科学アドベンチャー最新作『アノニマス・コード』をクリアしました。
このゲームは、とにかく発売を待ち望んでいた作品です。だって当初は2016年発売予定でしたからね。何年かかるんだよ!って話ですよ。
1年前の自分にDメールを送り、「アノニマスコード発売されたぜ!」といっても信じなかったことでしょう。それくらい、「発売」ということに現実感がない作品でした。
そんなわけで、5年以上待っていた『アノニマス・コード(以下、アノコ)』の感想です。
※この記事は『アノニマス・コード』をはじめ、科学アドベンチャーシリーズのネタバレを含みます
アノニマス・コード
感想
一応、科学アドベンチャーシリーズに関しては、『らぶchu☆chu!!』や最近発売された『ロボノ DaSH』にいたるまで、おそらく全作プレイ済みです。なんなら、フォロワーであろう『ジャッジメント7』もプレイしました。
そんな感じで、『オカルティックナイン(以下、オカン)』以外は、大いに楽しませていただいたシリーズなのですが、今回の『アノコ』は「オカンほどではないけれど、他の作品には及ばない」くらいの面白さでした。
シリーズファンとしては、そこそこ熱い展開もあり、満足できなかったわけではないのですが……
とにかく短い!!
圧倒的ボリューム不足。「これで5年以上延期してたとか、マジか?」って思ってしまうくらい。
僕の場合、クリア時間15時間ほど。
バッドエンドを回収しても15時間いかないくらいしか、かかりませんでした。音声全部飛ばしていれば、もっと短く終わったでしょう。
ボリューム不足
このゲーム、ルート分岐がほぼありません。強制的にタイトル画面に戻されるバッドエンドしかなく、他の作品にあった“ヒロインルート”がないんですよね。
何も考えなくても、トゥルーエンドに突入しているので、「これで終わり!?」とある意味で驚愕しました。スピンオフ作品ですら、もっとルート分岐あったのに、本編でこれか……。
確かに、モモ以外のヒロインにスポットが当たらないんですよね。登場はしたけど、あまり活躍しないキャラもいたり。立ち絵まであるのに、ワンシーンしか出てこないキャラもいて、違和感がぬぐえない。
「もっと広げるつもりが、時間が足りなくなったのか?」と、変な不安すら抱いてしまうレベルです。
ストーリー
ストーリーに関しては、シリーズで一番“万人受けしそう”。
とにかく主人公がまっすぐだし、ひねくれてないし、ストレートにプレイヤーに入ってくるタイプの好青年。「セーブ&ロード」という、どっかの花型ラスボスが使いそうなチート能力を手にしていて、私利私欲よりも、誰かのために能力を使うめっちゃいい奴です。
さらに、「ファティマ第3の予言」や「シケーダ3301」など都市伝説好きの人なら、ワクワクせずにはいられない要素も盛りだくさん。
特に前者は誰もが知りたがる預言を物語の一部に絡めていて、いかにも科学アドベンチャーシリーズらしい展開が用意されています。
ただ、こちらもラストに進むにつれて異様に展開が早くなるというか、「ここそんなアッサリでいいのか?」と思ってしまうほど強弱が激しい。
まぁ、10時間程度でクリアできると考えたら、こんなもんなのかな。僕は余裕で倍くらいあると思っていましたから、「あれ?終わりに向かってね?」って感じで、不安すら抱きましたよね。
演出&システム面
科学アドベンチャーシリーズは分岐方法が凝っているのですが、今回は「セーブ&ロード」。
任意の場所でセーブし、ピンチになったら記憶を保持したまま過去に戻れる。そんなチート能力なんだけど、プレイヤー側の自由度が低すぎる。
このゲーム、基本的に任意でセーブできないんですよ。セーブしようとすると主人公に拒否されます。そして、「ここで戻った方がよくね?」って場面でも主人公からロードを拒否されます(笑)
面白そうな分岐に見えて、使える場所はめちゃくちゃ限られているんですよね。マジで「ここ!」って時にロードを使わないと、何度もバッドエンドに進まされます。
バッドエンドに到達すると、ちょっと前から戻って、テキストが進むたびにロードを連打するという、思考も閃きもあったものではないプレイを強制されると。
これなら、主人公に干渉せず、読み進めるだけのゲームでよくね?
