカット風」な映像らしいのですが、他作品に比べて長回しも多いので、撮影はいつも以上に困難を極めたことでしょう。
共演は『ドクター・ストレンジ』のベネディクト・カンバーバッチ、『マンマミーア』のコリン・ファース、『キックアス』のマーク・ストロング、『ゲーム・オブ・スローンズ』のリチャード・マッデンなどなど。
評価
僭越ながら『1917 命をかけた伝令』の満足度を★10段階で表すと・・・・・・
★7
単純に面白かった。でも評価すべきポイントは・・・
迫力ある映像。戦場での緊張感。そしてワンカット(風)……!
『プライベートライアン』然り、『フルメタルジャケット』然り、戦争映画好きな私にとっては、こりゃ素直に面白いぞと。
ただどこに目を向けたら良いのだろうか。
ワンカット(風)撮影を最後までやり通したこと?それとも最後まで緊張の糸を途切れさせなかったこと?
私がただ単純に「面白いよ~この映画!」と言っただけでは誰も満足しないと思いますが、戦争映画としても映像としても面白いものが出来上がっていることは確かです。
撮影に関しては「これがオスカー獲得できなきゃ誰が獲るんだ!」というレベルのもの。
もはやどうやって撮影しているのか見当もつかない。つなぎ目は確かに分かる気がするけども、撮影方法を1から説明してもらいたいほど。
これは俳優だけでなく、スタッフもめちゃくちゃ大変だったはず。「NG出したら雰囲気悪くなりそうだな~」とか考えちゃうのは、私が日本人である証拠でしょうか。
ここから先は『1917 命をかけた伝令』のネタバレを含みます!
まだご覧になっていない方はご注意を!!
感想(ネタバレ)
ワンカット(風)
さっきから書いているように、本作は本当の意味でワンカットとして撮影された作品ではありません。
あくまでも「全編ワンカットに見えるような」映画を目指して作られたと思います。前に見かけた情報によると一番長いカットで9分とかだったはず。
ただひとつ残念な部分としては主人公が気絶するシーンにて一時暗転する場面があったところ。ストーリー上仕方ないんですけどね。
私が思う本作のワンカットの面白さって物語が地続きであることだと思うんですよ。
先ほども上げた『プライベート・ライアン』だったら全編が回想になっていますし、『フルメタルジャケット』はハッキリと二部構成になっています。
しかし本作はとある兵士が伝令を届けるまでの1日を描いており、気絶した時間を抜けば出発から任務達成まで2時間ないくらいで終わってしまう。
常に危機に晒され続けていますが、彼が行動していた時間は映画の上映時間とほぼ同じなわけで。
そうなるとカットシーンがないわけだから、観客にも伝令を届けるまでの距離と時間がリアルタイムで分かるのです。
ただの戦争映画ではなく「前線の別部隊へ伝令を届ける」という作品だから成し得たことでしょう。
そして本作のラストはスタートと同じように木の下で座り込むシーンで幕を閉じます。しかし2時間前はいたハズのトム・ブレイクの姿はない。
このシーンを撮るためだけにワンカット(風)を実行したのかと思うくらい。スタートとゴールを同じ位置に持ってきて、ウィルの表情を見せるって天才かよと。
同じアカデミー賞枠だと『パラサイト』のトイレに座ってタバコをふかすシーンも大好きだけど、『1917』も負けてないな。
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それと普段は主人公を追い続けていて、一人芝居の場面も多いのですが、ここぞという場面では大物俳優が登場するっていうのも良いよね。
特に旅のゴールにいたカンバーバッチとリチャード・マッデン。もともと出演するのは知っていたから、「ここで出してくるのか!!」という感動があるんですよ。
まぁ彼らに関してはほんの数分の出演だから、ワンカットならではの演技は堪能できなかったような……。
さらに欲を言えばカンバーバッチのマッケンジー大佐をもっと観ていたかったなぁ。
どうやって撮影したの?
私は「映画が大好き」というただそれだけでブログを書いています。
大学の頃映画論の授業を履修して、映画史について何年か学んだだけで、撮影とか編集とか技術的な部分に関してはまったくの素人なんですよね(笑)
なので本作がどのような技術で撮影されたか全然分かりません。あんなにカメラが滑らかに動いていくワンカットに遭遇したのも初めてだし。
ということで解説もなにもないので、ここでは私が印象残っているワンカットシーンをご紹介していきます!
・塹壕でのシーン
まず一つ目がウィルとブレイクが二人並んで塹壕の前線へと進むシーン。
ここでは何度も予行演習をしたのか、例の二人がダンスを舞うように立ち位置を変え続けます。
ウィルが前を歩いていて、細い道に入ったら次はブレイクが前に出てくる……。この滑らかな立ち位置交代だけでも、下手すれば不自然さが出てしまうワケで。
ごく自然と写す対象を変えていくのは全編通して見事でした!
・水たまり?でのシーン
次に塹壕を飛び出た先にあった水たまりでのシーン。
二人は水たまりを迂回して水たまりを超えようとするのですが、カメラは水のど真ん中へ。そのまま迂回する二人を映しながら水たまりの先へと進みます。
これ本当にどうやって撮っているんでしょうね。一瞬だけ「ドローンでも使ってるんじゃないか」と考えた私。
・迫る戦闘機
ブレイクが亡くなる少し前の場面。上空で友軍機と敵機がドッグファイトをしており、みごと敵機を撃ち落とします。
……と思いきや、機は煙を上げたまま二人の方へ!丘で一瞬見えなくなったものの、すぐにド迫力の戦闘機が目の前に迫る……。
そして当たり前のように上がり始める炎と煙。本当にワンカットだったらほぼ不可能ですよね(笑)
そんな壁も超えていける。そう、1917ならね。
・橋から飛び降りるシーン
場面は飛んで終盤戦。炎に覆われる街でドイツ軍に追われるウィルは、橋から川に飛び降ります。
普通の映画だったら別になんてことないシーンなのですが、これはワンカットを意識して撮られた作品です。
飛び降りるウィルを追うようにカメラも水中でダイブするとか、どこかでつなぎ目がなきゃ実現できないよな……。
そりゃオスカー獲得も当たり前だと思ったのは、ここが一番だったかな。
・第一波を走るシーン
戦闘行為を止めるためウィルは爆撃の始まる戦場を300mほど駆け抜けます。
なんとなくワンカットならVFXも多用していないだろうと踏んでいたのですが、この迫力じゃ……。
これ爆発だけじゃなくて、突撃していく自軍兵士たちも寸分の狂いなく演技していなきゃできないですよね。
『ラ・ラ・ランド』のAnother day of sunの長回しもそうでしたが、一人ミスれば全体のバランスが悪くなる。
まさにマイケルジャクソンのMVのようなシーンだったと思うんですよね。なんとなくワンカットでダンスに近いんじゃないかと感じたり。
―― と、こんな感じですかね。
技術的な部分は私が観ても本当に分からないし、撮影風景すら想像できない。
オスカー獲得おめでとう!!
おまけ
やっぱり自分は戦争映画が好きなんだと改めて。
もちろん観ていて辛い部分もありますが、実際にこの厳しい戦争があったというのが余計に私の心を動かすのです。
自分がもし戦地にいたら、命をかけて戦えただろうか?そう自問せずにはいられません。
たぶん逃げ出したい気持ちで一杯だろうけど、基本人に合わせるタイプだから……。いや、どうだろう。
以上!!!
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今回レビューしたサム・メンデス監督作品は・・・
・『アメリカン・ビューティー』(見放題)
・007スカイフォール&スペクター(各330円)
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