……と、最後まで思っていたのだが。“主人公に干渉し観測する”ことが、結構大事な伏線なので仕方ない……のか?
あと、マンガ……というより「バンドデシネ」ぽく進行していく演出。あれいる?
普通にテンポ悪くなるだけだし、何か重要な意味があるわけでもないし……。
過去作との関連性
シリーズファンにとっては、ここが一番重要だったりする。
個人的には早くアッセンブル(集合)させて、300人委員会と真っ向から対立してほしいのですが。「あれでしょ。『アベンジャーズ』やるんでしょ?」と思っていたのが、もう5年以上経過してますからね……。
とはいえ、本作にも過去作との関連性があります。
一番重要な点は、牧瀬紅莉栖の登場。本人ではなく、アマデウスでの登場ですが。ご本人は『アノコ』の時代だったら、40くらいか?
また、彼女が作り出したアマデウスも、人格をデータに残せる手法として、結構活用されています。
また、「シケーダ」の事件を止めるために集まったハッカーたちの中に、『シュタゲ』のダルと『ロボノ』の神代フラウの名前が。
ダルはDaSh(ダル・ザ・スーパー・ハカ―)として、ウインドのセリフの中にも登場します。ウィザード級ハッカーであり、プレイヤーから見えないところで活躍してくれたのでしょう。
僕が気がついた関連性はこんな感じ。ギガロマニアックスとかなにしてるんだろう?
今後のシリーズ展開は?
シミュレータ
本作の舞台・キャラクターはすべてシミュレーション上のデータであり、生きている人間ではありませんでした。唐突に思えますが、これって『シュタゲ』の中でも言及されていた話なんで、実は昔から布石があったと考えられなくもない。
問題は過去作のキャラクターたちがどうなっているのか。です。
これだけ大規模な世界線変動が起きれば、オカリンは行動を起こしているでしょう。彼は『シュタゲ』での事件以降、アメリカに留学し、天才たちとも交流しているらしいので、今はそれなりの地位にいる可能性もあります。
『ロボノ DaSH』では、世界線のゆらぎを感じ取り、速攻でダルに連絡していた描写がありました。おそらく、本作の世界のどこかでは、「世界線が揺らいでいる」とダルに協力を仰いだオカリンがいる……はず。
シュタインズ・〇〇
今後の科学アドベンチャーシリーズの中で、唯一発表されている新作が『シュタインズ・〇〇』。
〇〇の部分はまだ発表されていませんが、「ヘッド」と「チャイルド」くらいの違いになるそう。つまり、主人公が交代するってことなのか……?
とはいえ、声優陣の続投は決まっているので、現在は本当にすべてが謎のままです。
『シュタインズ』関係で描くことがあるとすれば、やはり『アノコ』で起きた世界線変動に関することでしょう。300人委員会との対決もまだですし、成長したオカリンや紅莉栖、ダルたちが活躍してくれれば、こんなに嬉しいことはない。
まぁ、年齢的な問題もあるので、新主人公にしてサポート役としてラボメンたちが登場するパターンが正しそう。リーディングシュタイナーを持っている人間がオカリン以外にもいて、ラボメンたちに相談するとか、『カオチャ』と『カオへ』くらいの関係が理想かも。
ブラックナイト衛星
この世のどこかにあるけど、どこにもない。『アノコ』のラストでモモの人格を保存し、変動による消滅から回避に成功した謎の衛星・ブラックナイト。
これ、本作で初登場したと思うのですが、リーディングシュタイナーと関係があるような気がして。
僕はずっと気になっていたんですよ。世界線が変動した場合、オカリンは前世界線の記憶を保持できますが、その記憶はどこに“保管”されているのかと。
ブラックナイト衛星に保存されていたんじゃないのか。ブラックナイトは世界線変動の影響を受けないし、いつでもオカリンの記憶を保持しておける。理の外にあるからこそ、オカリンのリーディングシュタイナーの裏付けにもなるのではないかと。
リーディングシュタイナーは誰しも少しは持っているらしいけど、オカリンだけ特別なのはブラックナイトのおかげか。
何故オカリンだけがブラックナイトに選ばれたのかというと……。シュタインズゲートの選択ですかね。
以上。